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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第5章 気力
75/150

 75 計画通り?

 暑い暑いと言いながらも、オレは愛優ちゃんとの計画通り、愛優ちゃんお気に入りのカフェに兄貴と出かけることに成功した。

 そう。そこで偶然にも涼風姉妹と遭遇するという予定で。


 


* * *


 水色に塗られた木製のドアは、見た目よりは軽くスッと開く。

 ドアの振動で、上部に取り付けられていた鈴のようなものが、いつものようにチリリンと軽やかな音を立てて来客を知らせた。

 外の蒸し暑さとは打って変わって、冷房の風が心地良い。


「へえ。ここが愛優ちゃんお気に入りのカフェか。いい雰囲気の店だな」


「だろ~」


「いらっしゃいませ」と現れた店員に促され、奥の窓際の席につく。


 オレは兄貴を誘うときに言った言葉を思い出し、メニューを見ながら、アイスココア、アイスコーヒー、炭酸飲料以外の美味しそうな飲み物を探す。


「兄貴はなんにする?」


「オレはアイスコーヒー」


「やっぱり。オレはどうしよっかなー」


 オレもホントはアイスコーヒーか炭酸飲料が飲みたい。

 だが、兄貴に『今度彼女と行くまでに他の美味しい飲み物を発掘したいんだよ』なんて口からでまかせ言っちゃったからなぁ。


「これなんかどうだ?」


「どれどれ」と兄貴が指さした先には『とろっとろマンゴーのそのまんますりおろしジュース』とあった。

 美味しそうな名前だけれど、あまり甘い飲み物はかえって喉が渇きそうな気がする。


「ちょっと可愛すぎない?」


 そう言いながら、店内を見渡し涼風姉妹を探す。

 しかし彼女たちの姿はなく。オレはスマホを取り出し、それとなく時間を確認した。

 約束の時間まではまだ20分近くある。

 ゆっくりメニューを見て時間をつぶすか。


 と、そんなことを考えていると、またいつものようにチリリンと軽やかな音を立てて、水色に塗られた木製のドアが来客を知らせた。

 オレは期待を込めて、兄貴は半ば無意識にドアに目をやる。


 二人連れの美人姉妹は、いち早くオレ達に気がつき、手を振っている。

 そこへ現れた店員と、こちらを見ながら二言三言交わし、涼風姉妹はオレ達のテーブルまでやって来た。


「わあ! びっくりした!」


 優希さんが驚いた表情でそう発する後ろで、多少の苦笑いを含んだ面持ちの愛優ちゃんが「ホントに」と頷いている。

 兄貴も嬉しい偶然と言わんばかりに満面の笑みを浮かべ、「愛優ちゃんお薦めのお店に、どうしても行きたいって空が言うから」といらぬことを口走っている。


「雰囲気がいいから、兄貴もきっと気に入ると思って。こんなところでふたりに出会えるなんて、ビックリだよ。ほんと、偶然だなぁ」


 いやあ、なんだか急に口が回る。

 しかし最後の方は棒読み風になってしまった感は否めない。上手く信じてくれたかは解らないが、この偶然を喜んでくれているようでホッとした。


 さあ、これからが本番だ。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 愛優ちゃんも空くんも可愛いなぁ~♪(*^▽^*) お兄ちゃんが弟思いなところのエピソードが、ほのぼのとしてて何だか癒されます。 お兄ちゃんとお姉ちゃんが上手くいきますようにっ!!
[良い点] 75 計画通り? 拝読しました。 涼風姉妹に会えて良かったですね! ここからいかに進行させるか、といったところで、楽しみです〜。(^○^)
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