八、その時…
「私、どうしていいか…、分からないよ…。」
「意識が、回復しません!」
「声をかけてあげて下さい!」
「なぁ…、皆来てるぜ、起きろよ!」
「……君!起きて!」
「起きてよ、また笑ってよ、結城!」
……………
………………
【あの日】から、数ヵ月後…。
〜プルル♪
「もしもし?俺だよ。由紀乃?」
由紀乃は、慌てた様子でいる。
「もしもし…?結城?」
「何か用なら、メールすればいいの…。」
…?
「聞こえねえよ?由紀乃?」
「今何て言ったの?由紀乃?」
「た…やが…。」
「由紀乃、落ちついて、話てみて。」
「達也が…、達也が!肺炎を起こしたの!」
「なん…だって?」
【岩井達也。由紀乃の、いとこに当たる。持病の喘息を持ち、現在は小学生。】
「その達也が、肺炎て、命に関わるんじゃ…。」
「わぁあぁん…!」
由紀乃の泣き声が、聞こえる。
「分かった…。場所は何処だ?すぐ行く。」
「ううぅ…東…山の…病院。」
結城は、自転車で、走りだしていた。
「くそっ!どけぇー!」
街中の人混みを、抜けて行く結城。
「早く変われ…。」
今の結城には、信号すら、苛立ちの種になっている。
「変わった。」
信号が変わった…。
「急げ。急げ。急げ。」
何かのデータが、インプットされたかのように、結城は走っていた。
ブブブー!!!
大型トラックの、クラクションが、道路中に、響き渡った。
鈍い音とともに…。
結城の携帯の画面には、
【達也は落ちついたよ…。よかった。】
by由紀乃
と、映しだされていた。