75 計画通り?
暑い暑いと言いながらも、オレは愛優ちゃんとの計画通り、愛優ちゃんお気に入りのカフェに兄貴と出かけることに成功した。
そう。そこで偶然にも涼風姉妹と遭遇するという予定で。
* * *
水色に塗られた木製のドアは、見た目よりは軽くスッと開く。
ドアの振動で、上部に取り付けられていた鈴のようなものが、いつものようにチリリンと軽やかな音を立てて来客を知らせた。
外の蒸し暑さとは打って変わって、冷房の風が心地良い。
「へえ。ここが愛優ちゃんお気に入りのカフェか。いい雰囲気の店だな」
「だろ~」
「いらっしゃいませ」と現れた店員に促され、奥の窓際の席につく。
オレは兄貴を誘うときに言った言葉を思い出し、メニューを見ながら、アイスココア、アイスコーヒー、炭酸飲料以外の美味しそうな飲み物を探す。
「兄貴はなんにする?」
「オレはアイスコーヒー」
「やっぱり。オレはどうしよっかなー」
オレもホントはアイスコーヒーか炭酸飲料が飲みたい。
だが、兄貴に『今度彼女と行くまでに他の美味しい飲み物を発掘したいんだよ』なんて口からでまかせ言っちゃったからなぁ。
「これなんかどうだ?」
「どれどれ」と兄貴が指さした先には『とろっとろマンゴーのそのまんますりおろしジュース』とあった。
美味しそうな名前だけれど、あまり甘い飲み物はかえって喉が渇きそうな気がする。
「ちょっと可愛すぎない?」
そう言いながら、店内を見渡し涼風姉妹を探す。
しかし彼女たちの姿はなく。オレはスマホを取り出し、それとなく時間を確認した。
約束の時間まではまだ20分近くある。
ゆっくりメニューを見て時間をつぶすか。
と、そんなことを考えていると、またいつものようにチリリンと軽やかな音を立てて、水色に塗られた木製のドアが来客を知らせた。
オレは期待を込めて、兄貴は半ば無意識にドアに目をやる。
二人連れの美人姉妹は、いち早くオレ達に気がつき、手を振っている。
そこへ現れた店員と、こちらを見ながら二言三言交わし、涼風姉妹はオレ達のテーブルまでやって来た。
「わあ! びっくりした!」
優希さんが驚いた表情でそう発する後ろで、多少の苦笑いを含んだ面持ちの愛優ちゃんが「ホントに」と頷いている。
兄貴も嬉しい偶然と言わんばかりに満面の笑みを浮かべ、「愛優ちゃんお薦めのお店に、どうしても行きたいって空が言うから」といらぬことを口走っている。
「雰囲気がいいから、兄貴もきっと気に入ると思って。こんなところでふたりに出会えるなんて、ビックリだよ。ほんと、偶然だなぁ」
いやあ、なんだか急に口が回る。
しかし最後の方は棒読み風になってしまった感は否めない。上手く信じてくれたかは解らないが、この偶然を喜んでくれているようでホッとした。
さあ、これからが本番だ。
お読み下さりありがとうございました。
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