45 告白(2)
甲子園出場を祝って開いてくれたパーティーも終わり、兄貴と一緒に涼風姉妹を家まで送って行く道中。オレは愛優ちゃんとの会話の中で、ふと兄貴とのやりとりを思い出した。
その時は映画が始まる直前だったため、話は途切れてしまい。肝心なことを聞けずにいた。
兄貴の好きなひとって誰なんだろう。
オレの知っているひとなのだろうか。
とは言っても。兄貴の交友関係をそれほど知っているわけではない。
バンドのメンバーくらいしか知らないし。その中で女性は優希さんだけだしな。
兄貴との会話の中でも、大学の友人の話よりもバンドの話の方が多いし。
優希さんとはどうなんだろう。
彼女の方が兄貴よりひとつ年上だけれども、そんなことは感じさせないほどの可愛らしさがある女性。でもどことなく大人なオーラを纏っている。
あんなに楽しそうに話していて雰囲気もいいのに。
聞いてみたい気もするが、いつか兄の方から言い出してくれるまで聞かないことにしよう。
ホントはすごく聞きたいけれど。
愛優ちゃんもふたりのことを「いい感じ」って言っているし。
オレは「そうだな」と短く答えたが、そのことについて少し話したくなった。
「ふたりは付き合ってるの?」
いきなりの直球質問だが、回りくどく言うのは性に合わないので。
愛優ちゃんは少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに返してくれた。
「さあ。付き合っちゃえばいいのにとは思うんだけど、そんな話は聞いてないな」
「そっかぁ」
「もし付き合ってるなら、話してくれると思うんだ」
「そうなの?」
「うん。私たちは仲良し姉妹なので」
そう言ってケラケラ笑う彼女は可愛くて。
「見てれば解るよ」
こっちもつい笑顔になる。
「そう? 空くんたちも仲良し兄弟だよね」
そう言いながら目を合わせる彼女は輝いて。
「うん。めちゃ仲良し」
つい口もとが緩む。
「ほんと、あのふたり付き合っちゃえばいいのにね」
そしてつい言ってしまいたくなる。
「ホントだよな」
まだ言いだせないひと言を。
* * *
涼風姉妹を家まで送って、「おやすみ」「またね」などと言葉を交わし、兄貴とオレは自宅へと歩みを始めた。
その道中。
街灯に照らされた通りをゆっくりと歩きながら、今日のパーティーの話になった。
「それにしても。オレ、リビングのドアを開けた時はビックリしたよ」
「え? なにが?」
解っているくせに、とぼけた表情でわざとらしく聞き返す兄。
「だってさ。家族だけのお祝いの会だと思ってたからさ」
「サプライズゲスト!」
「ほんっと、兄貴は昔からそういうの好きだよな」
はははと笑いながら「嬉しいくせに」とか「照れんなよ」なんて言ってくる。
オレはきっと真っ赤なゆでだこのような顔になっているに違いない。
それでも尚、兄貴はオレを揶揄いながら、片方の肘でオレの脇腹をつっついてくる。
「やめろよ~」
なんて言いながらじゃれ合っているオレ達は、まるで高校生のようだ。……って、オレは歴とした高校生だけど。
兄貴はにやにやと横目でこちらを見ていたが、正面を向きフッとひとつ小さく息を吐いてひと言発した。
お読み下さりありがとうございました。
次話「 46 告白(3)」もよろしくお願いします!




