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秘宝ハンター カリダノ&怪談話大会




私とヒノは廃マンションの屋上を出た後に、響を誘ってパンケーキ屋に行った。




窓際で座席がソファータイプのくつろげる静かな場所。




今そこで、丁度食べ終わったところだ。




テーブルの上の皿は、トッピングのホイップやアイスもほとんど残っていないぐらいに綺麗になっている。






「ふあーーー食った食ったー」




響が制服の上から、お腹を撫で、オヤジみたいなセリフを吐いた。




「ちょっと、響。女の子は、そんなはしたない事しちゃいけません」




ヒノが口に盛大にホイップをつけながら、口をむーっと結び注意する。




「いいじゃないですかー、減るもんじゃないですしー」




響、女の子らしさが減っていくよ?と私は思う。




「減らず口叩かない。もっとレディになりなさい」




ヒノが、負けじと響に挑む。




きっと言うぞ。




私は未来視が起動し、響の次の発言が見えた。




「なってますよ!レディーゴー!なんつって」




響は自分のギャグに爆笑する。




私とヒノは顔を見合わせる。数日前まで、この子の事で心底落ち込んでいた私達はなんだったのかと……






その時、響は二つの物を取り出し私達に見せた――




「じゃじゃーん!見て下さい二人共!この真っ白で美しい指輪と滅茶苦茶かっこいい鍵を!」




響は、怪しい白さを放つ指輪を人差し指に嵌めている。




そして、お菓子の空箱を開け、中からファンタジーにでも出てきそうな鍵を取り出す。




蒼く透明で、時折鍵の中で小爆発が起こっている。




私とヒノはそれを見て、少し前のめりになる……感じた事の無い異様な気配だ。




「それ、どしたの?」




「よくぞ聞いてくれました、シスイ氏。これはUFOの宝物庫から持ち出したものです!!」




その話は、前回の感動の再会の時に、幽明から聞いていた。




「これがそうなんだー……響持っててもなんとも無い?」




ヒノは少し、大丈夫と言う顔で響きを眺める。




「ですとも!むしろ運が上がりましてね」




「例えばなんですが、宝くじで10万円当たったり、学校の嫌な人たちから何故か謝罪の連絡があったり、母さんの体調が良くなったり、母さんにくっついてたヒモ野郎が出て言ったり、バストがワンカップ大きくなったり」


(全部、響は早口)




「もう、すごいんですから!!」




「確かに……私思ってたの。目の下のクマとか消えてるし。なんかちょっと……胸大きくなってるし、雰囲気も可愛くなったんじゃないかって」




ヒノは真剣な顔をして話す。




とても指輪が欲しそうだ。




これらの話を聞くと、確かに効果がありそうだ。




てか、やっぱり色々大変だったんだ……。




まぁでも、幽明に後からメッセージで聞いたけど、響には女神がついてるらしいし。




ヒノに、その話をした時は驚愕に驚愕を掛けた顔をしていた。




女神なんて伝説の伝説の話らしい。




響だけが自分に女神がついている事を知らない。




「よかったね、響。私嬉しいよ」




私は素直な気持ちを響に伝える。




「もうハピマル過ぎなんです!!!」




ハッピーでマルって事だね。




「そこで!!!私は十分満足したので、この鍵は日頃の感謝を込めて、お二人にあげます!!!」




大盤振る舞いだな。




「いいの?でも、今の運気、この鍵が原因だったらどうするの?無くなっちゃうよ?」




「それは大丈夫です!私はこの指輪からひしひしとエネルギーが来るのを感じますし、それに、この二つのアイテムに頼らなくても、私は運を掴んで逞しく生きれますよ!もう大丈夫なんです!」




この子変わったな。




エネルギーが負から正に切り替わったぐらいはっきり変わった。




「そっか!あんた強くなったね。でも、弱くてもいいんだよ?私達もいるし。


どうせみんな弱いもんなんだから!」




ヒノは嬉しそうに響に向かって笑う。




「だいしゅき過ぎますー!!!ふったりとも。だから貰って下さいね。


お二人なら、これの使い道がわかると思いますし」




「じゃ!!!遠慮なく!!!きゃはっ!かっこいい!」




ヒノは相当欲しかったんだろう。瞳が鍵に見惚れすぎてとろんとなっているよ。




「そうでしょ!?そうでしょ!?」


響は腰に手を当て、自慢げに笑う。




「ありがと、大切にするね」


私は響にウインクする。




「ずっずるいです!シスイさん!あざと過ぎです!あんまり可愛いとUFOに攫われますよ?」




笑えないよ。




その時、私とヒノと響に同時に、グループメッセージの招待が届いた。――




「なんだろ?幽明からだ」




私達は、そのグループに加入する。




そしてグループチャットが始まった。




メンバー: 幽明、ドミノ、花岡っち、私、ヒノ、響。




幽明:(やっほー)


ヒノ:(やっほほー)


私:(やっほほほー)


響:(ほほほっやー)


花岡:(やっほほほです。)


ドミノ:(よう)


幽明:(ドミノ空気読みなよ)


ドミノ:(響ちゃんもおかしいだろ?)


