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  作者: 青嶋幻
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22 上陸

 橋山に先導され、外へ出た。相変わらず風が強く、踏ん張っていないと船から落ちそうだった。まだ太陽は昇っていなかったが、東の空は明るく、D半島はよく見える。


「海保は夜明けと共に監視に出発するから、のんびりしている暇はない。五分以内に上陸作業を終えなければならない」


 作業船は左右から延びている防潮堤の間を通り抜け、港内に入った。周囲を見回すが、人がいないのは当然としても、鳥さえも見当たらなかった。虫を探すが、船上からは見つからない。


「こんなにクソ寒いのに、虫なんているのかよ。みんな冬眠しちまっているんじゃないのか」


「かなりの種類は活動を停止していますが、先日説明した虫たちは、いずれも寒さに強いです。なにせ彼らの一部分は宇宙由来ですからね。寒さに強い遺伝子が組み込まれているんです」


 震えながら腕を組んで呟くミヤギに、またフルタが反応する。


「だったら、なんで宇宙から来たのに地球の昆虫みたいな格好をしてんだよ」


「そうじゃなくて、昆虫の遺伝子の一部が宇宙からもたらされたんです。ウイルスやバクテリアが、宇宙から来た説があるを知っていますか。太陽系外にウイルスが漂っている場所があって、彗星に乗って地球へもたらされるのです。


 五年前に彗星が地球に衝突したとき、飛び散った粉塵が赤い雨になって降ったでしょ。あのカプセルの中に、ウイルスが潜んでいたんですよ。それが降雨場所にいた昆虫に罹患しました。ウイルスは昆虫の細胞に侵入し、逆転写によって自らのDNAを昆虫のDNAに取り込ませたんです」


「で、妙ちくりんな昆虫が涌いてきたってわけね」


「そうなんです。〈蛹〉の原因になっているカビも、同じようにウイルスによって、DNAを組み替えられて進化したと考えられています。


 ついでに言うと、D半島に生息する巨大昆虫は地球環境に馴染めなくて、最終的には絶滅するだろうと言われています。巨大昆虫の化石は数多く発見されていますが、いずれも絶滅していますからね。もっとも、それが百年先か千年先かわかりませんけど」


 橋山が銃と弾薬、クーラー等の装備を配布する。緊張が高まっていく。


 船が岸壁へ着岸した。船員が降りたって、さび付いた舫い抗にロープを結ぶ。同時に別の船員が、電気自動車の固定を解除してクレーンに結びつけた。


「全員上陸する」


 橋山がいつになく硬い表情でタラップを降り始めた。私たちも周囲に気配りながら降りていく。

 岸壁へ降り立つと同時に電気自動車も着地した。ロープを解除した船員は挨拶もせず、そそくさと船へ乗り込んだ。タラップが引き上げられ、逃げるようにして船が離岸していく。


「さあ行くぞ」


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