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59話

 どこかへ行ってしまった祖父を探すべく、僕たちは村を回る

 一応『旅行に来た彼女たちに村を案内する僕』という体で

 いや、案内していることには変わりないんだけどね・・・


「まず、ここがこの村の集会所兼音楽ホールだよ

 月に一度、ここで演奏会をするんだ」


 四角くて大きな建物だ

 その建物の扉はとても大きく、開いてみるとすごく分厚い


「そういえば温泉の印象が強すぎて忘れかけていましたけど、ここは音楽の村でしたね・・・」

「ふわぁ~、なんか結構厳重と言いますかぁ、扉とか壁とかに厚みがありますねぇ

 この扉なんかすごく重そうですぅ」

「うん、すっっっごく重いよ

 一応、音が漏れないようにこんな扉を四重くらいにしてあるんだけど・・・

 村の外から吟遊詩人や音楽家、演奏家が来ることもあってね

 中には爆音で演奏する人もいるから、こんなのでも結構音漏れするときがあるんだよ」

「ば、爆音・・・?」

「うん、犬人とかは遠吠えが得意でしょ?

 彼らが合唱するときとか本当にすごいよ、建物が揺れるんだ

 しかも昔、僕の生まれる前の話だけどね、音漏れ対策出来てない時に大声選手権をやったんだって

 そこで他国から来た狼人がいたらしくて・・・

 その遠吠えで建物が崩れかけたらしいんだ」

「それは・・・すげぇ・・・」

「その時は村で一番の音魔法の使い手がなんとかしたらしいよ」


 魔物にも叫び声によって怯ませたり、耳にダメージを与えてくるような奴がいる

 そういった時に音魔法が活躍するのだ

 しかし、使い道が少ないためか、音魔法の習得者は少ない

 魔法と言ったら攻撃魔法が華だからね

 片手間に習得する人ならいるらしい

 一応、斥候をする人とかが習得することもある

 斥候部門のハイムリッヒさんも音魔法得意だったはずだ


 この村は村人の大半が毎日のように、楽器を演奏したり歌を歌ったりする

 それはそれは近所迷惑になるのだ

 なので小さい頃から音魔法を学んで、自分で音を家の外に出さないように対策するんだ

 ・・・音魔法を使わないで演奏する奴は近所に住む人に【消音(サイレンス)】をかけられるんだけどねよね


「じゃあ、次にいこっか」




「ここがこの村唯一の楽器屋『さえずり』だよ」


 小さな看板が一つ、大小の建物が二つ

 大きい方が店で楽器などを展示、販売している

 弦楽器、管楽器、打楽器・・・

 この国では見ないような他国の楽器も置いてある

 小さい方の建物が工房だ

 この店で初めて楽器を買ってもらった時のことを思い出すなぁ・・・

 僕が感慨にふけっていると


「マークさんはどんな楽器が使えるんですかぁ?」

「僕?僕は横笛とギターと竪琴かな」

「えっ!三つも!」

「これでも少ない方だよ

 この村の人は5個以上は使えるはずだし・・・

 僕の婆ちゃんなんか始めて見たような楽器でも弾いちゃうんだから・・・」

「そいつぁすげぇや」


 ジェーンが店の前に展示してある楽器を見ながら感心している

 皆は楽器は出来るんだろうか?

