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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第5章 気力
68/150

 68 とある日曜日(1)

 次の日曜日。

 あの甲子園敗退、その後の『これからも頑張ろう会』から数日経ったわけだが、なにがどうなったのか、今オレは愛優ちゃんと彼女のお気に入りのカフェでアイスコーヒーを飲んでいる。

 愛優ちゃんは凝りもせず、アイスココアを美味しそうに召し上がっているのだが。


 先日、兄貴は自分の本心を隠して、大好きな優希さんの夢を応援したいと笑顔で言った。

 オレは兄貴の気持ちを尊重したいし、応援したいと思っている。もちろんそんな兄貴を尊敬もしている。

 だけど、ふと思ったんだ。優希さんはどう思っているのだろうかって。


 優希さんは兄貴と離ればなれになって平気なのだろうか。

 夢を追いかけるって、そんなに大切なことなのだろうか。


 好きなひとと一緒にいる。これほど幸せなことはない。

 夢を追いかけ実現する。これほどの幸福感は他にない。


 では、どちらを優先するべきか。

 どちらも本人にはかけがえの無いこと。他のものと比べようもないし選びようもない。


 好きなひとと共に過ごしながら夢を追いかける。それが理想だろう。

 だが、それが叶わないとしたら。両立できないとしたら?

 オレならどうするのだろう。


 もし今、愛優ちゃんと付き合っていたとして、野球の道に進もうとするとき、離ればなれにならなければいけないとしたら?

 はたしてオレはどちらかを選べるのだろうか。

 あくまでも愛優ちゃんと付き合っていると仮定してだが。


 兄貴もきっと音楽の道に進むのだろう。

 優希さんも同じ音楽だがジャンルの違う道に進むのだろう。

 ふたりで同じ夢を見つめていられるならいいのだが、それが叶わないとしたら。

 きっと辛い決断だったに違いない。


 別れるわけじゃなくても、遠く離れていてはお互いのことを知りようもない。

 今日はどんな朝だったか、日中は楽しく過ごせたか、夜は寂しくないか、とか。

 離れていればいるほどに、こころの中での割合が大きくなるかもしれない。

 でも、そんな日が長期にわたれば、だんだんと気持ちの割合が減ってきて、しまいにはほかのことがこころの大部分に居座っているかもしれない。


 そんな不安を抱えても尚、兄貴は優希さんの夢を応援しようとしている。

 もの分かりが良すぎるよ。

 優希さんはどうなんだろうか、それがものすごく気になった。



「やっぱアイスココアは最強だよね~」


 嬉しそうに仰る愛優ちゃん。

 彼女にオレの気持ちをぶつけてみようと思う。

 愛優ちゃんがどう感じているのか、優希さんがどう思っているのか。

 それを聞きたくて、オレには珍しく愛優ちゃんをカフェに誘ったのだが。


「愛優ちゃんにはアイスココアが似合うよね~」


 って、なに言ってんだオレ。



お読み下さりありがとうございました。


聞きたいことがあるのになかなか切り出せない空。

だけどこのままじゃもやもやする。

はたしてちゃんと聞けるのだろうか。


次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] アメリカへ行ってしまうのですね……。 寂しそうです……。 最後の『って、なに言ってんだオレ。』が笑えました。(^-^)
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