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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第2章 進展
15/148

 15 兄貴とお出かけ?

 なんとか無事に試験最終日を終えることができた。

 終業のチャイムとともに伸びをして、深呼吸をする。

 自分でもまずまずだったんじゃないかと。いや、まだ返却されるまで安心はできないが。

 とりあえず、これで今日は心置きなく兄貴と映画を観に行くことができる。


 試験も終わって明日から終業式までの間、試験休みに入る。だが、夏の甲子園出場を掛けた地区予選大会があるので、休んでいるヒマはない。

 また明日から部活が始まるので忙しい毎日になるし、試験前に監督から発表があって、レギュラー入りが確定したので、気合いを入れて頑張らなければならない。


 試験期間中、部活はなかったけど、みんな試験勉強の合間に自主トレは欠かさない。

 素振りにキャッチボール、腹筋に腕立てとストレッチ……。

 やはりスポーツをしている者は、1日休むと身体がなまってしまい、元に戻すのには1週間はかかる。

 それを1週間も休めば、戻すのに1ヶ月はかかってしまうからだ。


 オレも机に向かって勉強をしては、気分転換も兼ねて身体を動かしていた。

 勉強の合間に運動を取り入れた方が、勉強に良い影響があると聞いたことがあるが、実際、身体を動かした後の方が集中して勉強に取り組めて、はかどったものだ。





 帰り支度を整えて教室を出るところで、涼風愛優と一緒になり言葉を交わす。


「試験やっと終わったね」


 きらめく笑顔とともに話しかけられて、オレの心臓は一足先に運動を始めた。


 今度は頑張らねば。


「ああ。どうだった?」


 よし、返せたぞ。


「まあまあかな。夏野くんは?」


「オレもまあまあかな」


 そう言って笑い合った。



 今日は「これからどうする」か聞かれて、「一旦家に帰って兄と流行はやりの映画を観に行く」と答えると、彼女は頬を緩めながら言う。


「お兄さんとお出かけ? 仲が良いのね」


 お出かけって……可愛らしい言い方だな。


「まあな。涼風は?」


「私も今日その映画観に行くのよ。会えるかもね」


 え、そうなんだ。

 同じ日に同じ映画を観る予定だなんて、それだけでももう嬉しい。


「そうだな」


 少し照れ隠しもあって、そっけない返事をしてしまう。

 だってそうだろ?

 

 おお! 会えるかもしれないな! 楽しみだよ。

 それとも、いっそのこと一緒に行くか?


 なんてとても言えねぇ。


「何時の部?」


「まだ決めてない。そっちは?」


「私も」


「そっか」


 そこで話は終わってしまい、「じゃあね」と手を振り友人達と去って行く彼女の後ろ姿を見送った。


「おい。なにボーッとしてんだよ。帰るぞ」


 後から来た友人に声をかけられ、「おう」と答え歩き出した。


 帰り道、友人と冗談を言ってはしゃぎながらも、頭の中は『兄貴とのお出かけ』のことで一杯だ。

 偶然でも彼女とまた会えるかもと思うと、今日の映画が俄然がぜん楽しみになった。



お読み下さりありがとうございました。


次話「16 映画の前に」もよろしくお願いします!


今話の文字数1111文字!

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