23 とある夏祭りで
少々テンション高めのオレだが、この調子で今日は乗り切れそうな気がする。
いろんな出店を見ながら歩くひとときは、祭の雰囲気がそうさせるのか、オレだけじゃなくみんなが弾けて見える。
一通り出店を見て回ったオレ達だが、肝心の花火開始までまだ時間がある。
もう一回まわりたいとの優希さんの言葉で、オレ達はまた人混みに入って行く。
さっきはサーッと見ただけだったが、今度はリンゴ飴を買ってみたりヨーヨー釣りをしてみたりと、みんな思い思いに楽しんだ。
さあ、そろそろ花火の打ち上げ時間かな、というときに、愛優ちゃんがある場所で立ち止まる。
「どうしたの?」
優希さんの問いかけに、愛優ちゃんはジッと一点を見つめながら「かわいい」と答える。
見ると大きなクマのぬいぐるみがあるではないか。
きっとあのぬいぐるみが気に入ったのだろうな。
「じゃあ、空に取ってもらえばいいじゃん」
「え、ちょっと兄貴、ムリだよ」
「なに言ってんだよ。甲子園出場を期待されている野球部のエースだろ。あんなの楽勝じゃないの?」
うっ。確かにオレは高校野球ではよくあるエースで4番打者だ。
3年生がいる中、2年のオレがその大役を仰せつかったのはつい先日。
デビューはこの週明けから始まる地方大会からだ。
「わあ、そうなの? じゃ、頑張ってもらいましょう」
優希さんに言われるも渋っていると、「お願い」と、両手を顔の前で合わせて愛優ちゃんがニッコリ微笑むではないか。
「仕方ないなぁ。やるだけはやるけど、ダメでも文句は言わないでよ」
そう言って、野球ボールほどのボールを的に当てるというゲームをした。
ボールは全部で5球。そのうち何球的に当たるかというので貰える景品が変わってくる。
愛優ちゃんが欲しいのは、一番難しい5球全部を当てると貰えるぬいぐるみ。
気合いを入れて第1球目を投げた。
「当たり~」
店主の軽快な声に調子づいて、2球、3球と投げていく。
順調に的に当てて、ラスト1球となった。
「頑張って!」
緊張しながらも愛優ちゃんの声に後押しされて、第5球目を投げる。
「おめでとうございます! はい、クマのぬいぐるみ」
店主にクマのぬいぐるみを手渡され、オレはそれを愛優ちゃんに渡す。
「どうぞ」
「わあ! ありがとう! 本当に貰えるなんて、凄く嬉しい」
オレも愛優ちゃんの喜ぶ顔が見られて嬉しいぞ。
その時、花火のドーンという音が花火大会の始まりを告げた。
オレ達4人は、花火が見えやすい場所へと移動しようということに。
どうやら兄貴にはとっておきの場所があるようだ。
お読み下さりありがとうございました。
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