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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第6章 転機
98/150

 98 『不変的感覚(キミを想う気持ち)』

 あの曲を初めて聞いた時のことをオレは覚えている。


『じゃあ、いくぞ』


 そう言って、オレのベッドの縁に腰かけていた兄。床に座って観客のように見つめていたオレ。


『曲名はまだつけてないんだ』


 そう告げてから歌いだした。

 あの時、愛優ちゃんと一緒に帰れることになったのに、なにも話せずガックリと肩を落として家に帰ったとき、オレを励まそうと作ってくれた曲。オレの部屋で兄貴がオレのために作ったと言って、聴かせてくれた歌。

 感想を聞かれて、歌詞が恋愛をしている人の心には刺さると感じたことと、曲調がバラードで胸に響くと少し興奮気味に伝えたのを覚えている。


 それほど、その時のオレには共感できるものだった。


 その後ライブではじめてタイトルを聴いて、なるほど兄貴らしいなと感心したっけ。




『不変的感覚(キミを想う気持ち)』


♪ キミが好きなのは

  ボクの中では

 変えようのない事実で

 変わりようのないこと


 キミがボクの中で

 大きな存在に

 なっていることにもう

 気づいてしまったから


 ほんの小さなきっかけで

 キミと出逢うことになって

 毎日の色が変わっていった

 鮮やかないろになった


 モノトーンの出来事さえ

 原色に変えてしまうほどで

  色あせた現実さえ

  パステルカラーになる


 キミが好きなのは

  ボクの中では

 変えようのない事実で

 変わりようのないこと


 ボクの中心に  

 キミがいるのは

 変えようのない事実で

 変わりようのないことだから ♪





 途中、全身に鳥肌が立つ感覚を憶えた。


 兄のソロで始まったギターに途中から優希さんのピアノが入り、それだけの伴奏で静かに語りかけるように。

 サビの部分では情熱的に想いを込めて歌う姿はカッコよくて、弟のオレでも見惚れるほどだった。


 最後はまた兄のソロで締めくくられ、兄は最後のストロークを弾き終わると、余韻とともにゆっくりと右手のひらで弦を押さえ消音した。


 ライブでは、オレの部屋で聴いた時より少し手を加えられていてまた違った雰囲気で心に沁み、所々に奏でられる『major7』の響きがなんとも言えず心に残った。

 

 その曲を4人で。

 オレと兄貴でギターを弾きながら歌えるなんて。

 兄貴がソロで弾き始め、オレがすぐリードを弾く。といってもメロディーの邪魔にならないようなオブリガード的な感じになると思うけれど。

 兄貴が歌い、サビの部分ではオレも伴奏を弾きながらハモる。


 2番からは優希さんと愛優ちゃんの連弾で盛り上げてくれるということだ。


 それぞれに練習して、4人で合わせるのは本番前のリハーサルと本番のみだ。

 リハーサルで細かいところを調整して本番、ということなので、すぐに対応できるぐらいには練習をしておきたい。


 そしてこのコンサートがオレにとって、その後の人生に大きく関わることになるなどと、その時のオレは知る由もなかった。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 98 『不変的感覚(キミを想う気持ち)』まで読みました。 音楽要素が登場してきましたね! 特別なコンサートになりそうですね。
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