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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第8章 境目
121/150

121 冬休みの宿題

 クリスマス・イヴの次の日。

 つまり世間一般で言うところのクリスマスの日。

 昨日愛優ちゃんと約束したとおり、一緒にクリスマスの宿題をしている。愛優ちゃんの家で。

 そう、あの豪邸で。



 オレは昨日愛優ちゃんにもらったクリスマスプレゼントをカバンにつけて、少し緊張していた。

 気づいてくれるだろうかと。しかしインターホンを鳴らし、出て来た愛優ちゃんはすぐに気づいて、「わあ、カバンにつけてくれたんだぁ」と嬉しそうにしていた。


 オレは鼻の頭を指でかきながら、「ああ」と答えた。

 広い廊下を、緊張しながら愛優ちゃんに続き歩いて、階段を上り、2階の愛優ちゃんの部屋に案内された。

 いくつかドアの前を通り過ぎて、「ここよ」と、あるドアの前で愛優ちゃんが立ち止まる。


 そしてドアが開かれ「どうぞ」と入室を促されたので、「おじゃまします」とドキドキを抑えながら一歩部屋に踏み込んだ。


「おお、来たか」


「お先に失礼しています」


 え? なんで?


「へ?」


 オレはつい、間の抜けた声を発してしまった。


 そこには倉井とさとしの姿があった。


「まさか愛優ちゃんと2人で宿題しようなんて、思ってなかっただろうな」


 悟の言葉に、「ま、まさか」と声が上ずる。


「どうやら図星のようですね」


 と、倉井は眼鏡の端を左手でクイッと上げる。


「いやいや、まさか」


 て、図星だけどね。


「今朝、ケーキを買いに行く途中で倉井くんにバッタリ会って、空くんと一緒に宿題するって言ったら、ふたりで参加したいって言うから」


 と愛優ちゃんは苦笑いで言う。

 ぐぬぬ。倉井、そこは察しろよ……とも言えず。


「そ、そっか。宿題は大勢でやった方が楽しいからな」


 と苦し紛れにワケの解らぬことを言うと、「宿題は楽しい、ということですか?」と倉井が突っ込んでくる。

 いやいや、そこはサラッと流すところでしょう。


「愛優ちゃんと宿題するのが、楽しいってことでしょ」


 おいおい悟。そんなこと言っちゃうわけ?

 ここで愛優ちゃんの前でそんなこと言っちゃうワケ?


 まあ、図星だけどね。


「もちろん、愛優ちゃんとする宿題も皆とする宿題も楽しいよ。てか宿題よりもみんなと集まるのが楽しいのか」


 と、オレがひとり納得していると、みんなはそれに同意してくれた。


「さ、宿題はじめましょうか」


 愛優ちゃんのひと声で、みんなはカバンからノートを取り出した。


 それからみんな黙々と宿題をした。

 解らないところがあれば教え合ったりして、それなりに楽しく時間ときは過ぎ、休憩時には愛優ちゃんが今朝買ってきたというケーキを出してくれた。


「明日は空くんのお家集合だからね」


 と、愛優ちゃんのひと声に、倉井と悟は「明日も?」と驚きを示したが、すぐに「オッケー」とにこやかに返していた。


 オレの気持ちは嬉しいような、少し残念なような。

 そのこころの内を察したのか、こちらを見て倉井が眼鏡の端を左手でクイックイッと二度上げた。



お読み下さりありがとうございました。


今話より『第8章 境目』に入りました。

次話もよろしくお願いします!

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