ドミノ:(あ、花岡っちだ。みんな俺の友達で良い奴だからよろしく。)


幽明:(よろしく、花岡っち)


ヒノ:(花ピーよろ)


私:(花岡さんよろしくね)


響:(花岡さーん。しーくよろよろです)


花岡:(ふふ。皆さんよろしくお願いします)


幽明:(ところで、みんな今何してるの?)


ヒノ:(パンケーキ食べた)


私:(お宝の話)


響:(今から、シスイさん家で怪談話大会です。電気消して……ひょえー)


幽明:(え、それ超行きたい)


私:(来なよ、幽明)


幽明:(ホント!言っていい?)


私:(家、どの辺?)


幽明:(後で電話する)


ヒノ:(わーい。幽明こいー)


響:(これわこれわハーレムですね!)


ドミノ:(あのさ)


私:(ドミノは無理)


ドミノ:(はっ?なんもいってねーだろ。)


私:(男あげるのは無理。ごめんね)


幽明:(断られてんの ふふ)


ヒノ:(ドミノ、あげたらパンツ見られるよ!)


響:(ひょえー!!!!)


花岡:(え……)


ドミノ:(ざけんな!お前ら!てか花岡っち隣にいんだから変な事言うな!)


響:(幽明さんという、女性がありながらなんと!!!どういう関係ですか!!?)


花岡:(あ、あの……普通の友達です。オタクの……)


幽明:(ドミノひどいーーー、私の事”灯って呼んでいい?”って言って来たくせにーーー)


ドミノ:(ばか!!!お前、ここで言うな!!!)


ヒノ:(マジで好きなやつじゃん!)


私:(ガチ恋だ。)


響:(絶対顔が赤いドミノさんに10万円賭けます!!)


私:(せっかくの当選金、全賭けすんな響)


花岡:(確かに……幽明さんって方の話よくしますしね。怪しいです)


ドミノ:(もういやこのグループ)


幽明:(冗談だろ?機嫌直せよドミノ。で、なんて言おうとしたんだ?)


ドミノ:(…………花岡っちいるし、今日合流して焼き肉いかねーかって話!!!)


幽明:(いいねー!みんなどう?)


ヒノ:(カルビ行きたい)


私:(いいじゃん。今日お肉食べたい気分)


響:(怪談話からの焼き肉パーティーなんて……運がきてますよ!)


花岡:(ちょっと恥ずかしいですけど、みなさんに会ってみたいです)


ドミノ:(みんな良い奴だから大丈夫だぜ!)


幽明:(じゃあ決定ね。)


幽明:(ドミノと花岡っち、また連絡して。焼き肉は十八時ぐらいからにしよ。)


幽明:(帰りは二人共送るから。十七時ぐらいまで私はシスイん家で遊ぶ)


ドミノ:(OK、十八時辺りまで花岡っちとオタク街うろつくわ)




