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32:マリンブルー

雲がない快晴の天気…。

トロア近郊上空に到着したが、すでに地上戦力がトロア奪還に向けて攻撃を開始していた。

地上の野砲部隊がドイツ軍側に40門以上砲弾を発射しており、トロアの街は砲撃によって各所で黒煙が噴き上げている。



「作戦開始か………地上の歩兵部隊と戦車大隊も一斉に動き出しているな…」



連合国軍の戦車大隊は味方の歩兵の速度に合わせて進軍している。

決して早くはないが、トロアに立てこもっているドイツ軍への心理的効果はあるだろう。

ドイツ軍側も野砲等で応戦しているようだが、数が足りないようだ。

ドイツ軍の兵士が後退している。それもかなりの数だ。

市街地の建物内に潜んで攻撃の機会を待ち構えているかもしれないが、郊外の防衛線が突破されたとすれば市街地戦はより激しいものになるだろう。



敵の航空機部隊がトロアを攻略しようとする連合国軍を阻止するべく、迎撃に上がったようだ。

右前方に4機…オリーブ色のフォッカーを発見した。

その奥からは水色の戦闘機が後に続いていた。



「見慣れない戦闘機だな………あれはアルバトロスか!」



アルバトロス…フォッカー戦闘機に次いでドイツ軍で採用されている戦闘機だ。

私が確認できなかっただけかもしれないが、複葉機は似ている形状の機体が多いから第二次世界大戦ぐらいの戦闘機よりも見分けがつきにくい。

アルバトロスは合計8機…こちらのイギリス陸軍航空隊と私の機体を合わせて数の上では五分五分だ。

地上支援ではなく、航空機同士の決闘が始まるのだ。

格闘戦は控えて、一撃離脱を肝に銘じて敵に背中を獲られそうになったら螺旋を描くようなバレルロールで回避に専念するべきだな。



幸い、今回はジェームズ大尉の指示で護衛機が付いているのと、マルガレーテ少尉が後部の銃座についている。後方は彼女に任せよう。



早速、敵との交戦状態に突入した。

ジェームズ大尉が散開を合図に各機が敵機と入れ違うように機関銃を放った。

私はオリーブ色のフォッカー1機のコックピット部分を狙うようにトリガーを引いた。

ルイス軽機関銃の攻撃を受けてコックピットに血しぶきが噴き上げるのをすれ違いざまに確認する。

まずは一機撃墜を確認!

味方も2~3機を撃墜したようだ。



ドイツ軍はすぐに旋回してこちらに再度攻撃を仕掛けようとしてきている。

先に仕掛けようとしていた味方の戦闘機のうち2機がアルバトロスに狙い撃ちされて黒煙と炎を噴き上げて地上に墜ちていく。

私の方にも一機のアルバトロスが後方下から攻撃を仕掛けようとしたが、銃座に座っていたマルガレーテ少尉が機関銃を放つ。

操作性を失って機体を掠めるように上がったかと思えば急降下すると同時に機体の両翼が真っ二つに折れていった。



マルガレーテ少尉の初の戦果だろう。

元ドイツ軍の彼女からしてみれば撃ちにくい相手だったかもしれないが、マルガレーテ少尉は無言で敵機を撃墜せしめた。

まだまだ敵機は残っている。

気を緩めずに攻撃を続けよう。



交戦を始めて10分ほどで、敵の数は6機となった。

こちらは10機…数の上では1.8倍になって敵からしてみれば劣勢に立たされている状況だ。

逆転は無理だと悟ったのか反転して逃走を図りだした。



『全機、逃走を図っている機体を撃破せよ!!』



ジェームズ大尉が追い込みの合図を回光通信機で全員に送った。

それをみて真っ先に群がって逃走を図るドイツ軍機を残さず撃墜する。

弱っている獲物に群がるハイエナのように、次々と撃墜され墜ちていく。



必死に足掻くドイツのパイロットだが、一機、また一機と数を減らされていき、最後の機体は6機に囲まれた末に機関銃の集中砲火で花火のようにバラバラに機体が爆発してこぼれ落ちていった。

交戦を始めて20分でドイツ軍の戦闘機を残らず全機撃墜した。

トロアの制空権は連合国軍が押し返した。

地上の勝敗も、もうじき決着がつくだろう。

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