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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第2章 進展
20/148

 20 楽しいひととき

 愛優あゆちゃんとお姉さんの優希ゆきさん、兄貴とオレの4人で花火大会って。

 嬉しすぎるではないか!


 兄のさりげない申し出に快くオーケーしてくれた涼風すずかぜ姉妹。

 ナイス兄貴! オレは硬派を気取っているけど、内心は喜びに満ち溢れている。


 そこで兄貴はオレに念を押した。


「お前もそれでいいよな」


 しかし兄のように素直に表現できなくて。


「べつにいーけど」


 ついいつもこんな言い方になってしまう。

 涼風姉妹は笑いながらオレ達の様子を見守っていた。


 それから話はうまくまとまって、今度の土曜日、つまり明後日の花火大会に4人で行くことになった。


 花火大会の会場は電車で15分ほどの場所にある。

 当日は花火大会だけでなく、盆踊りのためのやぐらが組まれたり、屋台の出店が並んだりと催しも多く、お祭りがメインなのか花火大会がメインなのか。

 というか、夏祭りの催しのひとつに花火大会が開催される、といった方が正しいのかもしれない。


 とここで、ひとつ大事なことを思い出した。


「オレ、次の日早朝練習があるから、あまり遅くまではいられなんだけど」


「そんなに遅くはならないよ。それに高校生は早く帰らなきゃだめだし」


 兄貴の真面目な一面が窺える。

 こういうさりげないところが皆に好かれるのだろうな。


「お祭り自体は10時頃までやっているようだけど、花火大会は8時半過ぎには終わるだろうし、大丈夫じゃない? それにお互い兄弟と姉妹だしね」


 優希さんの仰る通りだな。


「んじゃ、花火大会終了次第帰るということでいいかな?」


 兄貴の言葉に全員が頷く。


 そこまで話が決まったところで、オレ達は解散した。

 当日の待ち合わせ場所や時間など、詳しいことは明日バンドの練習で顔を合わせる兄貴たちに任せることになった。


 涼風姉妹はこれからショッピングに行くという。

 

「姉妹でショッピングなんていいっすね」


 オレがそう言うと、すかさず兄貴が口をはさむ。


「俺らも今から兄弟で楽器店に行くんだよな」


 すると、「へえ、そうなんだ」という優希さんの言葉に続いて「兄弟で楽器店なんていいっすね」と冗談交じりに愛優ちゃんが言う。

 みんなして笑い合って。

 ああ、こんな楽しいひとときを過ごせるなんて。


 先日の雨宿りの相合い傘の時と比べると、雲泥の差だ。

 こんな日が来るなんて思ってもいなかった。

 映画鑑賞のあと兄貴が誘ってくれなかったら、今頃こんなに愛優ちゃんと仲良く話せてはいなかった。

 そう思うと、兄に感謝だな。


 オレ達は土曜日の再会を約束し、それぞれの目的地に向かった。



お読み下さりありがとうございました。


次話「21 夏祭りの日」もよろしくお願いします!

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