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63話

 ジェイクは盗賊らしき男の剣を受け止めると、そのまま肩で体当たりをした


「ウオラァ!」

「どわっ?!」


 男はジェイクの体当たりによって吹き飛ばされ、またもや川に落ちた


「マーク!他には見たか?!」


 ジェイクが男から目を離すことなく、こちらに背を向けながら聞いてくる


「いや、今のところこいつだけ!」

「そうか!」


 男がすぐに川の中から立ち上がった

 ジェイクはそこに、足元に落ちていた人の頭部ほどある石を片手で掴んで持ち上げて、男に向かって投げる


 ブオンッ!


 ラビヤーが投げていたものより、遥かに大きいその石は、風を切る音とともにすさまじい速度をもって、男の腹に命中する


「おぼっ!」


 男は石・・・いや、岩のぶつかった勢いそのまま川の中から、僕たちのいる川辺の反対側の川辺まで吹っ飛んでいった

 小さい頃のジェイクを知っているけど、こんなに怪力にだったっけ・・・?

 こんな時に、幼馴染の知らない一面を新しく知る


 そして吹っ飛んていった男は、口から血を吐いて、地面を転げまわっている

 あの勢いの岩が腹にぶつかって、良く生きてたな

 あんなのがもし、頭に当たっていたら・・・

 真っ赤な花が咲いていただろうか

 背筋に嫌な汗が流れるのを感じた


 そしてジェイクは、そのまま川のほうへ走り出す

 そのままひと飛びで川を飛び越えてしまった

 跳躍力もすっごい・・・

 ジェイクが反対の岸に着地をし、砂利が飛び散る

 着地の瞬間にすごい音がしたけど、見た目以上にジェイクは体重がありそうだ・・・

 彼は男のところまでゆっくりと歩いていく

 男の様子を見ながらも、油断はしていない

 そして地面で腹を抑え暴れている男の前に立ち、剣を突き付けて言う


「お前が俺の幼馴染にしたように、俺も今、お前を見下ろしている

 なにか言うことはあるか?」


 と・・・


 かっこいい・・・

 こんなセリフを一度でいいから言ってみたいものだ

 今、商人をやっているとは思えない

 これは一流の冒険者の姿である

 あのふざけて演奏しながら、村一番の乙女に告白して玉砕した彼が、ここまでの成長を遂げるとは・・・

 そりゃあシャーロットも、こんな人を見逃さないだろうね


 男がのたうち回るのを止めて、眼前にいるジェイクを見上げる

 体を起こし、腹に手を当て座ったまま、ジェイクの足元に血痰を吐いてこう言った


「とどめを刺せよ・・・」

「いや、お前が何のためにこの村にやってきたか、どうやって入ったのか、吐いてもらうぞ」


 ジェイクの目は男の目をまっすぐ見ている


「いいから・・・とどめを刺せええええええええええ!!!」


 男が大声で叫んだ

 ジェイクは目をかっと開き、剣を高く掲げる

 男がにやりと笑った

 そして、ジェイクは剣を振り下ろした



 ガイーン!!!



「おごぅっ!」


 ジェイクの振り下ろした剣は、途中で角度を変えて、剣の腹の部分が男の頭に叩き込まれた

 ジェイクはため息をつくと


「斬るわきゃねぇだろうが・・・」


 と呟いた・・・


 か、かっこいい・・・

 昼間にシャーロットからげんこつを貰っていた彼とは大違いである


 ジェイクはぱっとこちらを向くと、心配そうな顔で川を飛び越えて走り寄ってきた


「大丈夫か?嬢ちゃん怪我したのか?!ちょっと待てよ・・・ほら!ポーションだ!これを使え!!」


 その姿はまるで子を心配する父親である

 まだ彼に子供はいないし、僕だって歳もそう変わらないんだけど?

 さっきまでの一流の冒険者たる貫禄のせいで、年上に感じてしまうんだろうか・・・

 今の彼の表情は僕たちを心配していることだけ伝わってくる


「さっきまであんなにかっこよかったのに・・・ぷっ」

「お、おいおい・・・笑うなよぉ」


 ジェイクのあまりの豹変に、思わず笑ってしまった

 そして僕の腕の中から小さな声が聞こえた


「た、隊長?そろそろ・・・放していただけると・・・」

「あっごめん!」


 盗賊らしき男の剣から守った時、そこから今まで僕はずっと、ラビヤーを抱きしめたままだったのだ

 やべやべ!セクハラになるぅ!!!

 慌てて彼女から離れる

 ラビヤーがジェイクに貰ったポーションを飲む

 額の傷から煙が出て傷が塞がっていく

 ふぅ・・・一安心だ

 女の子の顔から傷が消えてよかった・・・


 ラビヤーがこちらを見て、頬を染めながらもお礼を言った


「隊長、庇っていただいて、ありがとうございました・・・」

「いや・・・僕は何もできなかったよ

 あの男に一度も攻撃が当てることは無かったし、ただ助けを呼んだだけだから・・・」

 

 冒険者だった頃ならわからないが、今はもう前線を退いているから・・・

 そんな言い訳を考えて、口には出さない

 僕だけではラビヤーを守れなかった

 ジェイクが来てくれなかったら・・・

 ただただ自分が情けない

 もう少しで仲間を失うところだったのだ

 俯いた僕にジェイクが慰めの言葉を言う


「マーク、今のお前は確かに奴より弱かった・・・でも助けを呼べたじゃあないか」

「そうです!戦闘中も私の意図を読み取ってくださいましたし!

 今は戦闘員じゃないのに、隊長はとても冷静に対処してました!」


 ラビヤーも戦闘中の僕のことを褒めてくれた

 少し胸がスッとする


「あいつはお前たちを殺す気だった

 生きてることが、お前たちの勝ちなんだ

 誇れ!

 そして自分を卑下するな

 いつかこの経験を活かせばいいさ!」


「うん・・・二人ともごめん・・・いや、ありがとう」


 二人のおかげで気持ちがだいぶ楽になった

 戦闘員でもないのによくやった!

 それでいいじゃないか!

 僕はとりあえず自分をそうやって納得させた


 もう少しで斬られると所だった僕とラビヤーは、ジェイクによって助けられた

 ジェイクとともに、彼に気絶させられた覆面の男を縛り上げる

 このまま当初の目的だった、集会所まで連れて行こう・・・


 しかし・・・なんでこんなところに、こんなにも強い盗賊?がいたのだろうか

 もしかして祖父からの依頼は、考えていたよりも複雑なんだろうか・・・?

続き鋭意執筆中

ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです


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@moongekko01

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