第一章「神話の始まり」
おれは小田神王!
親がおれにゼウスの神霊者なって欲しいからって付けた名前なんだけど、流石にないわ。
ゼウスフォールをやってる人間の中には覚醒すると身体に神を宿すようになる者もいる。
それを神霊者と呼ぶんだと。
まあ神霊者になった所で、特殊能力が使える訳でもない。
現に世界ランクNo.1のチリ代表 ホセ・パトリシオも神霊者じゃないしな。
マジで肩書きだけなんだ。
あと神霊者割といるんだよ。
ゼウスフォーラーの8割は神霊者だしな。
しかも神霊者になったら国に神霊税払わねえといけねえし、損しかねえ。
まあ、背後に宿した神を出現させることが出来るのはかっけえけど。
おれは今ゼウスフォールの強豪校、梅田西工業高校でゼウスフォールをしている。
部員は170人。
1オリンポス*2人でやるんだが、おれたちのオリンポスは部内最強……なのか?
「おい小田!グングニル*のドロップ*が雑になってるぞ!!」
「うるせえ三好!てめーこそメロス*サボってんじゃねーよ!」
このうるせえお節介焼きは三好亮。
一応同じオリンポスメイトで、ペルセウスの神霊者だ。
マネージャーと付き合ってんのも腹立つ。
「こら!神王!亮!練習サボらないの!!」
「だってよー!!三好がよー!!!!」
「ごめんな佳乃。」
小林佳乃はマネージャーのくせにゼウスの父であるクロノスの神霊者だ。中学時代ゼウスフォール部に入っていたとき目覚めたんだと。
「もう!来週県大会だよ!?
神王と亮は梅工の希望なんだから全国行ってくれなきゃ困るの!」
「わーかってるってー。
絢里と梅商だろ?余裕余裕。」
「小田は相手オリンポスのこと何も調べてないんだな。絢里にはポセイドン、梅商にはトールの神霊者がいるんだぞ。」
「んだよ!神霊者なんてほくろみたいなもんだってチリ代表ホセ・パトリシオも言ってたろ?!」
「だいたいお前はな、神王とかいう名前なのにゼウスの神霊者じゃないのがおかしんだよ。」
くそっ。
この返しをされる度に親を恨んだ。
なんて名前を付けてくれたんだよ。
ゼウス以外の神霊者になってもいじられるんだろうな…。
「はいはい終了終了。
今日はもう練習終わりだし、帰って寝て!」
「はーい。」
「一緒に帰ろう佳乃。」
ケッ。リア充気持ちワリイ。
夏休みぐらいに破局してしまえ。
オリンポス・・・チーム
グングニル・・・ハンカチ
ドロップ・・・グングニルを落とすこと
メロス・・・円をくるくる走る行為