三、姫野由紀乃
「なっ、ない!」
私の学生証…。
「再発行…、できないんだよな〜。」
〜プルル♪
「電話だ、誰だろ?…、梨佳だ。」
〜プルル♪
「もしもし〜?」
「〜あっ!由紀乃?」
「何よもう、こんなときにぃ。」
「あれ?ふふふ、怒ってる。」
「笑うなぁ!」
「学生証の、ことでしょ?」
!?そうよ。それなの!
「梨佳、あなた!いつから超能力に、目覚めたの?」
「結城君が、拾ってくれてたんだよ♪」
鈴川君が?
「わぁ、どうしてだろ?」
「とりあえず、あたし由紀乃ん家に、近いから♪」
「ありがと。外で待ってるね。」
ブツン…
〜プー…プー…
由紀乃も走りだした。
「ゴメンね。」
「いいよ〜♪」
「なんで、私ん家の近く居たの?」
梨佳は、ビシッと一軒の家を指差した。
「あの家が…、どうかした?」
「どうかした?じゃ、ないわよ。あれは直の家!」
「えええ!?近すぎて気付かなかった。」
これが【灯台もと暗し】かな。ふふ。
「今日は、直の誕生日なんだぁ。」
「そうなの。じゃ、早く行ってあげなよ。」
「うん♪そうする。」
「梨佳、ありがとね♪」
「お安い御用さぁ♪…。」
「ん?梨佳、どうかした?」
「あたしだって、できたんだから!由紀乃もきっと、できるよ。」
「何が??」
「決まってるじゃない。…、カ、レ、シ。」
「ええ?私はいいよ…。」
「どして?」
「だって、…。」
〜プルル♪
電話だ…。
「【鈴川結城】…。」
「ふふ。」
「何で!?鈴川君が…、私の番号を。」
「あたしが教えた。」
「また!勝手な事ぉ!」
「まぁまぁ、恋の相手は、以外と近くにいたりしてね☆」
「もう、からかわないでよ!」
「早くでてあげな〜。」
「もしもし?鈴川君?」
「〜おっ?学生証、植野から受け取った?」
「うん…。」
「〜よかった〜。」
「ありがと…。」
「〜気にすんな。じゃ、またな。」
「もう、梨佳ったら…、ま、いっか。梨佳いないし…。」
直の家から、明るい声が聞こえた。
「彼氏なんて、いらないよ…。」
由紀乃は、自分の部屋のベッドに入った。