49話
スミスの追放から5日経った
僕達追放部門は次の仕事を始めてはいなかった
4件の追放案件を片付けたことによる功績で休暇を貰うことにしたのだ
最期の仕事がアレだったうえに終わり方も酷かったからだ
いや、追放対象のスミスや鍛冶部門の隊長ゴブニュさん達にとってはそこまで悪くなかった結果だ
でもクリスチャンのおかげで何とも後味が悪い
数日一緒に仕事をした男が変なこと言って去っていった
普通に考えて気分も悪くなる
僕達にだってリフレッシュは必要としていた
ただでさえ『追放する』というメンタル的にマイナスな仕事を担っているのだ
これは人の悪意や安堵の涙など、普段だったら触れることのない人の感情を感じる仕事だ
仕事を続けてきて、色々考えることもあるだろう
僕だってそうだ
僕達も感情や想いを整理する時間が貰えるのは嬉しい事である
その休暇を貰う前に終わらせる仕事は多かった
まず、今までの4件で使った経費について
調査前に購入した紙束やペンなどの事務用品費
デスクや椅子は必要な備品として資産とする
対象を調査するために購入したラビヤーの装備や消耗品の実費
アントンの件の時にカフェで掛かった交際費
追放部門の部屋で仕事するときに飲んでいたコーヒーや紅茶などの嗜好品等を含めた雑費
ニーナが割ったカップやポット、壊したカーテンレール等の消耗品費
ニーナが壊した椅子の修繕費など・・・
「やっぱりニーナにかかった費用が計上されるね」
「すみませぇん・・・」
「責めてるわけじゃないから、一応確認しただけだよ
彼女が申し訳なさそうに頭を下げるのを僕はフォローをした
まぁ事務能力は高いしそこまでひどい被害にはなっていないから許容範囲・・・だな
誰でも備品くらい壊すことはある
ニーナの場合ちょっと多いだけ・・・ちょっと・・・ね
そしてこれらを日割りや案件の難度などを考慮して平均を割り出す
そろそろ1件の追放に掛かる費用を定めないといけない
ニーナが中心となって計算し、目標経費を検討し合う
なるだけ経費が掛からないように仕事をする
これは僕たちはギルドに雇われているからやっていることだ
「事務作業ってこんなに大変なんですね・・・」
「ラビヤーは現場側だったからやったことなかったんだね」
「はい、前の職場では出向してきてくれた秘書部門の方にお願いしていました」
秘書部門から一つの部門には隊長付きが一人、それ以外は部門の規模によって、1~3名となる
僕が前に所属していた広報部門では僕とヒロミさんがやっていたので隊長付きの秘書がいただけだった
まぁその人も隊長のスケジュール管理以外の仕事は無かったんだけどね
元上司は一人で行動するのが好きだったから・・・
その人が僕たちがまとめたものを秘書部門に持って行ってくれていた
隊長付きだったからしなくていいのに「私、仕事ありませんから・・・」なんて言われたら断れないだろう
「日々事務作業をやってくれているニーナに感謝ですね」
「えっ!えへへぇ~・・・」
ニーナはラビヤーに褒められて嬉しそうだ
計上したものは報告書を秘書部門に提出すればやってくれるから、これはそこまでやれば良い
税金についてもギルド運営にかかわっている秘書部門が計算してくれている
税金と言っても僕たちの国は一年に一度の国民税と収入に応じた一部を収めるだけでいいんだけどね
ギルドや店を経営する側は、もっといろんな税金を取られるらしい
さすがに僕もそこまでは詳しくないのでそこは丸投げである
広報部門にいた時にもこれをやったけど・・・
まぁ忙しい仕事である
元部下の一人はサボっていたし、もう一人(一匹?)の猫人は手がほぼ猫なのでペンを持ちづらく仕事にならない
実質ヒロミさんと二人でやっていた仕事である
元隊長は・・・手伝ってくれなかった
だから今の追放部門では、皆でやってさっさと片付けることを目標とした
だって三人しかいないしニーナ一人に任せるのは負担が大きすぎるだろう
・・・ニーナだけに任せてたら、何か起こるかもしれないしね
まとめてみて、彼女に一番お金がかかることも分かったし・・・
ニーナは自分の費用が掛かったところを見つけるたびに百面相をしていた
僕とラビヤーはその光景を微笑ましく見ていた
そして一度の案件で使っても良い経費を決めることが出来た
これは一度の案件を三週間と仮定して計算した結果である
もちろん追加で掛かるかもしれない経費も折り込んだ
調査が想定より伸びたり、情報収集が足らないことがあるかもしれないからね
予備費として、あまり手を付けないように心掛けなきゃ・・・
今回決めることが出来た経費を超えることがないように、引き続きこの仕事を頑張っていこう
続き鋭意執筆中
ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです
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