19:地上支援2
麻婆豆腐を食べて口腔内を火傷したので二度目の投稿です
加藤飛行隊長の放った機銃による攻撃で白煙を噴き上げていた戦車に火が付いた。
瞬く間に戦車が燃え上がり、そしてエンジンが爆発し戦車が一瞬だけ浮き上がるのが見える。
加藤飛行隊長の攻撃で戦車を撃破したようだ。
爆発と同時に、戦車の周りにいた兵士も遮蔽物に隠れるように散っていく。
私は建物の路肩に寄せながら退避していたトラック目掛けて機銃を放つ。
ミシンで布を縫い付けるようにトラックに幾つもの穴が開く。
運転席部分にも銃弾が直撃したようで、直撃と同時にトラックは停止した。
運転席にいた兵士は死んだだろう。
私が彼を殺したのだ。
(…敵を目視できる距離で殺す………これが地上近接支援というものか………)
空中戦のように戦闘機同士の戦いだと、相手を撃墜しても一機撃破したという感想しか沸かないが、こうして地上に近づいて敵を攻撃すると、敵を殺害したという事を認識するぐらいに凄惨な現場を生み出しているのだと実感してしまう。
ましてや陸軍ではそういったことが日常茶飯事になっているだろう。
改めて、地上近接支援が危険であると同時に戦果の際に相手が死ぬということが実感できる。
この感触は出来る限り感じたくはない。
だが、すでに私は戦場のど真ん中で人殺しをしているのだ。
合法的に許されることとして…私は人を殺している。
(………今は懺悔している場合じゃない!!!それは後でも出来ることだろう!!!)
その通りだ。
今は作戦に集中しなければならない。
しっかりするんだ!!!
ふと、上を見上げると味方の爆撃機が飛んでいた。
爆撃機を護衛している戦闘機は爆撃機を狙ってくるドイツ軍の戦闘機を追っ払い、爆撃機が目標地点で爆弾を投下できるようにサポートしているようだ。
そのサポートしている戦闘機はイギリス軍の戦闘機だ。
(あの護衛機の中に………ジェームズ大尉がいるんだな………)
その後、もう一回地上への射撃を加えると加藤飛行隊長は切り上げるように回光通信機で指示を出す。
地上近接支援を終えると、私達は一旦弾薬と燃料を補充するために基地に戻ることになる。
その時には既に燃料は三分の一になっていた…。
最初の地上近接支援での戦果が加藤飛行隊長が戦車一輌、私が武装トラック一輌、輸送トラック一輌を含めて二輌…他、兵士多数を撃破…一方第106戦闘飛行隊は吉村一等飛行士を失い、残機は6機となった。
ドイツ軍一個中隊に少なからぬ損害を与えて友軍の足止めに少しは役に立っただろう。
プレリー空軍基地に帰還したのが午前11時ちょうど、基地に到着して再出撃する為の燃料と弾薬を補給している間、休憩を取って昼食となった。