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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第3章 喜びと不安と
27/150

 27 バンドのライブ前に

 夕方4時30分。

 オレは兄貴たちのバンドのライブ会場に到着した。

 そんなに大きな会場ではないけれど、それでも結構客席は埋まっている。


 オレは控え室にいる兄貴たちに会いに行くことにした。

 本番前に訪ねるのはどうかとも思ったが、人の多い中、ライブ開始までひとりで過ごすのもなんだし、なにより兄貴と優希さんにひと言「頑張れ」と伝えたかったからだ。



「おお! 来たか」


 兄は本番前の緊張している時間帯にもかかわらず、笑顔で迎えてくれた。


「おっ。頑張れよ」


 オレは短くそう言った。

 するとそこに優希さんが現れて「わあ! 来てくれたんだ」とにこやかな笑顔を向けてくれる。


「はい。来ると言ったからにはなんとしても来ますよ。優希さんのピアノも楽しみにしています」


「ありがとう」


 優希さんとだったら思う言葉が素直にでてくる。

 と、そこへ愛優ちゃんがニコニコしながらやってきた。


「おう」


 昨日の花火大会の時のことを思い出して、ちょっと照れくさくって、ついぶっきらぼうな挨拶をしてしまう。

 それでも彼女はヘンな顔をせず、にこやかに接してくれる。


「空くん早かったね。もっとギリギリになるのかと思ってた」


 だからオレも普通に話せそうな気がする。

 だから自然に笑顔と言葉が出た気がする。

 ……かな。


「約束は守るタイプなんで」


 そう。オレはよほどのことがない限り、約束は守りたいタイプだ。

 だからできない約束はしない。

 約束をした限りは守る。


 当たり前のことかもしれないが、約束をしておきながら「あ、ごめん。忘れてた」とか「やっぱムリ~」なんて言葉を聞くことがあると、『いい加減なヤツらだな』と思ってしまう。

 だからオレはそんな風にはなりたくないと思う。


「それって大事よね~」


 きっと愛優ちゃんも同じ考えなのだろうと感じた。

 

 彼女のことはただの憧れだった。

 それはクラスでの様子を見ていて、性格も良さそうだし明るいし好感がもてたからだ。

 だけど、挨拶や表面的な話はするけど、ゆっくりじっくりと話したことはなかったから、本当の意味での性格までは計り知れなかった。

 それでも憧れる気持ちは募っていたのだけれど。


 しかし最近兄貴との関連で愛優ちゃんと一緒に過ごす機会が増えて、いろんな話をしたりいろんな表情を見るにつけ、ただの憧れよりもっと強い感情が芽生えてきているように感じる。



「本番10分前です」


 スタッフの声にオレまで緊張してきた。

 オレと愛優ちゃんは兄貴たちにひと声かけて、客席に急いだ。

 さあ、いよいよライブが始まる。



お読み下さりありがとうございました。


次話「28 とあるライブで」もよろしくお願いします!

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