 ちょっと聞いてみよう


「皆はどう?楽器とか歌とか・・・」

「私は歌くらいなら・・・小さい頃は近所の教会で聖歌を歌ったこともありますぅ」

「私は口笛くらいですね・・・魔物の気を引くときとかに吹くんですよ

 気付いたらちょっとした曲くらいなら吹けるようになりました」

「アタシは草笛かねぇ

 師匠についてもらってた時に教わったよ

 夕日を見ながら吹くとかっこよくない?」


 なるほど・・・

 皆それぞれ音楽は身近にあるんだなぁ

 どんな人でも一切音楽に近付かない人なんていないからね


「あとで中に入ってみようか

 今は爺ちゃん探さないと・・・」

「そうですねぇ、楽しみですぅ!」

「土産にちっちゃい笛でも買ってもいいかもな!」



「あの畑がグリーンキャロットで、隣がイエロートマト、あの毒々しいのがパープルキャベツだね

 向こうの木々にはオレンジアップルもあるよ」

「グリーンキャロット・・・!!」


 ラビヤーの目が輝いた

 やはり兎人は人参好きなんだなぁ


「パープルキャベツって本当に紫色なんですねぇ・・・」

「味は普通のキャベツと同じだけど、煮ると色がすごい出るから染料にもなるんだよね」

「へぇ~」

「オレンジアップルって結構高い奴だよな?」

「傷みやすいから王都だと高かったね

 実家の裏にも僕の植えた木があるし・・・さっき見たら実がついてたから、あとで出して貰おうか」

「いいねぇ~

 そういやマークの爺さんの畑では何つくってたんだ?」

「今の時期だと・・・多分黄金芋だね」

「マジで?!あたしあれ大好物!ふかすとすごい美味いよね!」

「うん、それも出すように頼んでみるよ」

「やったー!夕飯楽しみ~!」


 ニーナとジェーンが嬉しそうにしている

 ラビヤーは・・・


「グリーンキャロットは・・・出ますか・・・?」


 と上目遣いで聞いてきた

 うっ・・・これは攻撃力すごい・・・


「だ、大丈夫、温泉の建物出る時に婆ちゃんにグリーンキャロットのこともう言ってあるから

 帰ったらいろいろ出してくれるってさ」

「・・・ッシ!」


 珍しくラビヤーがガッツポーズをした

 そしてその様子を僕らに見られ、恥ずかしそうに顔を背けた・・・

 彼女の耳は嬉しさを隠しきれず、ぴくぴくと動いていた




「ここがこの村で唯一の酒場・・・だったところだよ

 さっきの温泉にも出来てたから唯一じゃなくなったね」

「誰だそんなことを言ってんのは?!」


 酒場の前で話していたら中から男が一人飛び出してきた

 やべ、ちょっと声大きかったか


「言っていい事と悪いことが・・・」

「やぁジェイク、ただいま」

「おぉ?!なんだ、マークじゃねぇか!いつの間に帰ってきたんだ」


 彼はジェイク

 ここの酒場マスターの息子で僕の幼馴染だ

 皆に彼を紹介する

 彼は僕が冒険者になる前に、先に冒険者になった先輩でもある

 もう冒険者は辞めて、他国を巡った経験を生かして遍歴商人になったと聞いていたが帰ってきたのか・・・

 そういや爺ちゃんが嫁を連れてきたって言ってたな

 そのためかな?


「ジェイク、嫁さん捕まえたんだって?紹介してよ」

「誰に聞いたんだ・・・ってお前の爺さん村長だったな・・・

 じゃあ、ちょっとうちに寄ってけよ、嫁さんを紹介するぜ」

「お言葉に甘えようかな?みんなは良い?」


 一応仲間たちに確認を取る

 今は祖父を探している最中だが、ちょっとくらい良いだろう

 村の中を歩き回って疲れてるかも

 ちょっと休憩しよう


「親父!マークが帰ってきたぜ!」

「やぁマーク、おかえり

 何か飲むかい?」


 酒場に入るとダンディーな髭を口の上に蓄えた紳士の見た目をした男性が迎えてくれた


「彼がこの酒場のマスターのジャクソンさんでジェイクのお父さんだ

 ちなみに元凄腕冒険者で、僕とジェイクの剣の師匠でもあるよ」

「はっはっは、昔取った杵柄だがね

 この子達が私の半分の身長も無い頃にちょっと教えただけさ」


 ジャクソンさんは僕たちにお茶を淹れながら謙遜をしている

 結局僕は村を出るまで、一度も勝つことが出来なかったんだけどね・・・

 僕の仲間たちも自己紹介を済ませる

 その間に、ジェイクが酒場の二階から女性を連れてきた


「そしてこれが俺の嫁さん!シャーロットだ!」


 ジェイクが紹介した女性・・・は・・・

 え?似てる・・・?


「姉ちゃん?!」


 なんとジェーンの姉だった

続き鋭意執筆中

ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです


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@moongekko01

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