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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第1章 はじまり
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  9 不敵な笑み

 友人の「ふふふ」という不敵な笑みを、いぶかしげに見ていたオレだが、彼が次の言葉を発する前にチャイムが鳴った。と同時に担任が教室に入ってきてホームルームが始まる。


 当然クモの子を散らすように、生徒達は自分の席についた。


 ヤツは前方の席についてからも、ときたま振り返りあの「笑み」を浮かべる。

 まあ、いささか気にはなるが、そればっかり考えているほどオレはヒマじゃない。 





 その後友人の『A』とでもしておこうか、そいつはオレに何か言うわけでもなく、聞いてくるわけでもなく。

 たまに嫌な視線を感じてそちらに目をやると、例の「ふふふ」と言わんばかりの不敵な笑みを浮かべるだけ。

 なんだか気持ち悪いなと思いつつも、放課後また部活のため教室を後にする。




* * *


 それから数日経つが、あれ以来涼風(すずかぜ)愛優あゆとは何の進展もなく、あの相合い傘で帰った日以前と同じ状況に戻った。

 つまり、ただのクラスメートっていうことか。


 まあ、あの日相合い傘で帰った2~3日後くらいまでは、軽く会釈なんかを交わしたりしていたが、そのうちに朝も昼も放課後も、目は合うけれどもお互いになんとなく逸らしてしまう。

 そんな状況が続いている。


 あの日彼女が家の前で言った「今度、一緒に帰ろ」という言葉がふと脳裏をよぎる。


 ひょっとしてオレが誘わなくちゃいけないのか?


 いやいやいや、ムリだろ。


 オレはシャイなんだ。

 奥手なんだ。

 硬派なんだ。


 自分から帰ろうなんて、そんな甘ったるいこと。

 ……言えるかっ!


 でも。でもな。


 一緒に帰りたいよな。


 そのためには自分から行動しなくちゃいけないことは解ってる。

 解ってはいるのだが、なかなか行動に移せないヘタレなオレがいる。

 男は度胸だ! 勢いだ!


 いつか、いつか何かのきっかけがあれば、その時に誘ってみよう。

 よし。


 って毎日思うんだけど。



 そうして学校と部活に明け暮れる毎日を送っていたある日のこと。

 期末テスト初日の放課後、数名が教室に残り次の日のテストに備えて自主的に勉強をしている。

 例に漏れずオレも涼風も机にかじりついているわけだが。

 そのうちひとり、またひとりと人数は減っていき、いよいよオレと彼女ふたりになってしまった。


 なんだか気まずい気もするが、キリのいいところまで済ませてしまおうと思っていた矢先。


「そ~ら~」


 教室の入り口辺りからオレを呼ぶ聞き覚えのある声。

 また例の笑みを浮かべながらやってくる。アイツだ。

 今まで特に関わってくることはなかったのに。



お読み下さりありがとうございました。


次話「10 一緒に帰る?」もよろしくお願いします!

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