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6話:授業とレベルの話

 「皆さん初めまして! 今日から皆さんG-1クラスの担当教官となります、アメリア=クロエと申します!」


 結局、俺とゲイツのランク申請は通ったらしく俺たちはGランクのG-1クラスに所属した。

 俺の右隣には当然のようにノアが座っており、その隣にはエリスが座っている。

 学力試験を受けた後のエリスは少し落ち込んでいるように見えたが、今日の朝この教室に向かう途中掲示されていた学力試験の上位10名の中には9位としてエリスの名前があった。

 昨日のエリスの心情は分からないが、おそらくGランクにしか申請できなかったノアに合わせてくれたのだろう。


 「エイジさんとゲイツさんも同じクラスだなんて、びっくりしちゃいました」


 昨日とは変わって()()()()()様子のエリスが俺とゲイツの方を見てそう述べる。


 「ゲイツはともかく、俺にはこっちの方があっているからな」

 「僕は、エイジくんについてもっと知りたいんだ」


 「そうなんですね? また皆さんと一緒でうれしいです!」


 「いつからそんなに仲良くなったのよあんたたち。そんなことよりエリスちゃんね、夜寝るときは――」


 ノアが何かエリスについて話そうとしたとき、エリスがその話を遮る寸前で


 「はいはーい、静かにしてくださーい、早速ですが()()()()()を始めましょう」


 クロエの声が教室に響き、生徒たちは黙って前を向いた。


 注目を集めたクロエの隣に、入学式で()()していた校長レムニスが現れた。


 「やはり、500体近く分身するのはそろそろ辞めにするかの。腰に来るわい」


 「えー、新入生の最初の授業は学校長直々に行うのが古くからの習わしですのでここからは学校長に引き継ぎます。学校長よろしくお願いします」


 「それでは改めて、諸君入学おめでとう。紹介にあったように最初の授業はわしが行うことになっておるのでな、爺の暇つぶしとでも思って聞いてくれたまえ」


 入学式の時ほどではないがどこか古風な話し方で授業を始める。


 「まず、魔法とはなんぞということについてじゃが、教科書にもあるようにかつて古の7人の始祖様によって生み出され、それ以降伝承されてきた人智を超えた力、これが魔法じゃ。始祖様の願いは世界の発展と平和、決して悪事に魔法を使ってはならぬのじゃ。また、魔法を使うときの――」


 昨日の夜寝る前に、昨日配られた数10冊の教科書を読んでしまったため、校長の話は眠くなるだけである。そのため俺は何か進展するまでは眠ろうと、腕を組んで目を閉じた。


 「――イジ、エイジ、起きて。」


 「えー、それでは諸君今説明した通り魔法行使によってレベルを表示させてみてくれ」


 ノアのささやく声で目を覚ますと、周りの生徒たちは次々と魔法を唱え始めた。


 『ミ・ジガオニーベル』

 『ミ・ジガオニーベル!!』

 『ミ、ミ・ジガオニーベル……』


 それぞれの生徒の前に現れた薄い長方形のプレートにはどの方向から見ても反転しない数字が映し出される。

 その様子をレムニスとクロエが頷きながら見守る。


 これは()()()を表示する魔法か、教科書の最初に記されていた基本魔法の1つだな。レベルとはいわゆる魔法使いの能力値を表す数値らしく、詳しい研究は進んでいないがあらゆる()()によってレベルは上がるらしい。


 「ミ・ジガオニーベル。おぉ、42レベルか。エイジくんはどうだった?」


 一般的に入学時のレベルの平均は20-30程度、卒業時には60-70程度らしいのでゲイツのレベルは平均以上といえる。ちなみにそこにいる分身の本体(レムニス)はレベル87らしく、現在世界最高レベルと言われている。



 「ミ・ジガオニーベル――」



 俺のレベルが表示されると同時に周囲は一気に静まり返った。



 ノアでさえも開いた口が塞がらないといった感じだった。



 『え、マジで?』



 最初に口を開いたのは学校長であった。その後分身が消え、すぐに本体が走ってきた。



 次第に周囲がざわつき始める。G(最低)ランクの生徒とはいえこの事態の異常さは理解できたのだろう。



 俺の前に表示されたプレートの文字を見るために列ができている。誰かが伝えに行ったのだろうか、他のクラス・ランクの生徒まで見受けられた。





    エルミート=エイジ

    Level:531





 ――レムニスの87レベルが世界最高レベル()()()ように、レベルの上限は99もしくは100だと言われていたらしい。そんな中で現れた枠から逸脱した常識外のレベルを持った()()()の話は、数時間で学校中に広まった。

 この件については一時的に校長が預かるとのことで、学校外への情報の流出は防がれたが時間の問題だろう。

 一瞬にして時の人となってしまった俺は、入学式のときのゲイツのような反応を期待していたが、現実的な範囲から大きく外れてしまった俺という存在はもはや不気味な存在として扱われた。

 ゲイツは嬉しそうだったし、ノアとエリスは今まで通り接してくれたが、少しぎこちないように感じた。


 あの日はその授業が終わったら解散となり、寮に帰った。その後4日間は授業がないということで、俺は次の日丸一日を使って学校の図書館の本を6割ほど読み切ったが()()()()()に関する考察は進まなかった。


 本を読み漁った次の日から、俺は考えられる一つの()()の検証のために色々と実験を行った。



 そしてその仮説は正しかったようで俺は一つの結論を出した。



 この世界、()()()()()()ぞ――

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