31:我有利
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【連合国軍、ドイツ軍のヴェルトハイム級軍用飛行船2隻撃破!!!ドイツ海軍の主力戦艦部隊を壊滅せり!!!】
【新型艦による砲撃によりヴェルトハイム級軍用飛行船撃破、空中要塞は無敵ではない!】
連合国軍がデンマーク沖でドイツ海軍とあのヴェルトハイム級軍用飛行船を撃破したことで、連合国軍全体の士気は確実に上がっている。
それまでヴェルトハイム級軍用飛行船は悪魔だの空中要塞だの恐怖の象徴として揶揄されてきた存在だ。
それが海戦で行われた新型艦による砲撃で撃墜できたことは連合国軍はヴェルトハイム級軍用飛行船に対して、決定的な打撃を与えたことになる。
あの巨体を倒すには通常弾ではなく、徹甲弾の中でも強固な装甲を撃ち抜く高速徹甲弾を使用したのだろう。
陸上でも今回ヴェルトハイム級軍用飛行船を撃破するのに使用された砲塔の増産を急きょ決定したようで、遅くても半月後には武装列車に取り付けられるとの噂があるぐらいだ。
ドイツ軍が現在西部戦線で使用しているヴェルトハイム級軍用飛行船は4隻、これらの脅威が無くなれば連合国軍は戦況を有利に進めることができる。
私としても、あのヴェルトハイム級軍用飛行船は鉄壁といっても過言ではないほどの強度と装甲を誇る現時点では最強の航空兵器であるという認識だ。
その最強の航空兵器を撃破できるならばドイツ軍は連合国軍の猛攻によって劣勢となるのは必須だ。
新聞を読み終えると、私は機体を収容している格納庫に向かった。
「おお、出来上がっていたのか…それにしても、私の指示通りに塗ってくれて良かった…」
あの銀色の機体は青と紺色で塗装され、F-2A支援戦闘機のようなカラーリングとなっている。
元F-15パイロットとしてはアグレッサー部隊のような印象のカラーリングにしてもよかったのだが、それだと銀色以上に目立ってしまい、敵機から余計に狙われやすくなってしまうだろう。
「浅川少尉、こちらにいらしたんですか?」
機体を眺めていると後ろからマルガレーテ少尉が近づいてきた。
機体のカラーリングは問題なく、マルガレーテ少尉からも好評であった。
「あまり目立つタイプの”青色”ではないですね、どちらかというと大人しい感じの色合いです。今日からこのカラーリングで出撃するのですか?」
「ええ、今日はトロアに連合国軍の戦車部隊が攻勢をかけるようです、その支援のために上空から敵機を寄せ付けないようにするようです、あと1時間ほどで出撃しますので、マルガレーテ少尉も出撃の準備を行ってください。作戦の詳細は30分後のブリーフィングで詳細を説明します…それと、今回の作戦ではジェームズ大尉のイギリス陸軍航空隊の指揮下に入って補佐を行います。周囲との連携を取りながら任務を行いましょう」
一時的にとはいえ、イギリス陸軍航空隊の指揮下に入るとは思いもしなかったが、ジェームズ大尉は悪い人ではない。
ジェームズ大尉の機体はかなり早い上に、格闘戦では間違いなく彼のほうが私よりも上手い。
会議室でブリーフィングが開かれて、私とマルガレーテ少尉は隣の席でジェームズ大尉から本作戦の詳細な指示を受けることになる。
「さて、連合国軍の艦隊がスカゲラク海峡でヴェルトハイム級軍用飛行船を撃墜したのは諸君もよく知っているだろう。あの巨大な悪魔の化身は確かに強敵ではあるが無敵ではない。トロアでイギリス陸軍の第3戦車大隊がフランス軍の第11・12歩兵師団と共に攻勢を仕掛けることになった。場所はトロア…現在この街はドイツ軍の支配下に置かれているが、現在この街を防衛しているドイツ軍は十分な装備が行き届いていないとの報告が上がっている。この写真を見てほしい」
ジェームズ大尉は黒板に写真を張り付ける。
その写真には町を偵察で撮影したと思われる写真だった。
黒い点々がドイツ軍兵士のようで、町の中心部の駅にはドイツ軍が輸送してきたと思われる列車も幾つか停車している。
軍用トラックとおもしき車両も駅に停車している、駅正面の大通りであるカルノ通りに位置するホテル「ビクトリア・ロイヤル」に前線本部が設置されている。
「昨日行われた偵察でドイツ軍はパリと東部方面に軍を集中配備しているとの結論が出た。ヴェルトハイム級軍用飛行船が2隻撃墜されたことを受けてパリ近郊に2隻、東部方面に2隻の運用に絞って連合国軍を消耗させようとしているのだろう。つまり、その間手薄になった前線を突破してドイツ軍の後方に回り込んで損害を与えることが本作戦の任務である…」
ドイツ軍は早期講話の為に大攻勢を仕掛けたが、その大攻勢の際に起こった消耗がここにきてドイツ軍のアキレス腱にひびを入らせたようだ。
敵の地上戦力はそこまで大規模なものではないらしいが、このトロアを奪還すればパリへのけん制にもなる上に、線路で新型対空砲をピストン輸送して配備できればヴェルトハイム級軍用飛行船が容易に近づけない対空防衛陣を張ることができる。
その上でもトロア攻略は連合国軍にとっても重要な役割を示すジェームズ大尉は力説したほどだ。
「ただ、トロアまで110キロ近く離れている…我々の戦闘機では上空に留まれる時間は長くてもせいぜい20分ぐらいだろう。時間を地上の部隊が侵攻する時間に合わせて攻撃を開始する!各員、15分後には出撃するぞ!我々連合国軍の勇猛さを見せつけてやれ!!」
ジェームズ大尉の掛け声に全員がイエッサーと返答する。
各員が格納庫に向かって出撃の準備に取り掛かる。
ブリーフィングが終わるとジェームズ大尉から声を掛けられる。
「浅川少尉、あの機体の調子はどうだ?」
「ええ、前よりも少し機動が重くなりましたが安定性は増したように感じます、それに後部銃座があるので後ろの守りは任せられます」
「偵察モデルのR型だもんな…航続距離はお前さんの機体が一番だが、機動が下がったとなれば敵機との格闘戦は注意したほうがいい、俺のほうから浅川少尉を護衛するように部下の1機を付けておく、…あー5番機のロッキー二等飛行兵曹でいいか。ロッキー!!コッチに来てくれ…今日の作戦で浅川少尉の護衛を頼むぞ!!」
「イエッサー大尉、浅川少尉殿…私がロッキー二等飛行兵曹です、以後よろしくお願いします」
ロッキーと呼ばれてすぐに駆け付けて、敬礼してきたのは小麦色の肌をした背の高い北アイルランド出身の兵士だった。前歯が幾つか無いのが一瞬だけ気になったが、それに構わず返礼して彼によろしくお願いしますと頭を下げるとすぐに彼は機体の方に走っていった。
「あいつは俺の部隊でも中々のやり手でな…少なくとも浅川少尉の足を引っ張るような奴じゃない。護衛ならあいつがしっかりやってくれるだろう、それじゃあそろそろ出撃するぞ」
「大尉の配慮に感謝します、では準備が整い次第出撃します」
ジェームズ大尉に敬礼してからマルガレーテ少尉と共に格納庫に向かう。
青と紺色で塗装された機体のエンジンを始動させる。
いよいよ連合国軍の反撃が始まる。
私はジェームズ大尉率いるイギリス陸軍航空隊と共に空に羽ばたくことになる。