そんなこんなで、私はグルチャの後、ヒノと響を連れて、車で帰宅した。







自分の部屋に到着――




私の部屋は、そんなに広くは無いが、女の子四人は全然くつろげるスペースがある。




シンプルでありながら、普通の女の子の部屋でもあり、少しフィギュアや漫画もありオタク感も漂う。




「シスイさんのおっへやー!!!初めまして!どっひゃーーー」




響は私のベットにダイブする。絶対こういうタイプだと思った。




「こらー私のベット!!!」




違うだろ!それは私のだよヒノ。確かに君は一回そこで寝ているが……




「奪えるもんなら奪ってみなさい!」




響は指輪をヒノにかざし、悪魔祓いの様なポーズをとる。




「シスイーどうにかしてー、響がうざいー」




ヒノはそう言いながらカバンを降ろし、羽を広げてリラックスする。




「二人共あんま散らかさないでね」




その時――




ピンポーン。




チャイムが鳴った。恐らく幽明だ。今日両親はいないから、私が出ないと。




ドアを開ける。やっぱり幽明だ。




お菓子とジュースの沢山入った、コンビニ袋を持ち、クリアに輝く眼鏡の奥にダイヤの様な瞳をきらりと光らせる




「やあ、シスイ。ご両親は?」




「いないんだー。さっ、入って入って」




「ちょっと待った――」




「ん?」




「シスイん家さ、庭とかある?」




「あるよ、使ってないけど、後狭いし雑草やばい」




「ふーん、そっか」




といいながら、幽明は四方八方、私の家をふんふんといいながら眺めて考え事をしてる。




まるで不動産関連の、できるキャリアウーマンみたいな雰囲気だ。




「これ見て、どう思う?」




幽明は、リュックからあるモノを取り出す。




それは、金色のお札だった。文字は何にも似つかない文字で、幽明が息を吹きかけると文字がドクドク脈打つ不思議な逸品だ。




「どうって……安心感?そんな気配がするね。これ何?」




「UFOの宝物庫で頂いたモノ。響も持ってただろお宝?」




「ああ、うん。指輪つけてから運が良くなったって喜んでた。あと青い鍵みたいなの貰った」




「そう、その類。私からもこれあげるよ。」




「いいよー。悪いって。こういうの専門なんだろ?使う時あるじゃん絶対」




幽明 灯は私と同じく霊媒の依頼を承る。私が異形専門に対して、彼女は幽界専門。




「それが今なんだよ」




「シスイ、異形と結構戦うから恨みかってると思うよ?やつら、もしかしたらここを特定するかも……家族守らなきゃいけないでしょ?」




当然の事をストレートに言われた。




言われて初めて気が付いた。魔族の追っ手や、恨みを抱いた異形が、この家や両親を攻撃すると考えたら無性に怖くなってきた……


私はただ戦うだけで、そこまで考えてない馬鹿だった。




「うん……そうだね……私、全然考えて無かった」




「それ、普通だよ。落ち込むなよシスイ。なんでも起こる前にリスク回避って事だね」




「このお札は恐らく、別の世界の国単位を守護する様な、用途で作られた特別なお札だよ。私がそれに応用の結界術をかけといたから」




「結界術?」




「そうそう。このお札埋めたら、この家自体と、ここに住むご両親は確実に守れるよ。シスイは特殊だから守護外だけど。まー……確実に安全な拠点になるよここ。いざとなれば自分家に逃げ込めば、悪意ある存在は入れないからね」




