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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第9章 心機一転
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148 決意も新たに

 中間テストが終わり、久々の部室へと向かう。

 試験中も毎日のトレーニングは欠かさなかったが、部活が待ち遠しかった。

 勉強の合間に気分転換も兼ねて素振すぶりをしたり軽く走ってみたり、筋トレにストレッチもやった。

 フォームを意識しながらタオル片手にボールを持たない投球練習も。


 だけどこの時期では、独りで黙々とトレーニングをするよりも、同じ目標を目指して皆でワイワイやる方が、やる気が上がるように思える。


 夏の甲子園を目指して、まずは地区予選を勝ち抜くために作戦を練ることになった。

 あーでもない、こーでもないと色んな案が出る中、隣から不意に話しかけられる。


「なあ空」


「ん?」


「大学でも野球部に入るのか?」


「さあ、まだ考えてないよ」


「そっか」


 さとしが急にそんなことを聞いてくるもんだから、ちょっと気になる。


さとしは?」


「俺は……わかんないや。続けたい気持ちはあるけど、状況が続けさせてくれないかも」


「状況?」


「ああ。両親の期待が大きすぎるというか。大学受験もまだなのに、その先の先まで描く何かがあるようだよ」


「そっか。まあ、さとしの人生なんだから、よく考えて決めなきゃな」


「そうだな」


 オレは……兄貴と同じ大学に行って、その後はどうしたいんだろう。

 野球を続けたいのか、兄貴と音楽をしたいのか。

 今の段階ではどちらかなんて決められない。できることなら両方……って、都合がよすぎるかな。


「とにかく、今は夏の甲子園目指して、まずは予選を勝ち上がることに集中しよう」


 さとしに言いながら、自分にも言っていた。


「おう」


 先のことを考えてもしょうがない。

 今は目の前の目標をひとつひとつ達成していくことに全力をそそごう。

 オレ達3年生には最後の甲子園。出場目指し頑張るしかない。悔いの残らないように。




 それからオレ達、我が姿薔薇紫すばらし高校野球部は一丸となって、夏の甲子園出場をかけた地方大会を勝ち抜くために、もう一度基本から練習を始める。

 試合は一筋縄ではいかない。何が起こるか解らない。

 いざとなったときに、咄嗟に取る行動で勝敗を分けることもあるだろう。


 順調に試合が進んでいる時はいい。だがピンチの時に焦ってミスをしないように、基本の動作を再確認する必要がある。

 基礎が身体にたたき込まれていると、咄嗟の時に基本の動きができる。身体が覚えているんだ。

 そして落ち着いて行動できるよう精神力を鍛えるために、オレは敢えてキツい練習に挑む。

 弱音を吐かない。負けない。くじけない。


 そこまで自分を追い込む必要があるのかと問われると、答えは「イエス」だ。

 高校生活最後の甲子園。この夏は一生に一度の夏だ。

 悔いの残らないように全力で挑むために、決意も新たにオレは頑張る。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
148 決意も新たに 読みました。 みなさんの努力する姿……!(ФωФ) 熱いですね! 青春を感じます♪♪ 上手くいきますように!
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