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どんどん人魚どん  作者: 路世 志真
16/16

どんどんどんどん


16


息がどんどんどんどん苦しくなって、どんどんは言いました。


「どんどんの全部をあげるどん。だから、陸を助けて欲しいどん!」

「わかったよ。」


魔女がそう言うと、どんどんは人魚の姿になりました。どんどんは陸を連れて、どんどんどんどん水面に向かって行きました。


砂浜に陸を寝かせて、揺さぶってみると、陸は目を覚ましました。


「どんどん……?」

「陸!気がついたどん?」


陸はどんどんの姿を見ると、驚きました。そして、今度は泣きました。自分のせいで、どんどんは人魚に戻ってしまったのだと理解したのです。


「ごめん、どんどん。僕、またどんどんの事、守れなかった。」

「おいどん、人魚どんに戻ったどん。戻って、陸にまた会えて良かったどん。それだけで嬉しいどん。」

「僕も……嬉しかった。会いに来てくれてありがとう。ありがとうどんどん!」


どんどんにとって、陸の『ありがとう。』は、とてもとても嬉しいものでした。


「陸、おいどん、今度は魚になるどん。」

「魚?魚になったら歌も歌えないし、食べられちゃうかもしれないよ?」

「おいどん、魚になって、陸に食べられたいどん。陸の体になって、陸の力になりたいどん!」


それが、今のどんどんにとって、唯一の陸に与えられる事でした。


「そんなの嫌だよ!魚は食べられないよ!」

「陸は優しいどん。おいどん、魚の命を無駄にした事があるどん。今度はおいどんが無駄になる番だと思うと、とても悲しいどん。」

どんどんは以前、魚料理をめちゃくちゃにした事を思いだしました。

「だから……ちゃんと食べて欲しいどん。」


陸少年は涙を拭きながら言いました。

「じゃあ……頭が良くなるように、頭から?足が速くなるように尾びれから?」

どんどんは首を横に振って言いました。

「心が良くなるように、心から食べて欲しいどん!」


そして、また陸少年は泣きました。どんどんは陸の頭を撫でました。


「いただきますは嬉しいどん。ごちそうさまも嬉しいどん。」


『いただきます。』も、『ごちそうさま。』も、ありがとうでした。


ありがとうはとても嬉しいのです。どんどんは、ありがとうの言葉もらえる、与えられる人になりました。


こうしてどんどんは、魚になりました。美味しい美味しい魚になりました。


そして、陸はどんどんどんどん、どんどんのように大きくなりました。



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