魔連会職員な私と神樹の民なあいつ。
今年たぶん、最後の投稿です。
よろしくお願いいたします。
来年もよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。
うーん、付きまとわれてるわ。
私がなにをしたって言うの。
人界は年末のに賑わいを見せている。
お正月用品を買いに出たのにつきまとわれるなんて…本当にあんたストーカー?
「お雑煮の材料でも買おうかしら。」
スーパーの籠に薄切りの鶏肉のパックづめを入れた。
三つ葉と大根と人参はもう入ってる。
栗きんとんは栗の甘露煮の瓶詰めとさつまいもも入れたので製作予定よ、弟も私も栗きんとん大好きなのよ。
「数の子は買わないのか?」
あいつがさりげなく隣に来ていった。
短いツンツン頭の茶髪に琥珀の目の若いどこか目の引く男だ。
「いつまで付きまとってるのよ。」
私は不機嫌そうに今日の晩御飯用の合挽き肉のパックづめを入れた。
「オレはあんた担当だからな。」
そういいながら神樹の民のあいつは試食のウインナーをつまんだ。
神樹の民のあいつとは全国魔族連絡会で出逢った。
私はそこの職員だし、そこでは普通にコボルト族らしい垂れた犬耳と尻尾の本性姿で今は人化してるのになんでわかるのかしら?
「ローストビーフでもつくろうかしら?」
安い外国産の牛肉を見ながらつぶやいたわ。
下の弟たちがお正月遊びに来ると思うしおもてなしにいいわよね。
「いいんじゃね?」
神樹の民のあいつが言った。
無視して安い牛肉の塊のパックづめもかごにいれた。
「奥さん、新年パテのご試食はいかがですか?」
三角巾にエプロンの人族のおばさんが銀の使い捨て小皿に彩りが綺麗なパテが小さくきって盛った楊枝のささったトレーを差し出した。
「すみません。」
私はオレンジ色と緑のそうのをとった。
「旦那さんもどうぞ。」
おばさんがトレーをあいつに差し出した。
「わりいな。」
あいつが赤とピンクのとった。
美味しい、お節に加えようかな?
「新婚さんだから華やかな方がいいですよ。」
おばさんがニコニコ私とあいつを見て言った。
ちょっとまて!私とあいつは夫婦じゃない!
「あー、わかる?ラブラブなんっすよ。」
あいつが厚顔にも言った。
「違います。」
私は慌ててその場から離れた。
「奥さん、恥ずかしがりだね。」
おばさんがいってるのにあいつがそうなんすよっていってるのが聞こえる。
この隙にスーパーを回ろう、弟はたしかチーズデセールがほしいっていってたな。
「そのブルベリーのうまいぞ。」
あいつがぬぼっとやって来て言った。
「余計なお世話です。」
私はそういいながらチーズデセール、マンゴー味を籠に入れた。
最近、帰り道もつけられてる気配を感じるのよね。
間違いなくあいつよね。
弟のダイアスと一緒に社宅に住んでるんだけど、人族を避けて辺鄙なところなのよ。
まあ、一時間一本のバスと私の健脚でなんとかなってるけどね。
本部が街の方なのは上級魔族が田舎に足を運ばないからだし。
「また、付きまとわれたんだって?」
弟がお皿をだしながら言った。
「うん、神樹の民のカントウ支部に文句入れないとね。」
そういいながらハンバーグを盛り付ける。
「そうだよね、したっぱのコボルト魔連会職員なんかの監視するより、やや危ない上位魔族の監視してほしいよね。」
弟が耳をぴくぴくさせて言った。
「そうよね、翠家の孫娘さんがコンビニでバイトしてるのを見るとひやひやするのよね、さらわれたら大騒ぎよね、本家の女性部屋にこもってほしいわ。」
そういいながらベイクドポテトをトースターからだしてお皿に盛った。
「わー、まだやってるんだ…諦めてどっかの上級魔族に嫁入りしてくんないかな?僕最近頭の毛が薄くなった気がするよ。」
弟がそういいながら頭を撫でた。
私と弟は中級魔族のしたの方のコボルト族で
コボルト族らしく魔族連絡会の職員をしている。
人界暮らしも長くて社宅暮らしも長い。
コボルト族らしく兄弟は多い、だから魔界の上級魔族にお仕えしている兄弟もいる。
うーん、いっそそちらのつて頼って転職しようかな?
