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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第6章 転機
87/150

 87 考察

 ロッカールームでチームメイトの話を聞いた次の休日。

 部活がなかったのをいいことに、オレは今、愛優ちゃんと彼女のお気に入りのカフェでいつものアイスコーヒーを飲んでいる。

 もちろん愛優ちゃんはいつも通りのアイスココアを美味しそうに飲んでいるけど、彼女とふたり、楽しい休日を過ごすために待ち合わせ……したわけではない。

 後から倉井も合流して、めでたく3人でデート、ってわけでもない。


 倉井は「ちょっと調べたいことがあるから」と少し遅れてくるらしい。

 だからそれまでは愛優ちゃんと、オレの中ではデート気分。

 もちろん彼女の気持ちなんて解んないから、あくまでもオレのこころの叫びみたいなもんだけど。


 本題は倉井が来てからということで、オレと愛優ちゃんは奥の窓際の席でたわいない会話を楽しんでいる。


 キラキラと輝く瞳に吸い込まれそうになって、アイスコーヒーにむせてみたり、その様子を見て「大丈夫?」と心配そうに覗き込む上目づかいにドキッとしてみたり。

 今日のオレのこころの中はなんだか忙しい。


 オレのくだらないジョークにケラケラと笑ってみせたり、コロコロ変わる彼女の表情は、どんなに見ていても飽きない。つか、ますます好きになっていく。


 このままふたりでデートだったらいいのになぁ。

 なんてつい思ってしまう。倉井には悪いけど。


「これはこれはお邪魔でしたかな」


 突然後ろから現れたもんだから、オレも愛優ちゃんも飛び上がるほどビックリした。


「うおおー。なんだ、倉井か」


「なんだとはまた失礼な」


「悪い悪い。でも、急に現れるからビックリしたんだよ」


「急にではありませんよ。待ち合わせしていたではないですか」


 倉井は眼鏡の端を左手でクイッと上げる。


 それはそうだけど、やっぱり不意に来られるとびっくりするよな。


「まあまあ、いいじゃない。ふたりともホント仲いいわね」


 愛優ちゃんはオレ達の様子を見てクスクス笑っている。

 まあ、仲悪くはないけど。


「それで本題ですが」


 倉井は相変わらずマイペースで、またいきなり話題を変えてきた。


「なんだ、いきなりだな」


「はい。いろいろと情報を集めて参りましたので、早くお伝えした方がいいかと思いまして」



 それから倉井は例の注目選手がいきなり交差点や、駅のホームで押されるなどしてヒヤッとするという出来事に関しての報告をしてくれた。今の段階で解っているかぎりの関係者や、目撃者の話などをまとめてきたという。

 流石、倉井。仕事が早い。


 オレは先日ロッカールームで話を聞いてから、この一連の事件と、オレと愛優ちゃんが遭遇した出来事に関連性があるのか知りたかった。

 それで冷静で分析力に長けている倉井に相談したんだ。

 すると自分なりに調べてみると言ってくれた。

 ホントいいヤツだよな。


 倉井に一通り彼の考察を聞いてみた。

 彼が言うには、やはり嫉みが関係しているのだそうだ。


「哀しきかな、こころの弱い人間は嫉妬には勝てませぬ」


「というと?」


「嫉妬とは、相手の方が自分より優れていると感じた時に生じるものです。羨望とはまた違う心情です。ひとは自分と同じかそれ以下だと感じていた人物に対して、自分よりいい結果が現れたときに、または到底敵わないと悟ったときに生じるものだと思われます。それは自分で意識していないときにも現れることはあるようですが、大抵は自分で認識できているものと思われます。そして強いこころを持つ者はその嫉妬心に打ち勝って、自分を向上させるバネにするのですが、こころの弱い者は、嫉妬を妬みという感情に進化させ、相手を憎んでしまうのです」


 いつものように倉井は一気にまくしたてる。

 そしてまた眼鏡の端を左手でクイッと上げた。


 嫉妬という感情については個人差があると思うので、倉井の言っていることが全て正しいかは解らないが、概ね理解はできた。しかし相変わらず小難しい言い回しだな。


 だが、仮に倉井の言うことが確かだとして、オレが誰かに嫉妬されるようなことってあるのか?


「そこでですね」


 倉井は続けた。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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