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どんどん人魚どん  作者: 路世 志真
15/16

息が苦しいどん!


15


どんどんが陸を探しに行こうとすると、陸の友達が訪ねて来ました。


「どんどん!?本当にどんどんなの!?」


それは、リハビリセンターにいた辰義少年でした。辰義少年はどんどんに驚きました。どんどんも驚きました。辰義少年はすっかり歩く事ができていました。


どんどんは辰義少年と一緒に、陸を探しに行く事にしました。


「おーい!陸~!」

陸は海辺にいました。辰義少年が陸を見つけて叫ぶと、岸壁にいた陸は足を滑らせて、海に落ちてしまいました。


「陸~!陸~!」


辰義少年とどんどんは陸の名前を何度も何度も叫びました。しかし、陸はなかなか水面にあがって来ません。


どんどんは思わず、海に飛び込みました。


しょっぱい海の塩水は久しぶりです。


「どんどん!!」


どこかで、そう名前を呼ばれた気がしました。


呼ばれた方を見ると、陸がいました。どんどんは何とか海の中で陸を見つけましたが、陸は気を失っていました。


人間のどんどんにはエラもヒレもありません。どんどんは人間の足で泳ぐ事はできませんでした。


こうして陸とどんどんは、どんどんどんどん海の底に落ちて行きました。


海の底には、どんどんに人間になる薬をくれた魔女がいました。


「おや?人間になったのに、どうしてここへ来たんだい?」

「陸を助けて欲しいどん!」


水の中では息ができません。このままでは死んでしまいます。


「それなら泳いで水面に上がればいいだろう?」


確かにそうかもしれません。でも、どんどんは今すぐ泳げるようにはなりません。今すぐ人魚の姿に戻れば違うかもしれません。


しかし、どんどんは人魚に戻りたくはありませんでした。人魚に戻れば、また食べられるかもしれない。陸で歌を歌う事もできません。


すると、魔女はこう言いました。

「助けてもいいよ。その代わり、お前はあたしに何をくれるんだい?」


息がどんどんどんどん苦しくなりました。どんどんは考えました。どんどんは何を与えられるでしょうか?


陸を探す間、辰義少年とこんな話をしました。


「どんどんは……聞いた?陸のおじいさんが死んじゃった事。」

「さっき聞いたどん。」


辰義少年は辺りを見回しながら言いました。


「僕、陸のおじいさんみたいな人になりたいって思ったんだ。」

どうしてでしょう?おじいさんは演歌歌手ではありません。


「僕、おじいさんに訊いた事があるんだ。どうしてそんなに親切なんですか?って」

確かに、おじいさんは親切な人でした。


『自分は今まで沢山の人に与えられて来た。だから、自分も与えられる人になりたい。』


どんどんはその言葉に、今までのたくさんの事を思い出しました。


砂浜で陸に拾われ、リハビリセンターで歩く練習を手伝ってもらいました。陸の家では、おじいさんに演歌を聞かせてもらい、お姉さんにイヤホンをもらいました。お父さんの捕ったお魚を、お母さんが料理し、毎日美味しいご飯を食べさせてもらいました。それに、水族館の館長や社長のおじさん。


どんどんは、与えられてばかりです。そんなどんどんは何を与えられるでしょうか?


どんどんは、どんどんどんどん苦しくなりました。


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