エピローグ
「ねぇ、結城。あれから、どれくらいたったのかな?」
由紀乃は泣いていた。
鈴川結城。そう書かれた墓には、暖かい雨が、降っていた。
「結城がいなくなって、私大変だったんだよ。ふふ。」
空から雨が落ちる。
「今、梨佳と直は、結婚して、ちょっと羨ましいな。って、思うこともあるんだ。」
「結城のせいだぞ。ふふ。」
「結城のお父さんも、お母さんも、大変だったみたい…。」
「昔の、音楽部の先輩たちは、有名な音楽家になっちゃった。」
「あんたのいた、サッカー部も、地道に今でも、宇山高校サッカー部。として、頑張ってるみたい。エースストライカーが、いなくなったらダメじゃない…。」
「達也も、大きくなったんだよ。」
「…うぅ…。」
「ゴメンね…。結城…、私のせいで…。」
由紀乃が言い終わると、風が吹いた。優しい風が…。
「でも、やっぱり、あなたに一番伝えたいのは、ありがとう。かな…。」
「私ね、今、男の人怖くないよ。」
暖かい雨と、空からの雨。
止んでいた。
「全部、ぜんぶ、ぜーんぶ!」
「あなたのおかげだよ…。」
「あなたが、ここで、私を助けてくれた。あなたが私の過去を、変えてくれた。あなたが…。」
今日も、【緑の丘】は、優しく、美しく、夜空を映していた。
雨上がりの空の出来事だった…。
「由〜紀〜乃♪
何泣いてんだよ〜。」
由紀乃は振り返る。
何もなかった…。
由紀乃は、確信していた。
「結城…。」
由紀乃は、ウ゛ァイオリンに手を伸ばす。
最後まで、読んで下さった皆さま、本当に、本当にありがとうございました!!