12話
ラビヤーを送り出した僕はギルドの受付までやってきた
「すみませーん資料をもらいたいんですけどー」
「そちらの番号木札を取って少々お待ちくださーい!」
朝早くに来たのは間違いだっただろうか
冒険者たちが依頼を受けるために殺到している
あの長蛇の列がいなくなるまで無理かなぁ
近くの椅子に腰かけて呼ばれるまで待つことにした
20分ほど経っただろうか
「32番の方~!」
ようやく僕の番号が呼ばれた
「おはようございますー」
受付の女の子が笑顔で挨拶をしてくる
「おはようございます、追放部門の者なんですけど資料が欲しくてここに来ました」
「あっ追放部門の方ですね!受付部門隊長から伺っています!
隣の受付記録室に行ってください!」
「ありがとう」
受付部門では依頼された記録や預かった報酬の記録などを5年間記録室に保存している
あとから
「依頼金はもっと多く払ったはずだ!」
とか
「依頼した内容と違うことされたのを言えなかったんだけど2年ぶりに思い出してムカついたから言いに来た!」
なんて言われないためだ
なぜ具体的なのかって?
実際にそんなことがあったんだよ・・・
広報部門で働いていた時、こういうことはお止めくださいって説明で例として使ったんだから
そんなわけで受付の記録は5年残している
1年2年くらいなら訴えてくる奴ならいてもおかしくないけど
5年前のことを訴えてくる人はいない
頭おかしいって言われるだけだからね
僕は記録室の扉をノックした
「どうぞ、お入りください」
扉を開けるとそこには老齢の女性が礼儀正しくお辞儀をして待っていた
「ボウさんおはようございます」
彼女は受付部門の隊長のボウさんだ
普段は記録室で受付の記録を残す作業を行っている
ギルド長のギルド発足時の受付だった方だ
受付にもたまに顔を出すことはあるが、他の受付員が緊張してしまうと言って研修以外ではあまりこの部屋から出てこないと聞いている
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「はい、『ステーレン』という戦闘部門の人の依頼記録を精査するために来ました」
「『ステーレン』ですね?そちらにお掛けになって少々お待ちください」
【物体移動】
そう言って彼女が指を鳴らす
すると棚からファイルがひとりでに出てくるではないか
彼女は受付嬢ではあったが優秀な魔法使いでもあった
ギルド長たちとの冒険中に重傷を負ってしまったので受付業務をすることになったらしい
「『ステーレン』の今までの依頼記録はこちらになります」
そう言って彼女が依頼書の束を渡してきた
「こちらを借りていってもいいですか?」
「大丈夫です、では貸出記録と取りますのでこちらにご記入をお願いします」
貸出記録に僕の名前と所属部門、役職を書く
「はい、確かに記録いたしました
くれぐれもご紛失なさらないようお気を付けください」
「ありがとうございます」
用事が終わったのでそう言って部屋を去ろうとすると
「マークさん」
彼女に声を掛けられた
「なんでしょうか」
「追放部門とは大変難しいお仕事かと思われます
無理をしすぎないようお身体にもお気を付けくださいね
初めての案件、応援しております」
「・・・!ありがとうございます!頑張ります!」
追放という複雑な仕事ながらこうして応援してくれる人たちがいるんだ
僕はこの案件を確実に成功させると心に誓い、追放部門の部屋へと帰っていくのであった
続き鋭意執筆中
ライブ感だけで書いているので矛盾があったら教えて欲しいです
感想 いいね ブックマーク よろしくお願いします
Twitterにて更新のお知らせ等しています
@moongekko01