「そんな……なんでそこまでしてくれるの幽明?」




「さーねー 友達でしょ、もう? ふふ スコップある?」




私はすぐさま、スコップを用意し幽明を庭に案内した。




彼女は手慣れた手つきでお札を埋めて、何やら呪文を唱えた後、にこっと笑い


私に完了の合図を送る。




「もしかして、今日来たいって言ったのって、これの為?」




「それもあるかな?単純に楽しそうだったのもあるけど」




「そっか……ありがとね。いつか返すから……借り」




「うん、なんかあった時、守ってよ。 期待してるよ。 ふふ」




「守る守る。絶対守るよ」




私のかけがえのない存在の両親を守ってくれる幽明は、自分を犠牲にしてでも守るだろう。




この子は本当に優しい子だな。ヒノが恋人なら、まさに信頼できる親友になれそうだ。




「じゃあ、中に入ろっか?」




「うん。おじゃましまーす」







私と幽明は部屋に入る――





そこには、布団で眠るヒノ。フローリングに寝転び、私の漫画を読み散らかす響が居た。




やけに静かだと思ったんだ……




幽明は私を見て、少し苦笑いする。




「ちょっと、二人共。超くつろいでんじゃんかー。幽明来たよ?お菓子買ってきてくれたよ?」




「え!!!お菓子!!!」




寝てたんじゃ無いのかヒノ。彼女は翼膜がぱっと開く。部屋で見るとかなり迫力がある。




幽明はそれを見て、ほう……と感心するように見つめる。




響はと言うと、ああもう!暗くて漫画が見えないと言う顔をしている。




この子はどんな異形のいる世界でも普通に暮らせるのかもしれない。




「二人共こんにちは」




「幽明さん、こんにちわー」




響は漫画を置き、ゾンビの真似をして、幽明の足にすがり着こうとする。全く変人だ。幽明は笑っている。




「こんにちは」


ヒノは両手の人差し指ではハートマークをなぞる。そこに虹色の属性がきらりと煌めいた。




魔法の挨拶だ。お洒落。




「綺麗だねヒノ」


幽明が虹の魔法に少し興味深いと言う顔をする。




「やられたー」


響はそれに浄化されたゾンビの真似をする。




「ははは 愉快だね」


幽明は少しウケる。




「適当にくつろいで、幽明。ベットに腰かけもいいよ?ヒノ場所あけてあげてね?」




「はーい」


ヒノは掛布団をかぶりながら、少し端に寄った。




「じゃあ遠慮なく」


幽明は地べたに座り、カバンからパソコンを取り出して、テーブルに広げる。




「私、お菓子とジュース用意するから、みんな適当にくつろいでてー」


私は部屋を出ようとする。




「あ、シスイさん!蝋燭ありますか?怪談話はやっぱ蝋燭でしょ!」




「あるけど、一本だけね?火は危ないから」




「一本あれば十分ですよ!うきゃー怖くなってきた!!!」




何が……




そうして、各々がくつろいでいる内に、私は手早く用意して、テーブルにお菓子やジュース蝋燭を用意した。




「それでは、そろそろ怪談話しますか!?」


響が言い出す。




「ちょっと待った!その前にしたい事があるの」


ヒノは人差し指をピンと立てる。




「どうしたの、ヒノ」


幽明はパソコンのモニターから目を離さずに問う?




「ねぇ、みんな。シスイの異形の鎌だとか、響のUFOの宝だとかの詳しい情報とか価値知りたくない?他にもお宝なら何でも」




「そんな事できるの?」


幽明はとても興味ありげなった。モニターから目を外す。




「知りたいです!!!めちゃ知りたいですとも!!」




「へー、ゼスパについてか……面白そうだねヒノ」




「そうでしょ!?私、大切な存在の事忘れちゃってたの。その子は異界の秘宝ハンターで博士なの。あらゆる世界の色んな事に、物凄く詳しいわ!」




「ねぇシスイ。人形ぐらいのサイズの異形召喚していい?絶対悪い事しないから。いい子だから気に入るよ?」




家の中で召喚か……でも、さっきのお札で危ない奴なら入れないはずだし……いいか。




「危なくないならいいよ」




みんな興味津々で、はやくそいつを見たいと言う顔だ。




幽明は私の顔を見て、大丈夫という仕草をする。




やっぱそうか。もうフィルターかかってるんだこの家。安心だ。




「じゃあ、始めるわね……」




ヒノは両手を三角形にして呪文を唱えだす




「ジーム……ジムイーヴァ……シマーゾ……デル…ソエーヌヴァ…カリダナ」




すると、ヒノの手の三角形の空間が光の渦になり、何やら小さい人の様な存在が出てくる。




その神秘的な光景に、響は涙を流しそうになりながら、前のめりになり見ている。




幽明は、口に手を当て考える様な仕草、ダイヤに曇りを閉じ込めた様な瞳が興味を隠せない揺らぎを纏っている。




「いててててて!」




その人形みたいな存在が喋る。




サイズ以外、ほぼ人に近い。スーツの様な物を着ていて、おかっぱの黒髪、目には片眼鏡をつけている。




これは女の子の小人だ。




「久しぶりね、カリダノ!」




「あ、はい。どなた様ですか?」


カリダナは辺りを見渡す。




「わっ!!!無魔の巨人達!!!って、姫様じゃありませんか!!?」




やっぱりヒノ姫様なんだ。




「超可愛いじゃないですかー!!ほらおいでー」




響はカリダノに手を伸ばす。




カリダノは警戒する顔をして、ジュースの裏に隠れた。




「ちょっと!ペットじゃないのよ!これでも、とある賢者の一族の筆頭なの!こんな愛らしい女の子なのに」


ヒノが慌てて言う。




「なんで、日本語喋れるの?」




たまに、日本語を喋る異形がいるから率直に疑問に思い、ヒノに聞いてみた。





「魔術変換ね、転移魔法の際に、その存在のあらゆるデータを転移先のルールに変換してあげることができるの。だから意味を理解しなくても話せるわ。その存在はいつも通りにすればいいだけ。たまに、他世界の言葉を穢れと言って拒否する存在もいるけど……」




「へー、ヒノはやっぱり賢いお嬢様なんだー、姫様って言われてるし」




私はヒノをまじまじと見る。




ヒノは少し、ギクっとした顔でカリダノを見る。カリダノはヒノや私達を見ながら状況を伺っている。




幽明は興味深いと言う顔で質問しだす。




「つまり、ネットでいうならプロトコル(共通ルール)に適応する様にデータを変換してあげるって事に近いのかな?では、プロトコルと存在の独自の概念を合わせるために、一時的に真の情報や概念の”オラクル”にアクセスする必要があるって事だよね……それに、接続できる能力って超特殊だよねヒノ?」





