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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第8章 境目
131/148

131 センバツ前(2)

 卒業式後、突然の「じゃじゃーん」とともに目の前に飛び出して来たさとし。理由は明かさないが、どうしても4人でお茶がしたいという。

 しかし昼前ということもあり、俺は少し渋い返事をした。

 4人でお茶といっても、話に花が咲いて、ついつい長居してしまうなんてことは想像できる。昼食は家で用意しているからと、今朝家を出る時、母に言われていたので、どうせ皆で行くならゆっくりとしたいということもあったからだ。


「今からはちょっと無理かな。午後からだったらいいんだけど」


 それに実は今からホワイトデーの買い物に……なんて愛優あゆちゃんがいる前で言えるわけもなく。

 用事があるからと悟の誘いを断った。


「ええー! せっかく来たのにー」


 て、待ち合わせていたわけでもないのに、はいはい行きましょ! とはならない場合もあるとは思わなかったのか?


「昼から改めて、ならいいけど。それか3人で行ってくれば?」


 オレの言葉に愛優ちゃんと倉井は苦笑いを浮かべる。


「何か今日でないといけない用でもあったのですか?」


 倉井の言葉に、今度は悟が苦笑し、「いや」と言葉を濁した。



 結局、悟が何の目的で学校に来ていたのか不明のまま、オレ達はどこにも寄らずに帰ることになった。

 また今度でいいと笑う悟の寂しげな表情が、少し気にはなったけど。



 * * *



 3月に入り、『選抜高等学校野球大会』がだんだんと近づいてきた。

 我が姿薔薇紫すばらし高校野球部は、出場するチーム32校に選抜されている。

 1月の終わりに選抜高等学校野球大会の出場校が選考委員会で決まり、正式に出場が決定した。


 来年のセンバツには、たとえ選ばれたとしても出ることができない。高校2年生の今年がオレにとっては最初で最後のセンバツとなる。


 甲子園という大舞台に緊張はしているが、それよりも楽しみという気持ちの方が大きい。去年、夏の甲子園には出場したので、あの球場での試合は二度目になる。しかし春のセンバツ出場ははじめてのこと。気を引き締めて、チーム一丸となりしっかりと頑張りたいし、夏の甲子園で悔しい思いをした分、今度は悔いの残らない試合にしたい。


 練習にも熱が入る。


 だからこそオレは基本にかえって、丁寧に反復練習をすることにした。慣れているからと気を緩めてしまうと、思わぬミスを招きかねないからだ。



 そんな日々を過ごしている中、とうとうあの日が訪れた。


お読み下さりありがとうございました。

次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 131 センバツ前(2)読みました。 敢えて初心に帰り基礎練習から丁寧に頑張る姿が素晴らしかったです。 センバツ頑張ってください~!(*´∇`)
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