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流図トドリと円環ミレアの異形配信!!! ぱーとちゅー





私は、あの忌まわしき呪いから完全に解放されたのだけど、みんなに二、三日の外出禁止を言い渡された。




ヒノも"シスイ、色んな事があり過ぎて、疲れ溜まってたんじゃない?数日は家で大人しくしてなさいよ。後で、秘密のご褒美あげるからねダーリン"と言っていた。




秘密のご褒美……




そういえば、最近は複数で行動する事が多かったり、忙しかったりで、ヒノと二人でゆっくりイチャつく事が無くなっていた。





もしかしてもしかして……私、期待しちゃっていいのかな?





私は、過去のヒノとの、めくるめく行為を思い出し、生唾を飲み込んだ。





想像するだけで、体温があがる。





全く、ヒノの"色んな意味での"可愛さったら、言葉で表現がしにくいんだ。





私に詩や音楽が作れたらなー、なんてね。





この気持ちを全部伝えてあげたいんだ。





……





――ふぅーーー切り替えよう。





私は、昼間だと言うのに、カーテンも閉め切り、部屋を暗くしている。





さらには、ベッドで掛布団を被りながら、スマホで動画を見ている。





こんなに、だらけていいのかと罪悪感が沸くが、みんなに言われているのだから仕方が無い。





画面をスクロールする。






また、"あれ"配信更新されてるじゃん――





今は刺激が強いモノをあまり見たくないが、親指が勝手に動き、動画のサムネイルをタップしていた。




(流図トドリと円環ミレアの異形配信!!! ぱーとちゅー)




ふざけた名前だが、興味が抑えきれない。




前回のヴァンパイア少女はどうなったのだろうか?




動画が始まる――




私は枕元のジュースを手に取り、一口炭酸を流し込んだ。




シュワ―という音が頭に響くのが合図だったみたいに、意味の無い広告が終わり、動画が始まった。







――







「やっほー、ほほほーい」




円環ミレアの顔がドアップで映っている。自撮りだ。




相変わらす色が白いな。




そんな顔に、今日は火照り顔的なメイクを施してるのが無性に色っぽい。




「みんなー元気だったかーい?久しぶりのちゅっ♡だよ」




円環ミレアは、前髪を触りながら言う。




濃いピンクでロングの髪の毛に、オレンジのメッシュが今日もカワイイ。




「あれ?ちゃんと、ちゅう返してくれたー?」




ちゅ。




「ありがとー!!今日は、なななんと!海まで来ていまーす!!!」





彼女の淡いピンクの瞳がぐるぐると動き出し、ハートマークに変わる。





「で、いーまーはー、シーサイドホテルに居てー、さっきまで、お風呂入ってたんだよっ」




「そしてなんと!下は……タオル一枚だよーーー!!!きゃーーー!!!」





これは……




もしや……




神回!




ヒノごめん。えっちな私を許して。多分サブリミナルか、なんかのせいだから。






「見たい?私の、ヒ・ミ・ツ♡。どうしよっかなー?いいねとコメントするって約束する?」





私はすぐにいいねを押した。コメントは少しめんどくさいからしない。





「じゃあ、ちょっとだけだよ?恥ずかしいからちょっとだけ」





円環ミレア、萌えの要素分かってるなー。




まー……でも……ヒノには全然負けるけどね。




私は今、コメントするのすらめんどくさがったが、




ヒノに対しては人生を懸けてもいい。




そんくらいのレベルなんだヒノってのは。




……




しかし……見れる物は見ておこっと。





「じゃあ、いくよ?」





円環ミレアは、内カメラから、外カメラに切り替え、脱衣所の洗面台の鏡を映す。





そこには――




円環ミレア――




タオルを一枚。わがままな体にピッタリと巻いてる――




少し濡れた、ピンクとオレンジの長い髪。




滑らかで、柔らかそうな肌。




すらりと伸びた腕。




まるで、大理石で出来た彫刻の女神みたいだ。




体はとても女性らしい。




バストやヒップの辺りのタオルが、今にも悲鳴をあげて、はじけてしまいそうだ。






「おーしまい!!!みんなのえっち!!!」





かーーー!なんて娘だ。





「それとね……実は……トドリがまだお風呂に入ってるんだー!!!」





まさかまさかまさか!!!あの元世紀のアイドル、流図トドリのお色気シーン!?




