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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第2章 進展
23/150

 23 とある夏祭りで

 少々テンション高めのオレだが、この調子で今日は乗り切れそうな気がする。

 いろんな出店を見ながら歩くひとときは、祭の雰囲気がそうさせるのか、オレだけじゃなくみんなが弾けて見える。


 一通り出店を見て回ったオレ達だが、肝心の花火開始までまだ時間がある。

 もう一回まわりたいとの優希さんの言葉で、オレ達はまた人混みに入って行く。


 さっきはサーッと見ただけだったが、今度はリンゴ飴を買ってみたりヨーヨー釣りをしてみたりと、みんな思い思いに楽しんだ。

 さあ、そろそろ花火の打ち上げ時間かな、というときに、愛優ちゃんがある場所で立ち止まる。


「どうしたの?」


 優希さんの問いかけに、愛優ちゃんはジッと一点を見つめながら「かわいい」と答える。


 見ると大きなクマのぬいぐるみがあるではないか。

 きっとあのぬいぐるみが気に入ったのだろうな。


「じゃあ、空に取ってもらえばいいじゃん」


「え、ちょっと兄貴、ムリだよ」


「なに言ってんだよ。甲子園出場を期待されている野球部のエースだろ。あんなの楽勝じゃないの?」


 うっ。確かにオレは高校野球ではよくあるエースで4番打者だ。

 3年生がいる中、2年のオレがその大役を仰せつかったのはつい先日。

 デビューはこの週明けから始まる地方大会からだ。


「わあ、そうなの? じゃ、頑張ってもらいましょう」


 優希さんに言われるも渋っていると、「お願い」と、両手を顔の前で合わせて愛優ちゃんがニッコリ微笑むではないか。


「仕方ないなぁ。やるだけはやるけど、ダメでも文句は言わないでよ」


 そう言って、野球ボールほどのボールを的に当てるというゲームをした。

 ボールは全部で5球。そのうち何球的に当たるかというので貰える景品が変わってくる。

 愛優ちゃんが欲しいのは、一番難しい5球全部を当てると貰えるぬいぐるみ。


 気合いを入れて第1球目を投げた。


「当たり~」


 店主の軽快な声に調子づいて、2球、3球と投げていく。

 順調に的に当てて、ラスト1球となった。


「頑張って!」


 緊張しながらも愛優ちゃんの声に後押しされて、第5球目を投げる。


「おめでとうございます! はい、クマのぬいぐるみ」


 店主にクマのぬいぐるみを手渡され、オレはそれを愛優ちゃんに渡す。


「どうぞ」


「わあ! ありがとう! 本当に貰えるなんて、凄く嬉しい」


 オレも愛優ちゃんの喜ぶ顔が見られて嬉しいぞ。


 その時、花火のドーンという音が花火大会の始まりを告げた。


 オレ達4人は、花火が見えやすい場所へと移動しようということに。

 どうやら兄貴にはとっておきの場所があるようだ。



お読み下さりありがとうございました。


次話「24 とある夏祭りにて」もよろしくお願いします!

次話は本日更新します!

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