どんどんどんどん
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息がどんどんどんどん苦しくなって、どんどんは言いました。
「どんどんの全部をあげるどん。だから、陸を助けて欲しいどん!」
「わかったよ。」
魔女がそう言うと、どんどんは人魚の姿になりました。どんどんは陸を連れて、どんどんどんどん水面に向かって行きました。
砂浜に陸を寝かせて、揺さぶってみると、陸は目を覚ましました。
「どんどん……?」
「陸!気がついたどん?」
陸はどんどんの姿を見ると、驚きました。そして、今度は泣きました。自分のせいで、どんどんは人魚に戻ってしまったのだと理解したのです。
「ごめん、どんどん。僕、またどんどんの事、守れなかった。」
「おいどん、人魚どんに戻ったどん。戻って、陸にまた会えて良かったどん。それだけで嬉しいどん。」
「僕も……嬉しかった。会いに来てくれてありがとう。ありがとうどんどん!」
どんどんにとって、陸の『ありがとう。』は、とてもとても嬉しいものでした。
「陸、おいどん、今度は魚になるどん。」
「魚?魚になったら歌も歌えないし、食べられちゃうかもしれないよ?」
「おいどん、魚になって、陸に食べられたいどん。陸の体になって、陸の力になりたいどん!」
それが、今のどんどんにとって、唯一の陸に与えられる事でした。
「そんなの嫌だよ!魚は食べられないよ!」
「陸は優しいどん。おいどん、魚の命を無駄にした事があるどん。今度はおいどんが無駄になる番だと思うと、とても悲しいどん。」
どんどんは以前、魚料理をめちゃくちゃにした事を思いだしました。
「だから……ちゃんと食べて欲しいどん。」
陸少年は涙を拭きながら言いました。
「じゃあ……頭が良くなるように、頭から?足が速くなるように尾びれから?」
どんどんは首を横に振って言いました。
「心が良くなるように、心から食べて欲しいどん!」
そして、また陸少年は泣きました。どんどんは陸の頭を撫でました。
「いただきますは嬉しいどん。ごちそうさまも嬉しいどん。」
『いただきます。』も、『ごちそうさま。』も、ありがとうでした。
ありがとうはとても嬉しいのです。どんどんは、ありがとうの言葉もらえる、与えられる人になりました。
こうしてどんどんは、魚になりました。美味しい美味しい魚になりました。
そして、陸はどんどんどんどん、どんどんのように大きくなりました。