現役アイドル時代、一切のグラビア関連をスルーしてきたトドリがまさか??




超正統派の、歌とピュアな可愛さと演技のみで、頂点に君臨した彼女がまさか??




トドリの肌が見れるというの?そんな事あっていいの?




でも……




ちょっと複雑……




んーーー……せっかくだし……






「じゃーあ……ちょっと覗いてみましょうかーーー!?」






えっ本当に!?円環ミレアやばい。




マジで行くんだね!




冗談かと思ってた。




ホント神回だ。




って、私は変態か。




ヒノ一筋なり!!!





「トドリー!!!入っていい!?」





円環ミレアが、友達の家を訪ねて、あーそーびーまーしょ。みたいな雰囲気で浴室をノックした。





「ちょっと!!!バカ!!!バカミレア!!!カメラ持って入って来たらマジ絶交だからね。私今、裸なんだから!!!」




裸……




その言葉に私は、また体の熱が上がった。





「きゃーーー!!!ごめーん。絶交はやだよー!!!」





そう言って、映像はブレて画面が切り替わった。





――――





何処だ?砂浜?





「やっほお待たせ!!!綺麗な海でしょう?すっごく気持ちいいのー」




円環ミレアは、海の前で手を広げくるくると回る。




ピンクの髪が、まるでパラソルみたいに広がる。




カメラはここで固定してるんだな?




何かするのかな?




「やぁみんな!久しぶりだねっ!」




流図トドリがいきなりカメラの前に現れ、投げキッスした。




顔面偏差値高過ぎだよ。ドキッとした。ほぼ二次元じゃん。




「今日はねー、ここで”ある宝物”をGETしたいと思ってるんだぁ」






流図トドリは、口をニーッと開き、満面の笑みで大きなピースをする。




脱色の様な金髪では無く、ツルツルとした透明度の高い琥珀色の金髪。




生まれつきらしい。




太陽の日差しできらきらと、上品な光を放つ。




どんな国に生まれれば、こんな生まれつきになるのかな?




あ、違うか。異形だったんだ……




その髪に引けをとらない、クリアゴールドの瞳も少女漫画の様に煌めく。




流図トドリが映ると、それだけで何かのコマーシャルみたいだ。






「そのお宝って言うのわね……」




「幽界ノ勾玉っていっうんだよっ!!」




「こーらーミレア!先に言うなー」





幽界ノ勾玉……なんか凄そうなお宝。





流図トドリは円環ミレアを抱きかかえ、くるくると回す。





尊い。




いいな、これ。なんかいい。





「きゃーーー!やめてーーー!目が回るーーー」





円環ミレアは流図トドリから逃げ、カメラに近付く。




彼女特有のランダムに動く瞳の奥が、ぐるぐるという渦巻に変わっている。





もう、何から何まであざとい……





「でね、その幽界ノ勾玉は、邪悪なモンスターを倒さないと手に入らないんだ」





邪悪なモンスター?なんだか雲行きが怪しくなってきたな……





「モンスターを呼び出すのは、私の役目でーす。ぱちぱちぱちー」




円環ミレアが自分で言って自分で拍手する。




そして、いつの間にか手には銀色のフルートを持っている。





「ミレアー頑張ってね。応援してる」




「応援のちゅーは?」




「仕方ないなー 一回だけだよ?」




え?ちゅーするの。




流図トドリの初キッスが奪われるのは、ファンのみんなは穏やかじゃないよ?