ヒノは、さらにギクっとして、明らかにテンパっている。




「そそそんな事はないわよ。クッキーをオーブンで焼く様な物よ!」




苦し紛れ過ぎる。話によると、ヒノが簡単にやってる事は、世界の根本に関わる様な事なんだろう。




カリダノが喋る。




「そうだ、君達。姫様に無礼だぞ!このお方を敬え!我らが気軽に喋れる様なお方では無い!偉大なる赤翼の一族で、さらには受け継がれしお方なのだ!!」




そう言って、ヒノに跪くカリダノ。




私達三人は、ヒノを見て、そんなにすごい存在だったんだ……感心、と言う風にまじまじと見る。




「あああ、もういいわ、カリダノ。楽にしなさい。今日はあなたに用があって呼んだの」




「急に呼び出してごめんね。忙しいと思うから、時間になったら勝手に帰れる様にしといたから」




「滅相もございません、クリシュマヒノ姫。久方ぶりに、お呼びだてして頂けた事、真に嬉しい限りです。で、要件とは何ですか?」




「ありがと!カリダノはいっつも私の味方してくれるから、ずっと大好きよ!今日はね、秘宝の鑑定をして欲しいの」




カリダノは、その小さな体を優雅に動かし、綺麗に一礼する。もし、私達と同じサイズなら相当美人で気品のある女の子だろう。




「シスイ、響、出して」


ヒノがゼスパと白い指輪、青い鍵を出すように目配せする。




私達は、カリダノの前にそれを出す。




「おおお!!!これらは!!!面白いモノをお持ちですね、無魔の巨人達よ」




「私はシスイ、こっちが響、こっちが幽明。名前で呼んでね、カリダノ」




無魔の巨人と言う呼び方は少し嫌だった。




「分かりました、シスイさん。では、あなたのその異形の鎌。”ゼスパ”からいきましょうか」




「お願いします」




「ふんふん……これは、異界基準だとCランクですね。勿論、無魔の巨人の世界での話ならSSランクですが。異冥府の十の秘武器の内の一つですね。刃は伝記の魔獣 ケロルビビクの爪です」




「世界と大きく言いましても、私達が認知できる小範囲の事を指して話しています」




何やら難しいな……




「ランクあるんだ。C……って結構低いね……。これでCかーっって感じもするけど」




「はい。何故なら、そのゼスパは一つでは未完成ですから」




「対となる、もう一つの異冥府の秘武器 ルアナ・ヴェスペラ と融合し、始めて完成します。ゼスパは破壊ですが、ルアナは救済を意図しています。合わせると、ランクはBBです異界基準で。ただし、所在は不明。ゼスパに引き寄せられるとも聞いた事がありますが」




「すごいな……いや、本当にすごいね……カリダノ君」




幽明はダイヤに曇りを閉じ込めた様な瞳を澄ませカリダノを賛美する。




「では……次は私から少し伺いたい。この家の庭に、先程埋めた黄金の札があるんだが、それを気配のみで鑑定できるかい?」





「えぇできますとも。私からすれば、その無二なる瞳の方が鑑定するべきですが……


いえ……それは……やめておくべきですか……」




「……」




幽明は少し沈黙する。




「カリダノちゃん!超物知りじゃないですか!もう、欲しい!おいでー、お菓子あげるからおいでー」




「ちょっと響!」


ヒノが、響に注意する。




「響さん、やめてください。私はあなたより賢いですよ?もっとわきまえて下さい」




「……しかし、その甘い香りの食物は少し気になりますね……」




「これはチョコだよ!響お姉ちゃんが食べさせてあげるから、おいでー」




響は手の甲にカリダノを誘導する、カリダノはたったとあるいてそこに乗り、肩にまで登った。




カリダノは響の肩で、チョコ菓子を頬張りながら黄金の札の話をする。




「異界の超巨大黄金都市、パンクライヴの都市を守護してたモノですね。


力は、かなり弱まってますが。」




「この世界のエル・ドラードと言う実在した都市は、パンクライヴの使者が新たな拠点として建造した都市です。規模ではパンクライヴ本体の方が比にならない程、大きいですが」




「パンクライヴが栄えていた当時、この札は、自己の国家の総力を個で上回らない敵は侵入不可となる、強力な役割を担っていました。それは科学的呪文とでも言いましょうか……ちなみに現在のランクはBです、当時は紛れも無くSランクです。SS手前のSランク辺りでしょうか」




