１５話
ジャスティが帰ったので僕とニーナはステーレンの記録と遠征部隊の経費報告書などを精査した
不審な点が見つかるまで記録と照らし合わせるのはニーナが担当
僕は依頼主がこの国に残っているかどうかの確認
要は話を聞く係だ
話を聞くといえば・・・
そういえば戦闘部門の隊長しか面接をしていない
この仕事の合間にほかの部門の隊長の面接をしてしまおう
仕事がゴブリンの集落ように次々と出現するなぁ
そして1週間が経過した
この1週間でできた仕事はいくつかある
まず他の部門の追放対象を知ることができた
各部門の隊長たちとの面談は長かったし辛いものでもあった
隊長たちの中には、泣きながら追放したくないと言う者や怒りに満ちた顔で絶対に追放すると意気込む者もいた
「奴を今すぐ追放させてくれ！！！」
なんて叫ばれたりもした
とりあえず紙に所属と名前と追放理由を書いておいて机のカギのかかった引き出しに入れておく
後でギルド長にも確認をとっておこう
ぶっちゃけこれをもっと早くやるべきだったが
部門始動していきなりの追放案件が重かったのでそっちを優先してしまった
マニュアルを作るべきなんだろうなー
次に依頼主に話を聞くこと
遠征部隊の護衛の仕事のほとんど故郷や他国に帰る人の護衛だった
これは1人だけこの王都で商売をしている人がいた
その人に話を聞きに行ったところ
「確かに『心づけ』は渡したが怪我をした隊員に対してだからねぇ
こっちも依頼した責任感じちゃったし以来の途中でやる気なくされても困るからなぁ」
などの証言を聞くことができた
あまり強い証拠とは言えないが、追放時の証言として使えそうだ
そしてラビヤーからの報告だ
彼女は斥候部門にいた時のスキルを活かして様々な情報を持ち帰ってくれた
まずステーレンの素行について
ステーレンは金遣いが荒く様々な金貸しから借金や酒場でのツケが多いようだ
遠征から帰るたびにすべて払ってしまっているので証拠は金貸しに証文があるはずだ
破棄していなければだが・・・
これは後で確認しに行こう
次に遠征隊の冒険者たちについて
ほとんどの隊員からはあまり情報が取れなかった
ヒラの冒険者たちなので部屋に帰るとすぐ眠ってしまったりするような疲れ切っている者が多いそうだ
ただ一人ボロを出したやつがいた
ジャスティがタレコミをするきっかけとなった遠征で怪我をした冒険者だ
彼の名前は『ヴェレツ』だ
ラビヤーが彼の情報を詳しく話してくれた
ヴェレツはよく遠征中にケガをするそうです
回復部門の方に聞きました
よく彼に回復魔法をかけることがあると
戦闘では優秀なはずの遠征部隊で一人だけ怪我をしやすいのはおかしいと思ったので彼の動向を3日ほど探りました
彼はその間遠征に出ることはなく通常の討伐依頼に出ていたのですが怪我一つなく依頼を達成しました
彼も優秀な冒険者でした
なので私生活で何かないかと探りを入れたところ
酒場でとても酔った彼を見ることになりました
彼は
「いつも俺ばっかり」
「痛い目に合うのはもう嫌だ」
「そろそろ遠征部隊から出たい」
「チーフが怖い」
と愚痴を言っていたんです
それぞれで聞くと依頼でよく怪我をする冒険者なのですが
昼間の依頼で怪我一つなく過ごしている彼が言うのはおかしいでしょう？
なので酒場の店員を買収して質問をさせてみました
あっ経費で落ちますよね？
「報告次第では経費で落ちます」
よかったです
店員に
「チーフってどんな奴なんだ？」
と質問させました
すると
「チーフはオーガみたいな人だ
いつも偉そうで逆らえない
新人の頃に庇ってもらった借金がある」
と言っていました
他にもいろいろありそうでしたが口籠り、周りを見渡して静かに飲み始めてしましました
ステーレンにばれた時のことを考えたんでしょうか？
持っていたメモを折りたたみラビヤーは一息つくと
「こんなところですね」
と言った
素晴らしい
よくぞそこまで情報を集めてくれた
「すごいよラビヤー！一週間でこんないい情報を持ち帰るなんて！」
僕は思わず大きな声で彼女を称賛する
彼女はフフンと鼻を鳴らす
「これならヴェレツに圧力をかけると口を割りそうだね」
「そうですね、吐いた後の身の安全を保障することが必要ですが」
確かにそうだ、ステーレンが復讐しないとも限らない
「よし、そうと決まればヴェレツを呼び出そう」
ステーレンの追放まであと一歩のところまできた
続き鋭意執筆中
ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです
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