すると……




流図トドリは円環ミレアを大切そうに胸に抱きしめ、頭をゆっくり撫で、おでこにキスをした。





円環ミレアの頬がかなり赤い。底の知れない雰囲気の彼女が、初めて見せた素顔に感じた。




「あ……あたし、頑張るよ」




てか、トドリカッコよ過ぎ。今の逆にファン増えるよ。





「じゃあいくね?」





円環ミレアは海にギリギリまで近寄る――




そして、いつもとは全く違う、物憂げな背中を見せた。




銀色の艶めかしく光るフルートを口に当てる。




そして奏で始めた……




砂浜に、円環ミレアの心の音色が響き渡る。




この音色こそ、彼女の本心で、言葉を超えた彼女自身かも知れない……




それは、とても切なく、とても優しい、静かな音色。




普段の彼女とは真逆の音色。




私は正直鳥肌が立った。




「すごく良い曲だ……」




真っ暗な部屋で、一人呟いた。




しかし、何の曲かわからないな……




私は、もう一つのスマホのAIにそれを聴かし、タイトルを検索した。




これは、ラフマニノフのヴィカリーズと言う曲らしい。




正直、円環ミレアは可愛いとは思ってたが、それは上辺の話だけであった。




しかし、一瞬垣間見えた彼女の本当の姿に、美しいと言う気持ちと、人としての親しみを感じた。




カメラに、流図トドリが映る。




「上手だね……」




その瞳には大粒の涙が、溢れる程に浮かんでいた。




これだけで、説明がつく。




この二人が狂っている可能性は大いにあるが、それだけでは無いのだと。






そして――




とても異常な光景が始まる……






円環ミレアから直線の彼方、真っすぐ広がる水平線の方。




物凄く遠い果ての辺り、奇妙な膨らみと波が立ち始めた。




その膨らみは動いており、まるでジェット機みたいな速度で、二人のいる浜辺に直進してきている。




得体の知れない、物凄く大きくて黒い影。




しかし、円環ミレアは微塵も気にせず演奏を続ける。




傍らに映る、流図トドリは、金髪オールバックの髪をさらにまとめる様にかきあげて、とても冷酷な顔になった。




その直後に、カメラは少し浮いた場所から撮影している風になった。




あれ、どうやって撮影しているんだ?




まるで、映画のカメラワークみたいに、シーンに合わせて視点が変わっている。




……念動かな。





そして、巨大な黒い影はジグザグと海中でうねるように動いて砂浜の方へ近づき、とうとう本体が見えだした。





これは!!!





端的に言えば、この存在は……






海坊主――






そいつが巨大な頭の一部だけ、にゅうっと出している。




恐らく体長は、頭の大きさから推定するに、30メートルはあるだろう。




特徴とは……ほぼ真っ黒としか言いようがない。




人型をした闇の塊。




しかし……




眼だけが異常に大きく。物凄くぎょろっとしている。何かを渇望する、血走った眼だ。




そんな、海坊主はしばらく、海面から遠巻きに二人を見ていた……




だが……




次の瞬間――




物凄く速い速度で、戦艦みたいな腕を出し、円環ミレアを鷲掴みにし、海に引きずりこんでしまった。




え……やばいじゃん。




私は心底、彼女の心配をする。






「ミレア―――!!!!!」




案の定、流図トドリは大きく叫ぶ。




そして、鬼の様な表情で武術の様な構えをし出す。




何やら呪文を唱えた後、体が全体が閃光しだす。




その後、人外の猛スピードで空高く跳躍し、宙を蹴り、海面に雷撃の様に飛び込んだ。




……




そこには誰もいなくなった。




あるのはカメラのみ。




え???なにこれ???




怖いんだけど……




私はあまりの刺激の強さに、いつの間にか汗がびっしょりだった。




どうか、二人よ生きていて。




あの邪悪なモンスターから逃げ切ってくれ。




いつしか、そう考えるまでに彼女達に愛着が湧いていた。




……





しかし――





衝撃の展開はここからだった。




静まり返っていた海面が大きく波打ちだした。





次の瞬間――





体中を大小様々なサイズの、深紅の巨大な鎖で縛られた海坊主が、海面から飛び出す。




全身を空中に張り付けられたみたいに、吊り下げられた。




ブラブラ……




宙に浮かぶ30メートルの巨体。




観光客であろう悲鳴も、少し聞こえる。




その鎖は、海坊主の肉体の内部にまで、食い込んでいる様だ。




海坊主はとてもぐったりしている。





そして――




もう一本かなり太い鎖が螺旋状に、海面から出現しだした。




その鎖を見慣れた二人が昇ってくる。




円環ミレアと流図トドリは、海面から完全に脱出し、さらに海坊主の顔付近まで鎖の階段を上る。





カメラは勝手に近寄る。




二人共、少し服が透けている。




が、中に水着を着ているのがわかる。




予め、こうなる事が分かっていたのか?