カリダノはもぐもぐとチョコ菓子を頬張り、博識を披露する。この世界のお菓子を相当気に入ったみたいだ。




「私も、響ちゃんじゃないが、カリダノ君が欲しくなってきたよ」




完全無欠の様な幽明が純粋な欲望を露わにする。




「だめよ!カリダノは元の世界では引っ張りだこの、重要な存在なんだから。


それに、私の専属の先生なんだからね!」




ヒノはカリダノに手の甲を出す。カリダノはヒノの手の甲に小さな唇でキスをする。




「勿論です、優しき姫よ。貴女様が私の一族を野蛮な族から守って下さった御恩忘れる事などございません」




へー、やっぱ結構いい事してるんだヒノ。




「じゃあ、このかっこいい鍵、占ってカリダノちゃん!」




響はとうとう占いと言い出した。そしてテーブルの鍵をカリダノに近づける。




「これは……」




四人は息を呑む……




「ランク外ですね」




全員ずっこける。




「しかし、これで開く扉の先には……未知の宝が存在するやもしれません。


A以上がある可能性も十分あります」





「この、鍵は”ディストネの鍵”と言い、彼方の世界の、虹で出来た無垢な湖の女神が作り給うた鍵です」





「この鍵自体はどの扉にもささります。しかし、この鍵で開いた扉の行く先は


その方の、今一番行くべき”縁”の場所となります。そんなことから導きの鍵とも言われております」





「各世界にいくつかございますが、一度使うと破損するので、使用する時は思慮深い判断が必要でしょう。これに出会える事自体が素晴らしい縁の秘宝です」




なんだかすごい話になってきたぞ。色んな事が繋がって来た。




「やっぱり、神様が導いてくれたんだ!そのメッセージですよ!」


響は言う。




「いや、これは何か深層の仕組みの様な左様じゃないかな?全員の行動が密接に繋がった結果……」


幽明は少し違う意見だ。




「きっと、私達が自分で切り開いて道を作っているって事じゃない?」


これは私の意見だ。何事も本人が動かないと始まらないからだ。




「全部かもしれないわね、冷静にこれからも満遍なく判断しましょ」


ヒノは三人の意見を中立に見る考えだ。




カリダノが喋りだす。




「そろそろ転移の時間がおわりますね」




「あっ!ちょっと待って下さい!最後に、この白い指輪もお願いします!」


響きが慌ててカリダノに頼み込んだ。




「これが、最後ですよ。んー……これは」




「これは……?」


響きはカリダノに近付き鼻息を荒くする」




「何の変哲も無い、ただの指輪ですね。かなり思い入れがあるようですが……」


「でも、この世界のモノではありません。不老不死のモノ達が住む世界の指輪です。あなた達の世界的に言えば、吸血鬼ですね」




「吸血鬼の指輪かー……滅茶苦茶かっこいいじゃないですか!!!


響きは嬉しそうに、指輪を照明に当て、うっとり眺める。





「では、私はそろそろ帰るとします」


「あなた達の話を聞いて、何故これらを持つ存在か、なんとなく分かってきました。


無魔の巨人とは、大変失礼しました。昔苦い思い出がありましてね……改めさせてください、異界の稀人達よ」




「私はあなた達と話すのも、この世界の食物も気に入りました。


なので、また何かあれば私を呼んで下さい。なんでも教えましょう。


今日は予定が敷き詰っているので、そろそろ帰還しますが。


私がいない間、どうかクリシュマヒナ姫をよろしくお願い致します」




「カリダノありがと」


ヒノは確固たる信頼を寄せた優しい笑顔でカリダノに手を振る。




私達三人も笑顔でありがとうとカリダノに手を振る。




カリダノは一例して、プリズムとなって消えた――







「15時40分か……後、一時間ちょっとだけどどうする?怪談話まだする?」




正直、今のカリダノの話はかなりボリュームが合って、もういいんじゃないかと思えて来た。




ドミノ達と合流する焼き肉屋までの時間を考えると、後、一時間ちょっとだし。






「えぇ!!!しましょうよー!一人一話だけでも。とっておきのやつをー!」


響はやりたいやりたい、と私のベッドを叩く。





「二人は?」





「やろうよ、せっかくだし。短めにね」


幽明が言う。





「私もちょっと話したい話あるし、みんながどんな話するのか楽しみ」


ヒノも言う。





「じゃあやりますか」


私は、電気を消し、テーブル中央に蝋燭を灯し、カーテンを閉める。




部屋は暗く、蝋燭のオレンジの灯だけがユラユラと揺れている。




テーブルを囲み、響とヒノは同じ掛布団に包まる。




私と幽明は女の子座りで、蝋燭を見つめる。




「誰から話す?」


私は尋ねる。




「はいはーい!一番、響ちゃん行きます!」




「呪われない程度にね。響ちゃん」


幽明が、冗談か本気かわからない口調で響きに言った。全員の背筋が少し寒くなる。




「ではでは……とあるこの近辺の廃学校の話なんですが……」




それって、私の通ってた小学校の事じゃないか?近くに廃学校はほぼ無いよ?




