28話
ギルド長を会議室に残し、残りのメンバーで追放部門の部屋までやってきた
今回のブロアの件をまとめるためだ
「ごめんね、ブロア・・・あたしがもっとあんたやあんたの先輩たちを見ておけばこんなことには・・・」
「いえ!カミーラさんは忙しい私にちゃんとご飯を食べてるか風呂入ってるかとか聞いてくれたじゃないですか!開発に夢中になってたのですっごく助かってました」
二人がお互いに頭を下げ合う
下げ合い合戦である
しかし、さっきの話にちょっと気になるところがあった僕はブロアに質問してみる
「でもいくら魔力を注いだからって飽和状態になるって変な感じですよ
それだったらどんなものでも爆発させることが出来そうじゃないですか」
ブロアがその言葉に反応した
すごい勢いで僕に顔を近づけて話始める
「あっそこ気になりました?気になっちゃいました?あれはポーションの瓶と水分と中に入っている薬草に関係するんです!まず瓶ですけどアレはふたをきちんと閉めますよね?お酒とか泡が増え続けると普通は溢れちゃいますよね?蓋のせいであふれることが出来なくなって破裂しちゃうんですよ!そして水分なんですけどそれが泡の出る条件なんです!魔力が水分に溶けることによって微量の炭酸のようなものが発生することで泡になるんです!そして薬草なんですけど泡が出来る時に発生した微炭酸が薬草の成分に反応してさらに泡ができやすくなるんです!さらに薬草は微量の魔力を有する物があって今回作っていたポーションに使われているものはどれも魔力を持ったものだったんです!そうして魔力が飽和状態となり泡になって溢れるギリギリまで瓶が耐えてそこで初めて爆発するんです!いやーこれは一昨日分かったことなんですけどね!カミーラさんが私の研究室で【浄化】を使うって私を外に連れ出したでしょう?その時私お酒の瓶を落としてしまって、飲むときに空けたら泡が大量に吹き出しちゃってその時にもしかしたらって考えたんです!それが・・・・」
「ブロア!ステイ!もういいよ!」
びっくりした
とてつもなくびっくりした
あの時見た生気の感じない顔をしていたブロアは何処へ行ってしまったのだろう
さっき「夢中になって」って言ってたけどこういうことなんだろうか
カミーラさんが止めてくれ無かったら僕はいつまでも彼女の話を聞いていただろう
「迂闊なこと言ってすみません」
「いえ!私こそ隊長さんに失礼を!!」
「この子はいつもこうなんだよ・・・ごめんねぇ」
カミーラさんがまた頭を下げる
ブロアは舌を出している
「でもブロアを追放しなくて良かったよ、あたしがもっとあんたたちを見てれば・・・」
「ですから!私だってカミーラさんに報告をしてれば・・・」
また頭の下げ合い合戦が始まる・・・
いつまでもやっていそうだし、話を変えてこの争いを止めようか
「とりあえず、頭の下げ合いはそれくらいにして、違う話をしましょうか」
二人を椅子に座らせて話を聞かせる
「まず、ブロアさんの追放の件ですが、ギルド長から聞いたように追放はしないことに決まりました
しかし、開発部門での騒動は解決したとは言えません
そこで、話の落としどころを作る・・・つまり皆が納得できるようにしましょう」
二人が頷いたので僕は話を続けた
「最初に『臭い爆発するポーション』のことです
カミーラさん、ブロアさんが編み出した魔力を込めてポーションの効力を上げる製法についてはしっかりと評価してください」
「ああ、それについては特許申請をこの子の名前で出すから安心してよ
ブロア、よくやったね!」
「・・・!ありがとうございます!」
カミーラさんに褒められてブロアは嬉しそうだ
「しかし、『臭さ』と『爆発』の2点はしっかりと対策してくださいね
また開発部門を調査することになるのは困りますから」
「そうですね・・・まだまだ改良が必要です・・・」
またあの被害が出るのはごめんである
また起きたら獣人たちがストライキでも起こすんじゃないかと思ったくらいだ
「次に、ブロアさんのポーションを購買部門で半額で売っていた件です
これは失敗作?を売っていた購買部門と話合って欲しいです
外部の新人冒険者たちがこのポーションに救われていたようなので
効力の高いポーションがあったおかげで彼らが何度となく命を救われていたみたいです
後ほどポーションを買った新人冒険者たちの意見をまとめた資料の写しをお渡しします」
「それはあたしの仕事だね、しっかりやっておくよ」
「私も協力します!」
その件は資料は渡すけど僕たち追放部門の専門外なので・・・
新人たちにいい環境かいい値段付けがされるといいんだけど、どうなるかわかんないや
「そして次はブロアさんに仕事を押し付けたという先輩方ですね
ブロアさんが不本意かどうかの確認や彼らの処分もカミーラさんがお願いします」
「ブロア、どうして押し付けられちまったんだい?
あんた自分の仕事があるってのに・・・」
「数人は休暇とか家族が小さいとかで少し出勤日を変わっただけだったんですけど・・・
気付いたらいろんな人の仕事が回ってきてたんです」
「いいように使われちまったって事か、これはあたしもでかい雷をおとさないとね」
「ヒィッ!」
カミーラさんの言葉でブロアさんが怯えている
普段から明朗快活なカミーラさんの雷ってそんなに怖いんだろうか
想像が出来ない
「最後に、今回の調査の資料を残したいのでお二人ともサインをいただけますか?」
「ああ、ここかい?」
カミーラさんはササっとサインをしてくれたがブロアはというと・・・
「それって今回調べた私の部屋の惨状も記録に残るってことですよね?そんなのサインしたくありませーん!見られたのも恥ずかしいのにー!」
サインを拒否された
ここにきて駄々っ子かよ!
「今回の件は私も悪かったがあんたも報告とか生活とか部屋の掃除を怠ったのも悪いんだよ!諦めてサインしな!」
とカミーラさんに叱られてブロアは渋々とサインをした
まるで母に怒られる娘だ
でもブロアってカミーラさんよりもかなり年が上なんだよな・・・?
僕はこのことを胸にしまい、今回の案件が終わったことに安堵した
『牡牛の角』から、ブロアは追放されなかった
続き鋭意執筆中
ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです
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