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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第8章 境目
130/148

130 センバツ前(1)

 みんなで勉強した甲斐あってか、単位を落とすことなく無事に学年末テストを終えることができた。

 しかも成績も少し上がり、兄貴と同じ大学への進学に一歩近づけたように思う。

 このまま突き進んでいきたい。


 4月からは高校3年生になる。受験が刻一刻と迫る中、やること、やりたいことが多すぎて時間がいくらあっても足りない。

 そして春休みの大きなイベント。

『センバツ』に向けて、練習に励もう。

 オレは試験休み返上で、トレーニングを始めた。



 しかしそんな中、ふとあることがよぎる。

 ホワイトデー。オレは愛優ちゃんに何を贈るべきか。

 他のふたりと相談してみるか?

 いや。いくら友チョコだったとしても、オレは心を込めたお返しを……なんて。

 でも、一体何を贈ればいいのか。どうやって渡せばいいのか。


 その日に待ち合わせるなんて、ちょっとわざとらしい気もするし。友チョコだし。

 なんて。


 まあ、まだ時間はあるし、ゆっくり考えようと思っていた2月の終わり。

 卒業式が行われたわけだが。

 学年トップの成績を誇る倉井は、在校生代表で送辞を。

 学年2位でミス姿薔薇紫すばらし高校と謳われている愛優ちゃんと、甲子園でまあまあ活躍したオレは在校生代表として出席した。

 他にも数名2年生が出席していたが、残念ながら悟は、在校生代表での卒業式出席者には選ばれなかった。


 その悟が卒業式に出席するでもなく、登校していた。卒業式後オレ達3人が和気藹藹わきあいあいと廊下を歩いていると、突然目の前に飛び出して来たのだ。


「じゃじゃーん」


 なんだそれ。

 じゃじゃーん、って。


「きゃ」


 びっくりした愛優ちゃんは、オレの後ろに隠れる。


「あ、卒業式に用などないのでは?」


 そう言うと倉井は眼鏡の端を左手でクイッと上げる。


「まあ、そう言うなよなー。卒業式も終わったことだし、帰りにお茶でもしないかなーって」


 悟はそう言うと、満面の笑みを浮かべた。

 なんか嫌な予感がする。


「てか、なんで学校にいるんだ?」


 オレが言うと、「まあ、いいからいいから」とニヤけ顔。

 在校生代表以外は卒業式に出席しないので、必然的に学校に来ることはない。

 用事もないのに、わざわざ来るとは意味が解らない。

 愛優ちゃんも不思議そうな面持ちで悟を見つめているし。

 他に何か特別な用事でもあったのだろうか。


「何か学校に用事でもあったのですか?」


 そう聞いて、倉井は眼鏡の端を左手でクイッと上げる。

 すると悟はすました顔で答えた。


「べつに」


 て、悟。

 もしかしてオレ達とお茶するためだけに、わざわざ来たのか!?



お読み下さりありがとうございました。


次話「131 センバツ前(2)」もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 130 センバツ前(1)まで読みました。 バレンタインデーイベントがとても良い感じですね。 (^ー^) 見ていてほっこりできます。 また、詩の形で登場人物の心情をさりげなく明かすところに…
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