きっとそれは厄日
初投稿になります。
また、習作扱いです。
誤字、表現の違い等ありましたらどこかで報告して頂けたら幸いです。
更新は不定期になる予定です。
また、改稿を数度行う可能性があります。
「―なぁ、葵。お前にテレビドラマ出演頼みたいんだが。」
それは父親からの言葉だった。
その日の事を俺は厄日だと思っている。
なぜその日、寝坊して急いで学校に行かなかったのか。
なぜその日、父親の言葉に耳を貸してしまったのか。
そう、これはきっと受難の始まり。
月島 葵はどちらかというと一般人に分類される男子高校1年生である。
ただ、特筆されるのはその容姿であり、女優の母の血を色濃く受け継ぎ、その容姿は男性と言うよりも中性もしくは女性に近い。
また、葵には中学2年になる妹の夕日がおり、こちらはさらに色濃く母の遺伝子が浮き出ている。
父は女優の母を溺愛しており、プロダクションを設立後、そのプロダクションで社長をやっている。
父が設立したプロダクションはもともと母のために立ち上げたもので、そこまでタレントがいないせいぜい中規模のプロダクションである。
また、母同様に妹も父のプロダクションに名を連ねており、地道に女優の道を進んでいる。
一方で、葵は我関せずとばかりに友人達と部活したり遊んだりしている。
これが、葵とその家族である。
葵の家族は知名度は高いが、一方で葵は全く知名度がないので当人としては一般人のつもりでいる。
しかし、その認識を改める必要とする事案が発生した。
それが冒頭の話である。
いつものように学校行くため、起きた葵は学校に行く準備をして、自室のある2階から1階へ降りた。
食事作りの担当は母や妹の前日とその日の仕事等を鑑み、基本母、ついで妹、最後に葵となっていた。
今日は母がドラマ撮影なので、すでに家を空けていて、朝食作りは夕日になっていた。
葵は夕日が台所で朝食を皿に移しているのを横目に確認しながら挨拶をし、席に座った。
そして、返ってきた挨拶に続いたのが父の言葉だった。
「なぁ、葵。お前にテレビドラマ出演頼みたいんだが。」
その言葉が葵に向けられていることに葵は理解できなかった。
そこに父は言葉を重ねた。
「いや、詳しく説明するとだな。今度、夕日が主演するテレビドラマで、夕日の演じる役の姉役が決まってないらしくてな。監督が言うには姉妹なのだからある程度似た顔立ちじゃないと納得いかないらしい。」
「なんで俺なんだよ!しかもなんだよそれ。ドラマなんだから普通に血縁者じゃなくてもいいだろ!」
再起動した俺は反論をすぐに試みた。
「それはそうなんだが。入れ替わりをするシーンがあるよそうなんだ。候補が決まらないと夕日が降ろされる可能性もあるんだ。頼めないか?」
夕日が主演を降ろされる。これはノータッチを装いながらも影ながら家族を応援している葵にとって急所を突く話だった。
それに加え、朝食を運んできた夕日に「お願い、お兄ちゃん。私も協力するから。」と言われてはノックダウンするしか他は無かった。
そして、あまりにも混乱して忘れていたことを葵は気付かない。
―姉役だということに。
どうでしたでしょうか。
この作品はあまり悩まず好きに書いてるので、結構展開が早くなるのですが……。
その辺りは時間が空いた時に肉付けする予定です。
お気に召したならば幸いです。