151 雨が、湿度が
春季大会が行われた。
我が姿薔薇紫高校野球部はチーム一丸となり奮励し、春季大会で優勝という素晴らしい結果をもたらすことができた。
ホッと安堵する間もなく、このままの勢いを保ちながら次なる目標である全国高校野球選手権大会、所謂夏の甲子園出場に向けて、まずは地方大会を勝ち抜くため、日々練習に励んでいる。
が、しかし。
梅雨入りし、思うようにグラウンドでの練習ができない。
合間の晴れや曇りの日にはのびのびと広いグラウンドで練習できるが、ここしばらくは雨が続いている。
雨の日は、体育館での柔軟や、体育館裏の人通りのほとんどない場所での素振りやキャッチボール。
いくら屋根があるからといっても、練習に制限がある。
監督のノックで守備練習とか、バントや連携プレーの練習とか、雨の日にはできないことがたくさんある。
ランニングだってグラウンドではなく、屋根のある体育館の周りをグルグル回るだけ。
早くグラウンドでの投球練習やバッティング練習をしたい。
夏の甲子園出場に向けて、精一杯頑張りたい。
梅雨明けを今か今かとウズウズしながら待っている。
気持ちだけが逸り空回りしているようだ。
そんな時。
「空、どうした」
キャッチボールで珍しく球をそらし、捕手に問われる。
「いや」
「お前らしくないぞ」
「ああ」
そんな会話を聞いてか、球をそらしたのを見られたのか、練習の手を止めて皆がオレのところに集まってきた。
「大丈夫か」
「もちろん」
「あんま無理すんなよ」
「無理してないよ」
「ならいいけど」
「ただ、ちょっと」
「ちょっと?」
「雨が」
「雨が?」
「湿度が」
「湿度が?」
「動きを鈍くする」
「なんだそれ」
周りは笑うけど。
「て言うかさ、梅雨いつ明けるのかなって」
「まあな」
「早くグラウンドで思いっきり練習したいなって思いが先走って」
「うん」
「つい力が入った」
みんなは、「なんだそれ」と言わんばかりに上半身をカクッとさせた。
そしてひと息ついて悟が言う。
「でも解るよ。みんなそうだよ」
そうだ。天候による練習不足に焦っているのはオレだけじゃないんだ。
しっかりしろ、空。
皆に心配かけて悪かったな。
「ごめん、心配かけて。もう大丈夫だから」
「おう」
「現状を嘆くより、今できることを精一杯やって、梅雨明けに万全な状態で練習できるように準備を整えよう」
「それでこそ、いつもの空だ」
とは言うものの、まだまだ梅雨は明けそうにないし。
てか、梅雨明けを待たずして地方大会が始まりそうだし。
なんて考えててもしょうがない。
とにかく今は前を向いて頑張ろう。
後ろ向きな感情は、この雨と一緒に流してしまおう。
そしてなんとしても、夏の甲子園に出場する。
お読み下さりありがとうございました。
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