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14:報い

「何をしているんですか大佐!!!!おい!!!大佐を取り押さえろ!!!」



「離せええぇぇぇ!!!俺は!!!!俺はフランスの為にやっとるんだああああ!!!邪魔するなああああ!!!」



憲兵隊と警備兵が6人がかりで大佐を取り押さえる。

大佐は口から涎を垂らしながら自分を正当化する発言を喚き散らしている。

目の視線も定まっておらずに異常な行動をしている。

それは誰の目から見ても明らかであった。



憲兵隊は最も階級が低く年齢が若いポール伍長を残して、それまで彼女を調べてほしいと頼んで大佐を車に乗せて収容所から出て行ってしまったのだ。

どう接しようか悩んでいた所、最初にマルガレーテ少佐が話を切り出した。

そして先程の態度とは打って変わって敬語で謝罪をしてきたのだ。



「ごめんなさい浅川さん、貴方を巻き込んでしまった上に怪我まで負わせる結果になってしまって申し訳ないですわ…マルガレーテ・フォン・ソロステの名において…浅川さんにご迷惑をお掛けした事を謝罪させていただきます…本当に申し訳ございませんでした」



深々と頭を下げるマルガレーテ少佐に驚きつつも、顔を上げてくださいと言った。

なんせ、この時代はまだ貴族の地位は高いものだったし、そう易々に目下の人間に頭を下げる人はそうはいなかった筈だ。

ましてや彼女は爵位を持っていて階級も少佐、一方の私は一等兵…あまりにも差がありすぎる。



「いえ、私は大丈夫ですよ…それより、なぜ大佐にあのようなことを言ったのですか?あれではフランス人の心を抉るだけで相手を不快にさせるだけでしょうに…」



「いえ、大佐はあれでいいんです…彼が私にしてきたことを聞いていただけませんか?」



マルガレーテ少佐は昨日撃墜されてからここにくるまでの経緯を追って説明をしてくれた。

大佐が残していった報告書をポール伍長と照らし合わせながら彼女の話を聞くことにした。



話によると、マルガレーテ少佐は落下傘で脱出した際に足首を痛めてそのまま身動きが出来なくなっている所を、通りがかった青年に発見されてそのまま保護されたそうだ。

最初は自国軍のフランス軍かと思われたそうで、丁重に扱われたがパラシュートに描かれているプロセインの十字架でドイツ軍だと分かると村人の態度が一変し、薄暗い納屋に閉じ込められて早朝になってから軍の憲兵隊がやって来て引き渡されたと語った。



たしかにここまでは調査報告書と同様のことが書かれている。

ポール伍長も彼女の供述と村人の供述とも一致していると頷いている。

だが、次にマルガレーテ少佐が口にした言葉で私とポール伍長は凍り付いた。



「そう、納屋から出て憲兵隊の車に乗せられて………車は途中で森の小道で停車しました………何事かと思ったらもう一台車が止まっていたんです…その車から出てきたのが大佐でした。車に乗っていた兵士達が降りて、代わりに大佐が私が座っている後部座席に乗り込んできました…そして…そこで私は大佐から暴行・・されたんです………銃を頭に突きつけられて………私は抵抗も出来ずに………そこからの事はもう言いたくありません………」

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