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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第3章 喜びと不安と
32/148

 32 地方大会初戦

 次の日、夏の甲子園出場を掛けた地方大会の、大事な初戦。

 昨夜はライブの余韻もあり、少しいつもの試合前とは違っていたが、案外よく眠れた。今日は初めてのエースとしての先発。そして4番を任されているので、なんとしても頑張りたいと思う。


 朝食を済ませ、忘れ物がないかを入念にチェックし、玄関先で家人に「行ってきます」と声をかける。

 すると出勤前の父、母、兄貴が揃って玄関まで見送りに来てくれる。


 オレは少し照れくさくて、「大袈裟だなぁ」と苦笑した。

 すると、みんな「頑張れ」「気を付けて」「リラックスして」など口々に声をかけてくれる。

 それが嬉しくて「ありがとう。頑張ってくる」と答えて、元気よく玄関のドアを開けた。




* * *



 その日の1回戦は、あらかたの予想通り我が校が勝利した。


 お互い第1戦目ということもあり緊張していたが、相手チームの単純なミスによりウチのチームは大いなるチャンスに恵まれる。そのチャンスをモノにできるかは日頃の練習と経験と自信にかかっているのかもしれない。


 オレ達のチームはそのチャンスをモノにし、先取点を取り、精神的な面で相手チームよりも落ち着いてプレーができたのだろう。


 また、ウチの野球部の監督は、【基本に忠実に】が口癖のようなひとで、練習時もとにかく基礎練習に力を入れている。

 基本を忠実に身につけていると、身体が覚えていて、咄嗟の時に頭で考えるより先に条件反射のように身体が動くというのだ。


 実際、監督の言う通り、ボールに対して身体が自然に動くからミスが少ない。

 そういう面でも、相手チームより有利だったのかもしれない。


 オレは先発を任され、9回を無失点で投げきった。いわゆる完投勝利だ。

 ヒットは打たれたのでノーヒット・ノーランの完全試合ではないが、それは仕方ない。

 エースを任されて初めての試合。緊張もしたし力も入った。

 だけどチームメイトの励ましと、観客席からの応援でなんとかあがらずにすんだ。

 9回をひとりで投げ終えたあとの達成感は清々しいものだった。

 疲れなど感じなかった。



 無事初戦突破したことによりチームの雰囲気もよく、この調子で2回戦も勝ちたい。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました。愛優の応援の言葉と、兄の歌がエンドレスに脳内再生される主人公の気持ちがとても分かります。 そして、家族に励まされながらの、甲子園に向けた地方大会の大事な初戦、こちらま…
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