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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第3章 喜びと不安と
31/148

 31 試合前日

 兄たちのバンドのライブが終わり、オレと愛優ちゃんは余韻に浸りながらも、少し興奮気味にライブについて話した。

 オレと同じ曲が好みだったと聞いたときは、気が合うなぁと勝手に喜んでいたのはナイショだ。


 愛優ちゃんはお姉さんの優希さんと一緒に帰るらしく、控え室に向かうという。

 オレは明日の試合……全国高校野球選手権大会、つまり夏の甲子園出場をかけた予選にあたる地方大会があるので、それに備えなければならない。


 朝早く出発して第1試合に臨む。

 これから帰って軽く素振りをして、投球フォームの確認をし、後はよく食べよく寝る。

 試合の前日にリラックスするのはムリかもしれないが、今日はライブのおかげで、いつもよりは気持ちが楽になった気がする。


 オレも愛優ちゃんと一緒にバンドの控え室に向かったが、「お疲れさま」とねぎらって「すごく良かった」などと感想を言葉少なに述べて、みんなより先に会場を後にした。


「明日の試合頑張って」と満面の笑みで応援してくれた愛優ちゃんの言葉が何度もよぎる。その状況とライブの様子、兄の歌が帰り道でエンドレス脳内再生されていたのは言うまでもない。


『不変的感覚(キミを想う気持ち)』か。

 兄がオレの気持ちを想像し、代弁して作ってくれた歌。

 少し恥ずかしい気もするが、まぁその通りだとも思う。


 だけどその余韻に浸っているのも帰り道までで、家に着くと野球モードに気持ちを切り替える。

 初戦の相手チームはまだ創部して3年目ということで、歴史ある我が校野球部より世間では格下だと言われているが、スポーツをする上でそんなことは関係ない。

 みんな甲子園出場を目指して、一生懸命に汗をかきながら練習に励んでいることに変わりないし、試合は展開次第でどうにでも転ぶので、油断はできない。


 オレも小学生の時からコントロールを見込まれてピッチャーをしているが、エースとして登板するのは明日が初めてだ。緊張のあまりフォームが崩れないように、入念にチェックする。

 打つ方でも活躍できればと思う。なぜなら高校野球ではよくあることだけれども、エースで4番を任されているからだ。

 4番バッターは兎に角打たなければ。その重圧に押しつぶされないように、精神面でも成長しなければと思う。


 明日の試合は、夏の甲子園出場を掛けた地方大会の、大事な初戦だ。

 まずは明日を制し、そのまま勢いに乗って順調に勝ち進みたいところだ。

 高校を挙げての応援に力も入るし、地域の期待も背負っているので、甲子園出場を果たしたい。

 みんなと力を合わせて、一戦一戦全力投球で頑張るつもりだ。

 なんとしても初戦を突破しなければ。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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