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57話

 露天風呂から出て祖父と二人でサウナに入る

 これも僕が知らないもので、新しく建てたようだ

 祖父がまたしても自慢げに話す

 なんでも、建物の下に最も熱い源泉を流して、その熱で温まった岩から熱気が出ている・・・らしい

 なんか本物は魔導ストーブを使って蒸気を発生させて温めるらしいけど、源泉が熱すぎてそのまま使えるらしい

 部屋の真ん中の岩に水をかけるだけであっという間に蒸気へと変わる

 岩は耐熱の魔法岩・・・だって

 なんでも王宮から来た監督官が職人たちと試行錯誤して、最終的に宮廷魔導士や魔法研究家まで呼んだそうだ

 やりすぎじゃない・・・?

 


「それで、村の膿って何さ?」


 僕はサウナの熱気に耐えながら祖父に先ほどの話の続きを聞く

 祖父の提案で人気の無いサウナなら誰にも聞かれないだろうと言われたけど・・・

 暑い・・・


「うむ、実はなぁ・・・

 この温泉を新しく立て直した時に金を使い切ったと言ったじゃろう?

 じゃが何度計算しても金額が合わないんじゃよ」

「・・・マジで?」

「マジじゃ」

「・・・・それって・・・ヤバくない?」

「マジでヤバいんじゃ」


 サウナの中にいるのに、冷汗が流れるのを感じる

 王様からの支援金を横領したって事だよね?

 これやばいどころじゃ済まないんじゃ・・・?

 サウナの中が熱いと思ってたのに、こんな話を聞かされては寒いような・・・


「このことはさすがに王宮へと報告せにゃならんのじゃが・・・

 犯人が分からないうちに報告すると温泉の開業予定がな・・・?」

「いや、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!

 さっさと報告したらいいじゃん!」

「マークの言ってることは確かに間違ってはおらん

 じゃがこのままだとこの村の村長であるワシが王宮へと呼ばれるじゃろう

 そして裁かれ、温泉の運営が止まり村がやっていけなくなる」

「うっ・・・」


 確かにそうなりそうだ

 犯人が見つからない限り、村長である祖父が責任を取ることになるだろう

 家族が捕まるなんて嫌だ・・・


「幸い工事にかかわったの王宮の監督官以外の職人等はまだ村に残っておる

 犯人をとっ捕まえて、そやつを王宮に差し出せば解決すると思うんじゃよ・・・」

「うーん・・・」


 祖父の言っていることは自分本位に過ぎない

 誤魔化した時点で祖父にはもう罪がある

 さらにこれが伸びれば罪はどんどん重くなるだろう

 しかしいつまでも黙っていたら、いつかこの事が判明した時に、村ぐるみで横領をしたと言われるだろう

 そうなればこの村は・・・

 祖父を、故郷を助けるために


「・・・受けるしか無いじゃないか」

「すまんマーク・・・」


 家族と故郷を人質に取られているようなものだ

 祖父も人が悪い

 こんなの断れるわけがないだろう!


 少し恨みを込めて祖父を見る

 彼は涙を流していた

 そうか・・・

 祖父だって僕に頼むつもりは無かったのだろう

 僕がたまたま休暇を取って故郷に帰ってきた

 もし帰ってこなければ?

 僕の知らぬところで祖父は、王宮に裁かれていたのだろうか

 追放部門に勤めている僕の存在が、彼にとって降って湧いた幸運だったのだろうか

 ちくしょう・・・休暇ってなんだっけ・・・


「とりあえず僕だけでも調査はするけど、仲間たちはあてにしないでよ?

 あの子たちは純粋に休暇で来てるし、楽しむのを邪魔したくない」

「分かったわい」


 温泉再設計資金を横領した奴を絶対見つけ出す

 そう心に誓った僕は立ち上がると


「あれっ」


 視界が霞む

 首がゆらゆらする


「爺ちゃん・・・」

「なんじゃマーク?」

「ちょっとやば」

「・・・!マーク!」


 僕はその場に倒れそうになる

 すんでのところで祖父に支えられた

 これは・・・サウナに長居しすぎたな・・・

 完全にのぼせた・・・

 そして僕は祖父に抱えられてサウナの外の水風呂へ連れて行かれた



「ほれぃ!」

「・・・!?」


 祖父は軽々と僕を持ち上げると水風呂へ放り投げた

 頭までしっかりと水に沈む

 冷たい水が僕ののぼせ上った頭と体を急激に冷やす

 意識がはっきりと、急激に覚醒する

 待ってこの水風呂・・・冷たすぎる!!!!

 僕は勢いよく水の中から立ち上がった


「爺ちゃんなにすんだよ!」

「はっはっは!どうだ!気持ちいいじゃろう!」


 そして祖父がどこからか持ってきた瓶入りの飲み物を僕に向かって投げる


「しっかり水を飲めんでおけよ」

「いや水冷たすぎて寒いから出て飲むよ」


 僕は水風呂から上がる

 ・・・ん?

 体が変な感じだ

 冷えているにの芯から温まってくるような・・・

 なんか空気が気持ちいい・・・

 思わず吐息が漏れる


「うむ、それが『ととのう』って奴らしいぞ

 王様がどこかの国に外交した時に『ととのう』を体験して、どうしても自分の国でもやりたかった様じゃ」


『ととのう』

 不思議な感覚だ

 水を飲むと冷たいものが喉、食道を通り抜けていくのを感じる


「これ・・・いいね」


 僕はこの帰省の間に、何度もサウナに入ること心に決めた

 この感覚は忘れられそうにない・・・



 その後、祖父から詳しい話を聞こうとするが、僕は温泉からまだ出たくなかったので、祖父と一緒に入って無いところを回る

 滝の打たせ湯では


「じゃから監督官がな!?」

「何爺ちゃん!滝すごすぎて全然聞こえない!!!」


 またサウナに入り・・・


「王様はこの村の料理でじゃな・・・」

「うん・・・今はその話じゃなくてね・・・?」


 またもやのぼせて


「そりゃー!」


 バッシャーン!


「ぶはー!投げるのだけはやめて!鼻に水入った!!!」


 話が進むことなく、温泉を満喫した僕であった


 結局、続きは家に帰って話すことになった

 爺ちゃん、温泉自慢したいだけじゃ・・・

続き鋭意執筆中

ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです


感想 いいね ブックマーク よろしくお願いします

Twitterにて更新のお知らせ等しています

@moongekko01

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