流図トドリは濡れた金色の髪の毛をかき上げる。




円環ミレアも同じく。




意外だ――




円環ミレアは髪をかきあげれば、トドリ以上にクールな面持ちになり、




女教皇の様な威厳がある。




その、彼女が言う。




「幽界ノ勾玉を渡す気はないのですね……?」




「グオグオゴグ……」




言葉にならない呻き。




「そう……」




円環ミレアが悲しそうな顔をした瞬間。




真っ赤な鎖が全て強く引っ張られた。




「グオオオ!!!!」




「どうする?ミレア?吐かせる?」




「そうね……私がやると、"これ"で外側から内部に抉る事になっちゃうから、その方がこの子には良いかも」




「任せて……よくやったよ。ミレア」




「うん」






そう言った後、流図トドリは先程の様に、全身に魔術の光を纏った。





「光式 一閃掌!!!三ツ弾キ!!!」




次の瞬間には、鎖から飛び降り、一瞬海面に足をつける。




が……どうやったのか、海面を強く蹴り上げ、そこから、閃光に等しい跳躍を決め、海坊主の腹に、思いっきりアッパーカットを決め込んだ。




それをピストンの様に一瞬で三発往復した……




その巨体は、本当なら海の彼方へ吹き飛びそうな威力だったが、鎖で固定されていたので激しく揺れるだけだった。




そして――




海坊主は声を唸り上げ、口から、小さな箱の様なモノを吐き出した。




宙にある、鎖の一本が、それをキャッチし、円環ミレアに運ぶ。




彼女は、それを手に取り、すぐさま蓋を開ける。




カメラがまたも自由に動き、それに寄り中身を撮影する。




その中身は……




この世には存在しない様な"青"の物質。


物質であるが、半透明で幽霊の様な青。


そんな、見た目の不思議な勾玉だ。




「やったね、ミレア」




「ええ……トドリ」




いつの間にか、流図トドリは彼女の隣に帰っており、二人で嬉しそうに肩を抱え合っている。




カメラは二人に寄る。




二人の表情は最初に戻る。




「みーんなー今日の配信はおーわり!どうだった?面白かったかな?怖かった?」


円環ミレアが言う。




「全部みんなの為だからね!」


流図トドリが、切れ長の眼で真剣にカメラを見つめる。




「あ!!!え!!!きゃーーー!!!服、凄い透けてるじゃん!!!もう!みんなのえっち!!!スクショしないでよね!」




円環ミレアがわざとらしく、腕で体を隠す。




「ホントだ!へへ 恥ずかしいけど……たまにはサービスだね!!」




流図トドリはニコッと笑う。




「じゃあばいばーい」


「ばいばーい」




二人はそう言って、びしょ濡れになりながら、片手はピース。片手は投げキッス。




それでm配信は終わった。




……




ふぅーーー……




過激すぎない……




色んな意味で。




見るんじゃんなかったかも。




ちょっと後悔。




モヤモヤする……




寝てればよかったかな?




本当にあの二人、一体何しているんだろう?




未知災の化け物と錬金術、ヴァンパイア少女の捕獲、幽界ノ勾玉の獲得……




分からない……分からないけど……とんでもなくやばい事してない?




私は、スクールしてコメントを見る。




いいね100万。コメント5万か……




時間無いな……




何かが起きる前に、止めないと……




幽明に連絡しよ……




……




でも、今日はゆっくり休もう。




寝よ。




その前に、ヒノにメッセージ。




(次、いつデートできるの?ご褒美って何?)




(もうちょっとの我慢だよ!ご褒美……言わせたいんだー?ふーん……えっち)




(絶対頂戴ね。大好きちゅっちゅ)




(はいはーい。ありがとちゅっちゅ)




はぁー早く会いたいよヒノ。




君が私の光だ。




頭の中はそればかりだよ。




……




あ、水族感行きたいかも――




ふふ 楽しみ。

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