表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

2. 大雨

 小説を読んでいるとまた眠くなった。風邪を引いているのでベッドで寝ることにする。

 枕に頭を乗っけるとやわらかくて居心地が良い。するすると呼吸が風に飛んで行ってしまうように私は眠ってしまった。

 深い眠りであった。

 目が覚めると夕方だった。やっぱり雨は続いていて、裁断なく続く雨音が心地よさを私の部屋にしとしとと残していく。

 しばらく目を閉じて、その雨音を聞いていた。しとしと、バシャバシャ。それから目をゆっくり開く。深呼吸をして外から漏れる雨のにおいを嗅ぐ。濡れた草木の匂いがしていた。

 一階の居間に下りていくと、誰もいなかった。何か軽く食べて風邪薬でも飲もうと思っていると、どうやら風邪薬は昨日の分で切れてしまったようだ。

 近くのドラッグストアにでも行こうか、悩んでいても始まらない。私はパジャマのまま家の鍵とサイフだけをもって外に出る。

 玄関の鍵をかけてしまうと、傘立てから傘をだし、それを両手で広げる。パステル模様の付いた薄緑の傘だ。大振りの雨の中私はドラッグストアへと向かった。


 ドラッグストアに着くと店内にはレジの店員以外には誰もいなかった。

 風邪薬のコーナーに行き、商品を一つ一つ見ていく。一番安いものを手に取ってそれをレジに運んだ。

「698円です」

「今日、誰もいないんですね」

「そうですね、大雨ですし」

「家にも誰もいないんですよ」

「寂しいんですか?」

「そんなことはないんだけど、なんか不思議だなって」

「不思議ですね。でもこれから一週間雨が降るんですし、何があってもおかしくないですよ」

「そうですか」私は会計を終えて袋に入った風邪薬を片手に家に帰った。


 傘を閉じると玄関の傘立てに傘を戻す。鍵を開けて中に入るとやっぱり誰もいなかった。

「ただいまー、誰もいないけど」私は独り言を言うとキッチンに行き何か軽く食べられるものがないか冷蔵庫の中をのぞく。冷凍のピザが一枚あったのでそれをレンジで温めることにした。

 レンジでの待ち時間の間、テレビをつける。テレビでは昨日から続く大雨で川が増水しているとあった。このまま続くとあふれてしまうので近くに住んでいる人は早めに荷物をまとめて避難してください、とテレビは言っている。

 幸い私の家は川の近くではないので避難する必要はなかった。テレビは雨のことばっかりやってる。

 レンジでピザが温め終わると私はそれを取り出してパクパクと食べていく。一人では全部は食べきれなかったのでラップをして冷蔵庫に半分を入れておいた。

 それからドラッグストアで買った風邪薬を開封し麦茶と一緒に飲み込む。

 念のため体温が下がっているか、体温計を腋に入れて計ってみる。今度は38度4分と出た。さっき外に出たせいだろうか。私は自室に戻りベッドに横になった。

 はれぼったいほっぺたが熱かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