「昔はですね、あの地域は人も多く、活気が合ったらしいですが、少子化や、この街が異形が多いと言う事もあって、7年ほど前に廃校となり、ほったらかしされてるんですよ」




「でね、廃校になった理由が、生徒達の行方不明で……どうやら、その学校には


異世界に転移する場所があるらしいんですよ」




「それでなんですが、その転移場所から、夜な夜な常識では考えられないクリーチャーがこの世界に入って来てるらしく……そいつらと、生徒の幽霊らしき存在が校内を徘徊しだして、ちょっと混沌としてたらしいんです」




「ここまでは、普通なんですが……」




いや、十分おかしいって……




「ある時、その異形や幽霊がピタッと消えたんです。それと同時に校内に、二人の美少女が現れて住んでいるらしいんです。一人は、透ける様な青い髪にカラフルなチャイナドレスの女の子。もう一人は金髪グラマラスな女性で黒い革の服とショートパンツを着て、ピンクのヘアバンドをしているらしいです」




「えらく、詳しいね」




「はい、何故なら私見ましたから」




三人同時に響を驚愕の目で見る。それと同時に危険に突っ込みやすいタイプなのかと言う呆れ顔で。




「は?会ったって事?」




「はい。話もしました。結構前ですが」




「私が噂を耳にして、夜の校舎に忍び込んで写真を撮ろうとした時、彼女らと遭遇しまして、お腹空いたからご飯を恵んで、と言われたので、コンビニでお弁当を買ってあげたら、色々話してくれました。リュカさんとネフフルさんと言う方らしいです」




「どうやら電脳タウンと言う、異世界の大都市で暮らしてて、魔獣討伐を生業としてたらしいんですが、電脳城と言う場所の転移装置の故障で、この世界に来て帰れなくなってしまったらしいです」




無駄にクオリティが高い話だ。




「で、今その二人は?」


ヒノが聞く。




「さあー、私はあれから会ってません。もしかしたらこの街にいるかもしれませんね。まだあの学校にいる可能性だってあります……ってな感じで私の話は終わりです」




悔しいが、続きが気になる……




「響、意外とすごかったわね。ワクワクしたわ!その美少女達会ってみたい」




「ええ!今度行ってみましょう!」




「その時は私も一緒させてね」




幽明が絶対に行きたいと言う表情をしていた。






 「それじゃー、次は私!」




ヒノはテンションが上がって来たみたいだ。




「恐怖の無人島……って話よ。陰謀論って感じの話ね。」




「私がこの世界に来て、色々見回ってた時の話なんだけど、私は元の世界の執事に忠告されてたの……」




「”あの世界は異界の存在を沢山集めて研究する施設があるので、どうか気をつけて下さいと”私はこの日本は平和主義でそういう雰囲気は無いんだろうなーと思っていたんだけど……ある夜ね、巨大な異形が特殊部隊みたいな人達に、捕まるのを見たの」




「それで何処かに、輸送されるから、暇だし追っかけてみたの。この羽で上空からね。すると、その人達は船に乗って、都会からそう遠くない島に移動したわ」




「その島は陰鬱な雰囲気で一見何にもないんだけど……その人達は異形を車に乗せたまま、地下みたいな所に入って行ったわ……で、これ以上追うのは危険だから、帰宅して、後日地図を調べると……なんとその島は地図には存在しなかったわ……」




「怪談というか、リアルな闇だな。国家も異形などを認識して研究しているって事か。」




「事実だね」




幽明がきっぱり言う。




「私も、接触された事があるからさその組織。白を切ったけど、なかなかしつこかった」




「で、少しイラついてハックして調べたたんだよ、その組織。やっぱりそういう事してたよ」




「内容はさらっとしか見て無いけど、あの島には近づかない方がいい……とんでもない奴もいるよ……」




「もう少し、正直に言うと。ハックがバレたんだ。でも、そのハック能力と私の能力を知ったうえで、特に強引に何をしてくるでも無かった。それからなんとなく関係性は続いて、たまに依頼をしてきてるよ。因みに金払いはかなり良い」




