7 次の日の朝
今日の朝練は6時15分から。冬は7時からだけど、日の高い時期は6時30分から。だけどなんか監督から話があるとかで、今日はいつもより15分早い。
家から学校までは歩いて15分。
いつもはユニフォームに着替えてグラウンドに集合するのが6時30分だよ。
それからストレッチをして、軽くグラウンドを30周。
その後は入念に柔軟をやって、最後に軽くキャッチボールなんかをして、8時には朝練を終了し部室へと戻る。その後着替えたり、一応身だしなみを整えたりしつつ雑談なんかを交えつつ。
8時20分には教室に入りたいところ。
今日は監督の話が始まる6時15分には着替え終わっている必要がある。
ということは、遅くとも6時には部室に着いていたいんだが。
だけど。
時計は5時32分。今から着替えて顔洗って……て。
朝ご飯を食べてゆっくりしてる時間なんてないよ!
寝ぼけ眼で部活なんてできないから、いつもは出かける1時間前には起床して、ゆっくり準備し、朝食を摂り、出かけるのに。
オレとしたことが。
大急ぎで身支度を整えて自室を飛び出した。
そのまま一刻も早く出発せねば、と思いつつも歯を磨き、あまり整え甲斐のない短髪を整え、ダイニングへ向かう。
母親に「行ってくるわ」と声をかけ、玄関に向かおうとした矢先、「朝ご飯を食べて行きなさい」と言われる。
「そんな時間ないよ」
オレがそう言うと、なんかグチグチ始まったぞ。オレは玄関で靴を履こうとしてるのに、わざわざ玄関先までやって来て、朝食を抜くと身体に悪いだとか、もっと早くに起きろとか。
時間のないときに、ああだこうだと言われて、ついカッとなって言ってしまった。
「それならもっと早くに起こしてくれればいいじゃん」
案の定、母の眉間にしわが寄る。
「はあ? 何度起こしたと思ってるのよ」
なんだって?
「起きるまで起こしてはじめて『起こした』って言うんじゃないのか?」
「起きなかった自分が悪いのに、へりくつ言うんじゃありません!」
もう、こんなところで言い合ってるのも時間の無駄だ。
「はいはい。以後気を付けます。もう時間無いし」
そう言ってドアを開けようとしたときに、「ちょっと待って」と台所の方へ行ってしまった。
おいおい、勘弁してくれよ。こちとら時間に追われているんだよ。
「もう、時間無いから行くよ」
そう言って一歩を踏み出したときに、母から手渡された2つの包み。
「おお! ありがとうございます!」
お読み下さりありがとうございました。
次話「8 次の日の教室」もよろしくお願いします!