⑫掃除のアルバイトをする二人
エピソード⑫掃除のアルバイトをする二人
飛田、河原、先輩(飛田とは同僚)
・S1待ち合わせ場所、バス亭付近、(朝)
河原は飛田と同じ作業着を着て、待ち合わせの指定場所、指定時刻に到着するが周囲に飛田はいない
河原『、、、』
河原、ぼんやりする
河原『あれ、間違えて、、、ないか、、ちょっと時間かかるか』
河原ぼんやりとしている
そこに掃除アルバイトの先輩が近づいて来る、
先輩は手にコンビニレジ袋を持っている
先輩は同じ作業着を着ている
河原『あれ、あの人?』
先輩『あ、あの、飛田君の?』
河原『あ、はい、、おはようございます』
先輩『おはようございます、飛田君遅いよね』
河原『遅い、?』
先輩『なんかあの人いっつも遅刻してない?』
河原『ああ、はい』
先輩『先、行きます?もう場所伝えてるんで』
歩き出す先輩、河原は着いていく
歩きながら
河原『ああ、あの、すいません、その、な、なにをするんですか?』
先輩『いや、仕事、掃除』
河原『はい、あ、掃除するんですね』
先輩『聞いてないの?』
河原『はい』
先輩『え、そういうの聞いといたほうがよくない?』
河原『あ、すいません、』
先輩『え、じゃあ道具とか大丈夫なの?』
河原『いや、その作業着着て来いってだけで、あのこれ撮影の道具とかなんで』
先輩『じゃあ、どのみち飛田君待たなきゃいけないんじゃない?だって掃除道具持ってないんでしょ?』
河原『はい』
先輩『はいって、』
河原『あの、戻ってまっといた方がいいですかね』
先輩『別にいいよ』
河原『はい』
・S2スタジオ、中、(朝)
先輩『じゃあ、こっち側やって』
河原、先輩の指示で掃き掃除を任される、←(こちらの掃除内容は当日判断)
河原『はい』
先輩は自分のエリアの掃き掃除をてきぱきとやり始める
河原(カメラに対して)『掃除することになりました』
先輩『それ、撮影しなきゃダメなの?』河原、撮影をやめようとする
先輩『別にいいんだけど』
河原『ありがとうございます』
・S3スタジオ、中、(朝)
掃除をしている河原と先輩、飛田が到着し、入ってくる
飛田『お疲れさーんす』
先輩、河原『・・・』
飛田『もう、やってんの?じゃあ俺もうやんなくていいか?』
河原、愛想笑いする、先輩、黙々と作業をしている
先輩『・・・』
飛田動こうとはしていない
河原『まあ、なんか道具とか必要らしいっすよ』
飛田『あーじゃあとってくるわ』
・S4スタジオ、中、(朝)
河原がエアコンの掃除場所について飛田に説明している
河原『この、奥の、わかります?見えます、この換気扇だと思うんですけど、この』
飛田『別によごれてねーじゃん』
河原『いや、違うんすよ、その脇の?』
飛田『ええ、この黒い奴?』
河原『なんかちょっと黒くなってるじゃないすか?』
飛田『それは自然劣化の汚れだろ』
河原『自然?』
飛田『だから自然劣化はおちねえから、それやんなくていいよ』
河原『やんなくていいんすか?』
先輩『そこやんないと意味ないんっですけど、そこをやってほしいっていう依頼なんですけど』
飛田『だからこういうのは自然劣化の汚れだからおちないって』
先輩『自然劣化だったら、もっと全体がくすんでいくでしょ、そこだけ黒ずんでるから、それは自然劣化じゃないの、自然劣化ってもっと古い場所とか外の時でしょ』
飛田『だから、自然劣化とか自然劣化じゃないとか、そういう意味じゃなくてこういうのは落ちないから、やっても意味ねえって』
先輩『ああそう、じゃあもう帰る?飛田君のぶんもやっとくんで』
飛田『・・・』
飛田、河原を肩車して河原に掃除させようとしている
飛田『だから、お前が、この足を前にかけて、そ、で、いっぺんにいったらやばいから、その片足づつ行くから』
飛田『これ、おまえ、どっちがどうとか言えよ、もうちょっと右とか、だからお前、腰に力を入れるなって、その手でもって、台を手でもってバランスとれって、いける?』
河原『だめだ、これ、ハイターとかで付けておいてやっとみたいな』
ガシャン、先輩が無言で飛田と河原の隣に脚立を立てて、先輩のエリアの掃除を再開する
・S5スタジオ、外、(昼)
先輩がご飯を食べながら飛田についてのインタビューに答えている
河原『飛田さんとは結構、一緒に働かれてるんですか?』
先輩『一緒に働いてるっていうか、入った時期とか担当のエリアが近くて、たまに顔合わせるみたいな』