結構な機密情報を私達に提供してくれた気がする。




そんな事を気にするでも無く、幽明は手で銭マークを作る。




「やっぱね……てーかー幽明!美味しいとこ持って行くなー!」


ヒノは少し拗ねる。




「ごめんごめん。ヒノ。良く調べたね。偉いよ。ヒノが一番偉いしカワイイ」




ヒノは褒められて、少し機嫌を戻した。ヒノの扱いをもうマスターしてる。




「意外と闇ってあるもんなんですねー」


ポテトスナックをバリバリ食べながら、幽明は危険意識ゼロで呟いた。




「じゃあ、次は私だ」




幽明が張り切り出した。なんだか少し声が色っぽいなっと思ってしまう私。




ヒノがジト目で私を見ている。




「みんな、この世界の救世主の話を知っている?世界って言うと曖昧なんだけど


結構広い範囲での世界。詳しくは知らない」




「実はこの世界は五度目の世界で過去に四度滅びているらしい。


で、今回の世界も原因は不明だけど危なかったらしいんだ……


でも、その救世主が食い止めたらしい……


って、言うと、すごい勇者を想像するけど、なんと……その人は


日本人の女性の探偵で、結構綺麗な普通の女の人らしい」




女の探偵……?まさかね……あの人は普通だ……普通……




「彼女は、不老不死でもあったり、色んな存在から愛されてもいて、皆から


アカシックに咲く花や、シグナルエコーとか呼ばれているらしい……」




「私の話はこんな感じ、この話は界隈では有名だが、やけに情報が少ないんだ」




「それ知ってるわ。異界でもこの世界の話になると一番に語られる、都市伝説よ」


ヒノが食いつく。




「私も知ってます!てか、ネットに彼女の書き込みログとかまだのってますよ!?


 私、実は本物か分からないけどネットでその人って噂されてる人と喋りました」




またか!遭遇率高すぎだよ!




「え!!!なんて???」


幽明もさすがに食いつく。




「ネットの、そのナズナって人がよく出現するオカルト掲示板に、私が入り浸っていた時、その名前の人が入室して来たから”どうしたら友達できますか?”って聞いたら、”勇気出して話掛けてみたら?”って返してくれました。その後ですね、シスイさんとヒノさんを公園で見かけて、話掛けて今があるんです!」




……それ、偶然で済む話なのかな……?




「響ちゃんは、すごいね……」


幽明は響というより、その後ろを、虚ろに見つめてゆっくり呟いた。




何かが見えたのだろう。




「女の探偵さんか……偶然だよね」


私はつい呟いた。




「何が?」




ヒノが首を傾げる。




「なんでもないよ……じゃあ最後は私だね……私は結構面白い正統派のホラーだよ。」




「シスイ、ハードルあげるね」


幽明が言う。




「どんな話をするのかしら……」


ヒノは息を呑んだ。




「私の目は肥えてますよ」


響は吟味する顔をする。




「じゃあ、いくね……」




「みんな疑加土呂ギガドロって知っている?」




みんな首を傾げる。




「この日本のとある山に、災厄の石門と呼ばれる”モノ”が沢山存在する場所があるらしいんだ……」




「私が聞いた話によると、その門をくぐってしまうと、とんでもなく恐ろしい事になってしまうらしい。それが一つくぐるだけでもやばいらしいんだけど、


複数くぐると、もう未知の領域らしい……


しかもね、それにギガドロと言う、太古から伝わる儀式をしてしまうと……


もうね、想像なんてできない事態になるらしい……」




「じゃあ、なんでそんなやばい事が起こった事をみんなが知ってるの?それは体験した人が生還出来たんだからやばくないんじゃ無い?もしくは嘘?って言いたいと思うだろうけど……」




「なんにでも例外っているんだよ……」




「その儀式をして、果てしなく達成不可能な絶望のゲーム?をクリアして、


 魔王ギガドロになったって人が、極最近、掲示板に現れたんだ」




「その時は、みんなから嘘つき呼ばわりされたが、少し時間が経ち冷静に考えると


 内容があまりにも詳しくて、何にも似つかないから、一部では真実じゃないかって言われてる。」




「その書き込みの最後のセリフがね”この世界にも危機が迫っている、だから俺は行く。もし誰か、これを読んだ人がいるなら、覚えておいて欲しい。確かに俺と言う、平凡な存在が居たって事を。魔王として変わってしまうだろう……俺の代わりに”」




「……これでおしまい」




「ハードル余裕に超えたね、シスイ。面白かったよ」


幽明が言う。




「ほんとほんと、よかったわ!少し怖いけど浪漫を感じたわよ」


ヒノはもっと聞きたい様な顔をする。




「最高ですよ!私そんなの大好きです」


響の好みって感じの話だろうとは思ってた。




みんな気に入ってくれたみたいで良かった――




各々の話に満足して余韻に浸る




その時、幽明が切り出す。




「おっ。ドミノから連絡来たよ。そろそろ行こうか?」




「そだね、そろそろお腹空いたし、いこっか?」




「カルビ行こ!」




「行きましょ!腹ペコです!!!」




私は切り替える様に、中央にある、蝋燭をふっと吹き消した。




部屋が一瞬だけ暗くなる。




……




……




私は思った。




私は予感がした。




直感と言うやつだ。




今の話は、ただの怪談話では無く、




意味があって、今、私達の間で共有されたのだろう。




近々、何か大きな動きがありそうだ……



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