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How are you, おかゆ?

 目が覚めた。


 どうやら、私は、自分の部屋のベッドで寝ていたみたい。時計を見ると、今はお昼の11時くらい。普段なら学校にいる時間なんだけど、昨日、普段は使わない頭を、めいっぱい働かせながら帰って、しかもその日は調子が良くなかったのも合わさって、夜に熱を出してしまったので、学校を休んだ。


 それにしても、おかしな夢を見た。

 あんないきなり、中学校の制服が変わるなんてありえないよね。そんなことしたら、混乱しちゃうし、私以外にも昔の制服で登校する生徒がいそう。なんだか、想像しただけで笑えちゃう。


 確かにブレザーもかわいいけど、私はセーラー服のほうが好き。セーラー服のほうが、(えり)が丸っこくて、ぺたんとしていて、かわいい。最近はブレザーのほうが人気らしいけど、私にはちょっと不思議。



 ベッドの上で、そんなことを考えてたら、ママがおかゆを持ってきてくれた。おかゆって、すごく特別な料理だと思うの。いつもの、元気で、健康な時は食べることができなくて、病気になった時だけの、ご馳走(ちそう)。風邪になっても、悪い寒さに震えていても、食欲が全くわかなくても、これさえ食べれば、元気が湧いてきて、体も治る、魔法の薬みたい。


 きっとおかゆは、身体じゃなくて、心の薬。


 普段のご飯とは違って、温かくて、やさしさが詰まっている感じがして、これが、食べた人の心を治してくれて、そして、その治った心が、身体を治してくれるの。その人の最も深い、人の手では、めったに届かない部分に、「調子はどうですか?」って、天使か妖精が、(たず)ねてくれるみたい。

 そう、これこそがまさに、「How are you?」。もしかしたら、この挨拶も、病気を治してくれるかもね。そんなことを考えて、一人でクスクスと笑っていたら、ママもつられて笑った。

 もう、大丈夫。明日からまた、学校に行ける気がする。


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