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47話

 スミスの尋問を行ってから五日が経過した


 僕達はスミスの追放について話し合うためにまたもや会議室にやってきた

 追放部門が設立されてから会議室に集まるのはこれで4回目である

 このギルドには大勢の人が所属しているが、僕にはこのギルドの全貌はまだわかっていない

 それは、部門ごとにも違いが多くあり、所属のみ、非常勤、仮所属、新人の入れ替わりがあるからである

 登録はしているが実務は行っていないものも多かったりする

 ギルド員だけでこの有様なら、日常が危険と隣り合わせな冒険者たちは?

 このギルドに所属している冒険者たちだって怪我をしたり簡単に命を落とす

 知っている顔も明日にはいないことがある

 冒険者は入れ替わりが激しい職業なのだ

 内勤のギルド員は入れ替わりが少ない・・・はずだけどね

 その入れ替わりの一端は僕たちも担っていることになる

 まぁ人数が多い分、軋轢や悪いことする人も出てくるだろう

 誰もが聖人君子なわけではない

 こんな仕事、給料が高くなかったら精神的に参ってしまっているかもしれないなぁ

 今度ニーナとラビヤーのカウンセリングでもしてみようかな・・・



 さて

 会議室に集まっているのはギルド長とその秘書であるキャサリンさん

 鍛冶部門からゴブニュさんとルフタさん

 教会からやってきた司祭のクリスチャン

 僕達追放部門の三人

 回復部門からエリザベスさん(スミスの容体を見るだけ)

 そして今回の追放対象であるスミス

 彼を見張る名も知らぬ戦闘部門員2名(ギースさんから派遣されてきた)

 戦闘部門のギースさんと魔法部門のエレノアさんの両隊長達は仕事があるので欠席である

 今回はちょっと人数が多い気もするが、参加する人は少ないのでこの話し合いはスムーズに進むだろうか?


「今までの追放の話し合いでは対象には当日知らせたりしてきました

 今回はことが大きくなってしまったので調査の事は本人に知られております

 異例であるとは言いませんがそちらをご了承ください」


 会議室に集まったメンバーに注意を呼び掛ける

 今までの追放も話し合いはあっさり終わりとはいかなかった

 いつになったら『型』が出来るんだろうなぁ


「そしてこちらも異例ですが、今回の調査には外部の協力者もいます

 当人との情報の守秘の契約は済んでおりますのでそちらもご了承ください」

「はーい!ちゃんと秘密は守りますよ~」


 クリスチャンは手を高く上げて宣言する

 話し合いの間、大人しくしていないと【消音(サイレンス)】の魔法をかけると脅したけど守ってくれるだろうか・・・

 ここ数日で彼の胡散臭さには慣れ・・・慣れなかった

 やはり胡散臭い

 笑顔が信じられない

 腹の中では何を考えてるかまるで分からない

 こういう人だ、と思っていても仕草がわざとらしい

 いつ何かやらかすか、びくびくしながら彼と過ごしていたのだ

 ラビヤーも僕と同じように彼と距離を取って過ごしていた

 ニーナだけは彼と打ち解けていたが・・・彼女は純粋だからなぁ・・・

 


 スミスは緊張している様子も無く部屋の真ん中にある椅子に座っている

 自分の行く末がどうなろうとも受け入れる・・・そんな覚悟の決まった眼をしている


「スミスさんあなたは魔剣を打つと称して、鍛冶部門の素材を横領していましたが、間違いありませんか?」

「間違いはない」

「そこに悪意はありましたか?」

「誰かを傷つけるようなことは考えていなかったが、自分のやりたいことだけやってしまったことは理解している」

「では、自分の行いが悪だと?」

「ああ、俺はこの行いによってギルドに損害をもたらした」


 淡々と話し合いは進む

 話合いというよりも確認作業だけどね

 もちろん事前にスミスと打ち合わせたわけじゃない

 彼が僕の質問に正直に答えているだけである


「では横領された素材の確認をしましょう

 鉄500、銀80、金30、ワイバーンの牙8本~~~~~」


 僕はスミスが横領した素材を淡々と言っていく

 これは僕たちがスミスと戦ったり、クリスチャンによって呪いの残滓を探したりしている間、ニーナがすべて纏めてくれた

 やはり数字に関しては彼女に敵わない

 ちょっとは手伝ったけど、僕と彼女では能力が違いすぎた


 スミスは数までは把握していなかったようだが、これを聞いても動揺もしていない

 横領された素材をすべて言い終わっても彼は毅然とした態度で座っていた

 自分の行いのすべてを受け入れているようだ


「では次の質問です、呪われた時のことを覚えていますか?」

「いや・・・あまり覚えていない

 覚えているのは俺を唆すような声と魔剣作りが楽しかったことだけだ」

「ネックレスの入手方法はどうでしょう?」

「それもわからない、気づいたら身に着けていたと弟子たちに聞かされた」


 ここ数日調査している間、スミスは回復部門の隔離室で療養及び軟禁状態だったが、彼の弟子たちが見舞いに訪れていた

 一応隔離状態だったことは鍛冶中の事故によるものだと言っておいた

 なにか起きないように僕も同席した

 見舞いの前に弟子たちにも話を聞いたがいつのまにかネックレスを身に付けていたとしか言わなかった

 その後でクリスチャンに弟子たちを見てもらった結果・・・


「その弟子たちですが・・・

 その中に一人、女性がいますよね?」

「ああ、ケレナの事か?」

「彼女には呪いの残滓があったことがわかりました」

「何?!」


 そのことを聞かされて、スミスが立ち上がる

 同席していた戦闘部門員が彼を抑える

 僕は話を続ける


「落ち着いてください、彼女は無事です

 呪いによる後遺症などもありませんでした」

「・・・っ!そうか・・・」


 スミスはそれを聞いて体から力を抜き、椅子に座る

 弟子の無事を聞いて安堵したようだ

 僕はスミスの肩を抑えている戦闘部門員に目配せをして、彼を放してもらう


「クリスチャンさん、ケレナについて話してください」

「は~い、わかりました」


 気の抜ける返事だ

 ちゃんと説明してくれよ?


「スミスさんのお見舞いに来た彼女には確かに呪いの残滓が残っていました

 彼女は購買部門に行ってアクセサリー等を物色した際に呪いのネックレスに接触したようですね

 そうしてネックレスに操られて、スミスさんのところへ運んだのでしょう

 あっ!安心してください!

 彼女の残滓はしっかりと【(ハイ)浄化(ピュリフィケーション)】かけておきましたから大丈夫ですよ~」


 クリスチャンが経緯の説明をして大人しく座った

 変なこと言わなくてよかった・・・


 その後、スミスにいくつかの確認を取る

 協力者はいなかったか

 打った失敗作はどうしていたのか

 魔剣精製に成功したらどうするつもりだったのか

 スミスはすべての質問に毅然とした態度ではっきりと答えていた

 動揺したのはケレナが呪われていたことを聞かされた時だけ

 彼は道を踏み外しはしたが鍛冶師の仕事に誇りをもっていると答えた


 そして話し合いは最後の時を迎えようとしていた


「僕たちが調査した内容は以上になります」


 あとはギルド長とゴブニュさんが、スミスをどうするのか、発表するだけとなった

 今回の案件はこんなに大変になるとは思ってなかったが、このまま無事に終わってくれそうだ


 そして少しの沈黙の後、ギルド長がスミスの今後について宣告するのだった


続き鋭意執筆中

ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです


感想 いいね ブックマーク よろしくお願いします

Twitterにて更新のお知らせ等しています

@moongekko01

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