46話
スミスが泣いた
記憶も無いことが分かった
そんなところで現れた、教会から来たクリスチャン
これまでのことを整理するとこんな感じだ
これ以上訳の分からない状況にならなきゃいいが・・・
というか今の状況では部外者だし追い出そうかな
「混ぜるって・・・すみません今はうちのギルドの事なので・・・」
「あっギルド長の許可は貰ったんで~
はいこれ」
クリスチャンが何やら紙を渡してくる
僕はそれを受け取って見る
『マーク、クリスチャンは呪いの品の専門家だ
呪いの効果などにとても詳しい
教会でも一人でも浄化が出来る数少ない者だそうだ
呪いの品を彼と二人で少し調べたが、彼の協力なければ真相に近づけないと私は判断した
だから、彼をよろしく
ギルド長アラン』
よろしくって・・・
これはギルド長のサインが入った手紙である
彼を調査に参加させるしかないか・・・
彼の胡散臭さが僕の中でずっと危険信号を出しているけど
しかしギルド長からの要請だし、それを無視することもできない
僕は仕方なく彼を調査に参加させることにした
「では、信用はしませんがよろしくお願いします」
「おぉ~言いますねぇ~
まぁ・・・私をすぐに信用してしまう人、あんまいないんで、慣れてますよ~」
クリスチャンは肩をすくめるような動作をしている
彼は胡散臭いことを自覚しているんだろうか
とりあえず、あのネックレスがどんな呪いを持っていたのか聞いてみよう
「あのネックレスは・・・」
「ああ、あれですか!アレは魔法部門の隊長さん・・・エレノアさんでしたっけ?彼女の読みが当たってましたよ!確かに欲望を加速させるものでした!しかもかなり強力なうえ、長年貯め込んだような強い欲望を持っているものを探し出して、そいつに近付くために周りを利用するという特殊な能力まで持っていました!しかもなんと!呪った対象の能力を底上げする上に空間を捻じ曲げて別の場所と繋ぐという古代遺物のアイテムでも滅多にない力まであったんですよ!いやぁ~スミスさん!呪われてくれてありがとうございます!」
彼は夢中になって喋りだし、スミスの手を取ってぶんぶんと振っている
スミスやゴブニュさん達は引いているが・・・・
あれだ、前に調査した開発部門のブロアみたいだ、この人
なんていうか・・・狂った研究者のような・・・
ますます信用できないと感じる
でも、今の話を聞いてちょっと思ったんだが・・・
「その、周りの強い欲望を持ったものを探し出すために周りを利用するって言いましたけど、それであなたが利用されるなんてことは・・・?」
「えぇ~?私そんなに欲望に弱そうに見えますぅ~」
見えます
しかも呪いの品で実験とかしそうです
さすがに外部の人なので口には出さないけど・・・
「まぁ私は呪いの浄化や調査など専門にしてますからねぇ・・・
対抗できなきゃこんな仕事してないですし
あと、一応私司祭なんですよ?欲望に飲まれないような生活も、対処する訓練もしてるんですよ」
そういえば司祭だって自己紹介してたなぁ
胡散臭さと、さっきの狂気な部分を見て雇われてる人だと思ってしまったよ
「どうやってスミスのところまで来たかとか、わかりますかね?」
「うーんそうですねぇ・・・一応呪いの品って呪いの残滓をまき散らすものなんですよ」
「呪いの残滓・・・?」
「ええ、簡単に言うと残り香のようなものです
アレに振れた人間にだったら数日は残滓が残るはずですよ
あのネックレスが人の手によって持ち運ばれていたら、ですけどね~」
「もしかしてあのネックレス自体が移動した・・・とか・・・?」
「その可能性も考えたんですが・・・無いでしょう!」
はっきり言いきったなぁ
あと決めポーズをとるな
「一晩しか調べられなかったんですけど、さすがにあのネックレスは媒介となる魔力を持った生物、人間がいないと力を完全には発揮できなさそうなんですよね」
「ふむ・・・そいつぁ、餌となる欲望と魔力が無いと動けねぇってとこか?」
「おっいい線いってますねぇ、クリスチャンポイントをあげましょう」
ゴブニュさんが謎の得点を貰った
褒められてちょっと嬉しそうだけど・・・欲しいか?そのポイント
あと貯まったら何に使えるんだよ・・・
「ネックレスに運ばされた人たちに、呪いの影響が残っていないか調査しないといけませんね」
「そうですねぇ・・・僕が見ればわかると思うんですけど、僕ってこのギルドに所属していないじゃないですか~」
ちらちらと僕を窺うクリスチャン
わざとらしい・・・
はぁ・・・仕方ないよね
彼に仕事を手伝ってもらうことにしよう
ギルド長の手紙もあるし、これ使って滞在許可を出そう
「わかりました、追放部門の調査員としてですが、あなたの同行を一時的に許可します」
「やった!これでまたあのネックレスの調査が進むぞぉ!」
やっぱ許可出さなかったほうが良かっただろうか
同行許可に喜んでいる彼の目が濁っているように見えてしまう
クリスチャンの胡散臭さが加速していく
「僕は部門で情報を纏めるので・・・
同行して調べるのはラビヤーに頼もうかな」
「ええっ!?隊長!それはあんまりです!」
「ではよろしく!あっ後で呪いの対処法とか教えますね!!」
クリスチャンはラビヤーに胡散臭さマックスの笑顔で握手を求める
ラビヤーが恨めしそうに僕を見てくる
実地調査は君の仕事だから・・・
その人のお世話よろしくネ
ウインクを返す
決して逃げたわけじゃないからね・・・
ラビヤーはため息をついてクリスチャンの差し出した手を握った
「ではこれでスミスへの尋問を終わりましょうか
スミスさん、貴方の処遇は後日決まるのでその間ここでしっかり療養してください
呪われていた間、肉体を酷使されていたようですから・・・
ゴブニュさん達が気づいていなくても、無理をしているのはラビヤーが気づいていましたから」
「うっ・・・ばれたか・・・
まぁ悪いことしたんだ、反省しながらここで寝てるよ」
「そんなことさっさと言えってんだ!バカモンが!」
ゴブニュさんがまたスミスを叱りつけている
スミスは呪われていた間にギースさん達と戦闘をしていた
そのダメージは回復魔法を使ったとしても残っているのだろう
そんな状態で酒を飲んでいたんだ
ドワーフってすごいんだなぁ
そして数日後に、僕達が調査した内容でギルド長とゴブニュさんが彼の処遇を決める
それまでクリスチャンが同行するのは少し不安だが・・・
それまでに僕は彼の胡散臭さに慣れることはあるんだろうか・・・
とにかく、この案件もあと少しで終わるだろう
僕達は回復部門の部屋を後にした
続き鋭意執筆中
ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです
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