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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第1章 はじまり
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  6 マジか……

 オレが兼ねてよりお慕い申し上げている、クラスメイトの涼風すずかぜ愛優あゆ。彼女を相合い傘で家まで送り届けた後、ドキドキとニヤニヤと共に家路についたオレは、どこをどう歩いたのか気づけば家の門の前まで辿り着いていた。


 ふと見上げた我が家はごく一般的な一軒家。先ほど見上げた彼女の御殿とは大違い。

 だけど、オレは生まれ育ったこの家が落ち着くし、気に入っている。


 門から玄関までも、さっきのお城と違って程よい距離。


 「ただいま~」


 玄関のドアを勢いよく開けて、元気よく帰宅を告げる。

 台所から母親の「おかえり~」という声が飛んでくる。


 いつもの光景。


 オレは自室にカバンを置くと洗面所に向かい、部活で汚れたユニホームを洗濯機に放り込み、シャワーを浴びる。

 部活後、ロッカーで練習後の汗をタオルで拭き、一応の身だしなみとして少しばかり爽やかな香りのする、汗をかいたあとで拭き取りつつベタつきを抑える『ウエットな汗取りシート』を使っている。

 使ってはいるが、今日は帰り道の出来事で、また汗をかいたもんだから。




 夕食後、自室に戻り今日の復習と宿題にとりかかる。

 だけど、やっぱり夕方の出来事を思い出し、その度にくうを見上げて耽ってしまい、なかなか進まない。


 気づけば時計の針は23時を指していた。


「やっべ」


 取りあえず大急ぎで宿題だけはなんとか片付け、明日の部活の朝練に備えるために、ベッドに潜り込む。


 それでも、その後はなかなか寝つけなくて。

 


 


 次の日。

 部活の朝練のためにいつものように早起きをしたオレは、いや、昨日の喜びを胸に少し寝つけなくて時間ギリギリまで寝ていたオレは、どこからともなく聞こえてきた母親の「朝ご飯できたわよ~」という声につられて起き上がった。


 時計は5時30分。

 時計は5時30分。


 大事なことだから2回確認した。


 人間、あまりに驚くと、しばらく固まってしまうもんだな。


 もう一度確認しよう。


 デジタル時計が5時31分と告げている。


 そっか。5時31分か。……って、ええー!


 おい、しっかりしろ空。

 これは夢だ。そうだ。夢に違いない。

 オレは自分にそう言い聞かせ、右手でほっぺをつねってみる。


 いてっ。


 ということは……マジかよ。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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