今日は弟のダイアスは居ない。
神樹の民のカントウ支部にいってくれてるからだ。
魔族連絡会のニホン本部は今日は訪問者はいない。
「ケイアちゃん、こんちは。」
あいつがやって来た。
「こんにちは、ご用件は何でございますか?」
私はそよそよしい愛想笑いを浮かべた。
「長に色々いってくれたみたいだね。」
ニコニコとあいつが言った。
「お帰りはあちらでございます。」
私は愛想笑いを浮かべて入り口を手のひらで指した。
「きちんとケイアちゃんの担当になったからオレに安心して守られてね。」
あいつ、井草 東が笑った。
「お断りいたします。」
私はニコニコと警備のトロル族に合図を送った。
「お帰りはあちらですぜ、旦那。」
トロルがこん棒を威嚇に使って振り上げた。
「ふーん、オレにかなうとおもってるんだ。」
あいつが神樹の小枝を取り出して大きな剣に変化させた。
「ふん、そんなか細い腕でなにができる?」
トロルがそう言ってこん棒を降り下ろした。
わー、威嚇だけでいいのよ!
怪我させたらカントウ支部がうるさいわ!
「口ほどでもないな。」
あいつがトロルを踏みつけて言った。
「こ、抗議いたしますわ!」
そうよ、負けるが勝ちって言うじゃない。
「こいつが仕掛けてきたんだぜ、ケイアちゃんを守るのはオレしかいないよな。」
あいつが獰猛な笑みを浮かべて言った。
「お断りいたします。」
私はかまえた。
「遠慮深いな、オレさ、ワンコ耳の彼女って理想なんだよね、だから付き合ってほしいな?」
あいつがトロルの血が少し付いた剣を持って迫ってきた。
トロルはうめいてるから消滅の力は使ってないらしい。
「好みではありません。」
私は武器になりそうな箒をかまえた。
そうよ、好みは毛深いコボルトよ。
「ケイアちゃん?」
あいつが怪訝そうに言った。
耳がプルプル震える。
「いや、来ないで!」
私は後ずさった。
「ケイアちゃん、オレ別に君をいじめようとしてる訳じゃないんだよ。」
あいつがさらに近づいた。
「お止めなさい!東君!」
入り口の転移門が開いて白髪の凛とした老婦人が入ってきた。
神樹の小枝をすぐに弓変えてかまえる。
「三千代さん、オレ、なんか間違えました?」
あいつが剣を消して言った。
「…うちの姉を脅さないでください。」
弟がその後ろからやって来た。
「好きな女の子にアピールするのに威嚇してはいけませんわ。」
三千代さんが弓を消しながら言った。
「威嚇?わー、誤解された!」
あいつが額に手をやっていった。
「私につきまとわないでください。」
私ははっきり言った、そのとき言った。
しばらくして、年越し蕎麦の買い出しをして夜道を歩いていた。
コンビニで例のお嬢様が接客してるのが見えた。
「うーん、困るよね。」
私は護衛をつけるか翠家の当主と相談しようと心に決めた。
それより翠家の女性部屋にこもってほしいのよね。
いくらクォーター…いえクォーターの上級人型魔族だからこそ自分の魔力を受け継いだ子供を産ませようとするやからに狙われるって分かってるのかしら?
面倒だわと思いながら帰り道に戻った。
かき揚げは高いけど、スーパーフレッシーのが美味しいから買っちゃったわ、本当は揚げればいいんだろうけど。
美味しい年越し蕎麦に期待しながらるんるんと歩いていた。
もし本性だったら尻尾がブンブンしていたわ。
このところあいつと会わないし…でもつけられてる気配は感じるのよね、あいつかどうかはわからないけど。
「ケイアちゃん。」
しばらく顔を見せなかったあいつが前から現れた。
「な、なんですか?」
私は身構えた。
社宅近くは辺鄙で人族がいないところをえらんでるって前も言ったわよね当然今もいないわ、不味い?