河原『もう結構長いんですか?』
先輩『えー、あーでも、もう8年ぐらい前からかな』
河原『じゃあ、バンド活動とかしてた頃の飛田さんもご存じなんですね』
先輩『あー、知ってます、知ってますけど、私、飛田君の曲は、そんなに好きじゃないっていうか、私、音楽って、気分を上げたいときとか、なんかあるじゃない、音楽を聴くときの気分って、その飛田君の曲を聴きたいっていう気分には特になんないかなっていうか、飛田君の曲?が好きな人がいるっていうのは知ってるんですけど、私は別にいいかなっていうか』
河原『じゃあ飛田さんのバンド復帰を特に応援されてるわけではないんですか?』
先輩『応援するってことはないですけど、まあ普通にうれしいと思いますけどね、同僚ですし、でもあんまり飛田君の曲が好きそうな子って周りにいないから、どっちでもいいかなって』
河原『それよりかは掃除のバイトを続けてほしい感じですか?』
先輩『うーん、でも飛田君バンドやってた頃も普通にバイト来てたんで、たぶん、そんなに変わんないんじゃない?あっでも、飛田君って掃除が得意ってわけじゃないっていうか、向いてなさそうっていうか、そういうバンドとかが得意なら、そっちを頑張った方が飛田君の為にはいいのかもしれないですね』
・S6スタジオ、中、(昼)
先輩『飛田君、ここやった?』
飛田『やってるよ』
先輩『いや、これ、できてなくない?』
飛田が掃除した箇所、ムラができている
飛田『いや、やったよ』
先輩『でもこれムラあるんだけど、やってなくない?』
飛田『やったって、録画もあるから』
先輩『だからやってないのと一緒、こうなってたら』
飛田『やってるから、』
先輩『あー、ごめんごめん、やってないのと一緒、』
飛田『本当にやってるって』
先輩『だから、わかったって、やったのはわかったって、飛田君はやってくれたのね、やったのね、でやったけどダメなのこうなってたら、ムラが出来てるから、』
飛田『サボってるわけじゃねえし、やってるんだからそんな言い方することじゃなくない?』
先輩『だから、やったとかやってないとかじゃないの、こういう風にムラがでないようにするやり方を教わってるんだから、そういうやり方でやってよ、でそういう風にやってなかったらやってないって言うの、だからこれはやってないの、、、いや、やり直してよ』
飛田、やり直してと言われると不服そうにやり直す
先輩『もう、河原君の方がまだいいんだけど』、独り言のようにぼそっと言う
・S7車の中、駐車場、(昼)
先輩が歩いて移動していく、飛田は車内でタバコを吸ってる
車の窓をあけて挨拶する河原
河原『お疲れ様です』
先輩『お疲れ様』
車の窓を閉める河原
河原『今日はこれで終わりっすか』
飛田『うん』
河原『さっきの人、もう一軒あるって』
飛田『ああ、あいつは二軒いれるから、俺は早く帰れるから一軒にしてる』
河原『そうなんすね』
飛田『、、、』
河原『これって、芋洗いなんすかね、』
飛田『何が?』
河原『いや、芋洗いの活動ってことになるんすかね、これも』
飛田『俺が芋洗いだから、芋洗いの活動になるんじゃねえの?』
河原『いや、でもさっきの人、バイトでやってるみたいな事言ってた、ような感じで』
飛田『まあ、そういう人もいるよね』
河原『そういうひともいるっていうか、、、いや、全然、ほんとう、全然、良いんすけど、今日って、普通にバイトしてたってことなんですよね、いや、本当に全然、僕は気にしないんですけど、、、いや、あの芋洗いの取材としてちょっといいのかなっていう、なんか映像として使えるかどうかみたいな、そういう判断を僕がするわけじゃないんですけど、なんか途中から僕も普通に勝手に手伝っちゃったみたいな感じになってしまっちゃってましたし、、、いいのかなって』
飛田『ダメとは言われてないから』
河原『まあ、、、いいんすけどね』
飛田『お前さあ、仕事は楽しんでやった方がいいよ』
河原『、、、このバイトも僕が引き継ぐ感じなんですか、その僕が芋洗いになったら』
飛田『そうしてくれると助かるな』
河原『それは普通にやめてもらうか自分で続けるか考えてもらえないですか』
飛田『はあ、なんで』
河原『だってなんか変じゃないですか?そこまで僕がやるって、弟子とかの間で手伝うとかってのは全然いいんすけど』
飛田『、、、』