How are you, 英語?
「How are you?」
「I'm fine, thank you」
今は中学校の英語の時間。小学校までは少しだけ、英語に触れたけど、中学校になると本格的にやるみたい。中学校は義務教育だから、日本のほとんどの人が、もはや全員と言っても良いくらい、この2つの文を習うのだろうな。私も当然習った。なんて言ったって、私はもう中学一年生なのだから。
授業で習ったから、当然この二つの文を、日本語にできる。「How are you?」は「調子はどうですか?」となって、「I'm fine, thank you」は「私は元気です。聞いてくれてありがとう」という意味になる。先生が言っていたんだから、日本語の意味はこれで合っているはず。どうやら、アメリカの人たちは、会うたびにこうやって、お互いの体調を聞くみたい。毎回、挨拶と一緒に、相手の体調を気遣うなんて、素敵!
きっと、アメリカの学校では、朝の学活の前には、友達みんなで「How are you?」「I'm fine, thank you」って挨拶をしているんだろうな。教室じゃなくても、登校中の道端でも、授業の合間にある休み時間の廊下でも、それに、学校で会う約束をして、それを楽しみにして、放課後が待ち遠しくて、少し浮かれながら授業を受けて、待ちに待った、6時間目の授業の終わりのチャイムが鳴って、帰りの学活で先生とクラスの友達にさよならを言いながら、心の中では数時間後の約束ばかりを考えてて、急いで帰って、カバンと制服を投げ捨てようとして、「ちゃんと制服はハンガーにかけておきなさい」というママの言いつけを思い出して、慌ててハンガーに制服を引っ掛けて、時計を見たらもうすぐ約束の時間! 買ったばかりの服を着て、ないしょで買った香水をつけて、ちょっぴり大人気分になって、ドアを開けて、いつも待ち合わせをする公園に着いて、友達を見つけて、「How are you?」私もアメリカに行ってみたいな!
でも、本当に言っているのかな? どうしてだろう? なんだか少しだけ引っかかる。でも、わざわざ授業中に手を挙げて、「本当にアメリカの人は、いつもこう言って挨拶するんですか?」なんて聞くのは、ちょっと気恥ずかしい。それに、きっとこんなこと聞いたって、「本当です」としか返ってこない気がする。いや、そもそも、本当か嘘かを聞きたいじゃないんだと思う。でもうまく言えないや。こんなこと考えているうちに、授業が終わってた。私は、あわてて起立と礼をした。




