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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第4章 大切な人たち
40/150

 40 地方大会決勝戦(2)

 1回の裏、ワンアウト1、3塁でオレの出番を迎えた。

 できればホームランといきたいが、少なくともヒットを打ちたい。

 若しくは外野フライでタッチアップを狙いたい。


 右のバッターボックスの手前で大きく深呼吸をする。

 先取点を取れるかどうかは、4番バッターのオレにかかっていると言っても過言ではない。


 緊張したオレを応援団の声援がリラックスさせてくれる。

 

 気負わず、監督がさっき声をかけてくれたように、思い切っていこう。


 相手のピッチャーも点を入れられたくないだろうから、必死のピッチングをしてくるに違いない。

 バッターボックスに入り、気迫では負けまいと、「よし来い!」と相手のピッチャーを見据える。


 甘いボールがきたら全力で振り抜いてやる。

 そう意気込んで迎えた第1球目。



 と、少し大きめのリードをとっていた1塁への牽制球けんせいきゅう

 1塁ランナーは頭から滑り込む。


 微妙なタイミングだったが、1塁の塁審の判定はセーフ。


 気を取り直して投球を待つオレ。


 今度はあまりリードをとっていなかったにも関わらず、1塁を牽制する相手ピッチャー。


 打ってやるから早く投げろと、少しイライラしだしたところにどこからか「落ち着いていけ~」と声がかかる。

 スタンドからだろうか。

 声のした方をチラッと見ると、そこにはピースサインとともにニカッと笑う兄貴が見えた。


 緊張とイライラがつのっていたが、兄の言葉とその姿に冷静になれた。


 そうだ。意味のない牽制をしているのは、相手も緊張しているからだ。

 若しくはオレの集中力を途切れさせるためかもしれない。


 イライラさせて、誘い玉に手を出させるつもりかもしれない。

 その手は食わない。

 集中してじっくりと見極めてやる。


 もう一度深く息を吸い込んで、緊張を口から吐き出す。


 オレは兄に頷いて見せて、「さあ来い!」とピッチャーを睨みつけた。



 相手ピッチャーが振りかぶって、今度こそ勝負だ!


「ボール」


 審判が短く言う。


 大きく外れたボールは相手ピッチャーの気持ちと比例しているかのようだ。

 

 気を取り直して第2球を待つ。


 さあ来い! 打ってやる!



 ピッチャーの手から離れたボールは真っ直ぐにホームベースに向かってくる。


 よし、いただいた!


 思いっきりバットを振る。


 カキンと金属バットが音を立てたと同時に、オレはバットへの負荷を思いっきり弾き飛ばす。


 振り抜いたバットを手放し、1塁まで全力疾走だ。

 その間に3塁走者はホームに帰り、見事先制点をゲットした。


 その後の打者は外野フライと三振に倒れたが、取りあえずは1点先取できたのでよかった。


 さあ、次の回も頑張ろうとマウンドに向かう。



【本文補足】

タッチアップ:フライが捕球されたのを確認して(見て)次の塁へスタートする方法のことをいいます。

「タッグアップ」ともいいます。


ノーアウト若しくはワンアウトの時にフライが打たれた場合、走者にはリタッチの義務があります。

リタッチには2種類あり、ひとつはフライが打たれたときにベースを離れていた走者が、元のベースに戻ってタッチし(触れ)直す場合と、もうひとつはあらかじめベースに触れている状態でフライが捕球されるのを待つ場合です。


お読み下さりありがとうございました。


次話「41 地方大会決勝戦(3)」もよろしくお願いします!


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