「危ない。」
あいつが私の腕を持って引き寄せた。
私がたってた場所に刃物が刺さる。
「おや、同胞、小汚ない魔族をかばうのですか?」
そういいながら黒いロングコートをきた赤い髪の男が刀を地面から引き抜いて言った。
「あんたたちみたいな選民主義者な狂信者と一緒にしてもらいたくない。」
あいつが私を背中にかばって神樹の小枝を剣に変化させて言った。
「小汚ない魔族に懐柔されたのですか?色仕掛けですか?」
妖しく微笑みながら男が言った。
き、聞いたことがあるわ。
神樹の民でも魔族を目の敵にして見つけると無差別で消滅させる集団があるって。
もしかしてつけてたのこの男?
気配が本能がこの男っていってるわ。
どうしよう身体が振るえるわ。
「オレはたしかにケイアちゃんに惚れてるが、色仕掛けされてねーよ、むしろされたいね!」
あいつが緊張感をかいたことを言った。
「まあ、あなたの根性を叩き直してから小汚ない魔族を消滅させればいいことですから。」
男はそう言って刀を上段にかまえた。
「させねぇよ。」
あいつが剣をかまえた。
結果ですか?
あいつの圧勝です。
命からがら逃げていきましたよ狂信者は。
覚えてなさいと言い捨てて。
それ定番のセリフよね。
あいつも無傷じゃなかったので手当に社宅に招きました。
「面倒な連中に目をつけられましたね。」
弟が蕎麦をすすりながら言った。
「オレが守るから大丈夫だ。」
あいつはかき揚げをかじりながら答えた。
あのあと年越し蕎麦も一緒に食べてる。
こいつが独り暮らしでコンビニで蕎麦を買ってたからよ。
べ、べつにほだされたからじきゃないわ、恩返しの一部よ。
フレッシーのかき揚げも分けてあげだわ。
「ありがとう。」
こんなにこいつが頼もしく思ったことはなかったわ、思わず見つめて耳をピコピコさせちゃったわ。
「やっぱり可愛いぜ、オレの嫁になってくれ、ケイアちゃん。」
あいつが私を見つめて言った。
「考えておきます。」
私はどっちかというと毛むくじゃらの方が好みなんですけど…なんかかっこよく見えちゃったわ。
「おお、ダイアス君が弟になる日も近いか?」
あいつが笑った。
「もれなく5人の兄弟がついてきますよ、みんな男で。」
弟がかき揚げの海老をつまみながら言った。
ええ、コボルト族は兄弟が多いのよ。
でも、女の子は少ないのよね、どこもだけど。
翠家ほど囲われませんけどね。
「うーん、オレ頑張る。」
あいつがそう言ってニヤリとした。
どうしよう、私、本当にモコモコの毛深い人が好みなのにドキドキする。
ゴーンと除夜の鐘がなっても私の心はドキドキが一杯だった。
自分の気持ちがわからないわ。
どうしたらいいのかしら?
魔族連絡会 魔界から人界やって来た魔族がもれなく登録手続きに来なければいけないところで魔族の保護や監視も請け負っている。
ただし、上級魔族などの一部は登録せず勝手に動いていることがあり頭がいたい現状である。
そのため一番上は上級高位魔族がつとめているが、潜り上級魔族の取締りのためしばしいない。
職員はコボルトが多い、主人公はニホン本部で紅一点のコボルトである。
神樹の民 魔族を監視し時には消滅させる力を持っている一族、大体兼業で他の職業及び立場をもっている。(庶民から政治家まで幅広い。)神樹の小枝がその証兼武器、人によって違う。
神樹の小枝 神樹より授けられた、神樹の民が力を発揮するために必要な手のひらサイズの小枝、神樹の民の力で武器に変化する、神樹の民の血筋でも神樹より神樹の小枝を授けされない限り神樹の民とはよばれない。
コボルト ファンタジーらしい設定でいきます、犬顔モコモコの人型魔族、主人公は人に犬耳と尻尾の極めて人に近い姿をしていてそれがコンプレックスになっている。
弟もコボルトのわりに毛が薄い。
父親が下級人型魔族のためかとおもわれる。
両親は恋愛結婚。(中級魔族のしたっぱなので魔力調製なしで子供が沢山できたようです。)
神聖なる聖木の使徒 神樹の民のうちでも魔族のすべてを邪悪なるものとしすべて消滅を目論む狂信者たちのグループ、まだ謎が多い。
よくわからない設定ですみません。
今年一年駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。