表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第6章 転機
89/150

 89 驚き

「実は……」


 倉井が言うと、オレはゴクリと唾を飲み込み、次の言葉を待った。


「先ほど犯人が解ったと申し上げましたが、我が校の学生でした」


 倉井は眼鏡の端を左手でクイッと上げる。


「えっ!?」


 オレと愛優ちゃんは同時に聞き返す。


「そうです。それどころか私の独自の調査によりますと、どうやらあなた方ふたりとは面識があるようで」


「なんだって? 面識があるってことはオレ達の知ってるヤツなのか?」


 ということは……。愛優ちゃんが押されたときに犯人かと思ったヤツは、オレには見覚えのないヤツだった。アイツは犯人じゃなかったということか。


「そうですね」


 倉井はその『犯人』の名前を、少し躊躇ためらいながらも告げてくれた。

 オレと愛優ちゃんは、その名前を聞いて驚きを隠せない。


「どうしてアイツが……」


「信じられない」


 オレ達が茫然としている中、倉井は「それで……」と切り出す。


「名前を聞いた今、どうしますか?」


「どう……って」


 考えてもいない相手だったので、どうするか思考が及ばない。


「理由を聞きたいのではなかったのですか?」


 そうだ。自分たちの不注意ではなく、誰かが故意にとった行動でオレも愛優ちゃんも危ない目に遭って、怖い思いをした。その理由をどうしても聞きたかった。


「だけど……」


 オレの返答を最後まで聞かずに、倉井はさえぎった。


「相手によって変わるほどの意識だったのですか!」


 珍しく声を荒らげた倉井の言葉に、ハッとする。


「そうだな。相手がどうこうっていう問題じゃない。オレ達はただ理由が聞きたい。それだけだ」


 オレが言うと、愛優ちゃんも隣で「うんうん」と頷いている。


「では、どうしますか?」


「会って話してみるよ」




* * *



 それからソイツを呼び出すことにした。

 オレが電話で呼び出してもよかったんだけど、気を利かして倉井が電話をかけてくれるという。


「オレがかけるよ」


「空くんがかけると、その場で理由を聞いてしまうんじゃないですか? なぜ呼び出すか、理由を告げてしまうのじゃないですか? 相手も呼び出される理由を聞いてしまっては、のこのことやっては来ないでしょう。そして彼との関係性を考えると、こういうことは直接会って顔を見ながら話した方がいいように思いますよ」


 倉井は眼鏡の端を左手でクイックイッと二度上げる。


 オレは少々焦っていたのかもしれない。

 こういうことは落ち着いて、ゆっくりと対処した方がいいんだ。

 そこに気づかせてくれた倉井がいてくれて、ありがたいと思った。


「そうかもしれないな。じゃあ、頼むよ」



 それから倉井は電話をかけた。相手はこのカフェに今から来るという。


「てか、どう言ってこのカフェに来るように誘ったんだ?」


 倉井とアイツが休日に待ち合わせをするほど仲がいいとは聞いたことないし、アイツだって理由を聞いたら、バツが悪くて素直にここに来るとは言わないだろうし。


「それは企業秘密です」


 倉井は眼鏡の端を左手でクイックイッと二度上げる。


「高校生だろっ!」


 っと一応ツッコミは入れておく。

 その場は和んで笑い合ったが、恐るべし倉井の隠された特技!


 オレ達はソイツがカフェに来るまで、下らない冗談を言い合って、緊張を紛らわせた。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました。犯人はなんと身近に…それをリサーチして、しかも呼び出してしまう倉井くんが凄いですね。どういうことになるのか、とても気になります。続きも楽しみに、これからも読ませていただ…
[良い点] 89 驚き 読みました。 誰が犯人なのか!? 気になりますね〜。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